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【独自】プロパガンダ?北朝鮮の日常動画が拡散…脱北YouTuber&潜入経験者が分析 「本当に見せたいものだけを見せている」

ABEMA TIMES

 先週、あるイギリス人女性が投稿した“北朝鮮の日常動画”を巡ってリアルなスクープ映像なのか、プロパガンダなのか話題を呼んでいる。その真意を探るべく、ABEMA的ニュースショーでは北朝鮮情勢に詳しい専門家などを直撃した。

【映像】ゾーイさんの「北朝鮮の日常動画」(一部)

 撮影者のゾーイさんは北朝鮮の日常を撮影したSNSアカウントを設立。名物の冷麺を堪能する動画や釣りを楽しむ動画などが投稿されており、その数は約750本にも上る。そもそも北朝鮮では旅行者が自由に歩き回ることは困難と言われるが、ゾーイさんの動画のなかには“北朝鮮の日常”が存分に切り取られており、談笑する軍人や笑顔の子供の姿も見られる。

 YouTuberのまろけさんは「北朝鮮の一般的なツアーに入っているような地域を訪れているような様子が動画で見られましたので、おそらくそういったツアーに参加、その様子を撮った」と語る。

 まろけさんも10年前に北京経由で渡航し、北朝鮮の動画をアップした経験があるという。2泊3日の強行スケジュールで料金は約23万円。撮影した北朝鮮動画は驚異の700万回超えを記録した。

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「北朝鮮に実際行ってみると、自由に街を歩いているように撮ることはできるんですね。実際は自由ではなくて、撮っている後ろに常に監視員の人がついてくる」(まろけさん)

 旅行者が撮影できるのはほんの一部で、空港から市内までの移動のバスではカーテンを閉められ撮影は禁止される。スマホは電源を入れることも禁じられ帰国まで封筒から出せなかった。帰国日にカメラのデータをチェックされ撮影した軍人の写真は消すように言われたため、その場で削除し、それ以外の素材で動画を完成させたがおとがめは何もなかったという。ではなぜゾーイさんは軍人などを撮ることができたのか。

 北朝鮮の観光事情に詳しい慶應義塾大学の礒﨑敦仁教授は「写り込んでも構わない軍人であること」「観光客を案内する役割を担っている軍人もいる」と解説する。また、今回の動画がきっかけで沸き起こった“プロパガンダ疑惑”について「北朝鮮側が操作して彼女が発信しているのか、彼女が発信することによって、SNSで注目を浴びることに喜びを感じているのか、これはわからない。ただ、彼女が外国人として見て回れる範囲のことだけを撮影してコメントして、それを流したら、それはプロパガンダに過ぎないということ」「ただプロパガンダとしてうまく成立していないように思います。つまり、日本のメディアもこのように彼女がやっていることに対して、非常に首をかしげながら見ているわけですから、『なんて北朝鮮は素晴らしい国なんだ』ってことにはならない」と語った。

 一方で、15年前に脱北し、過去にも取材したキム・ヨセフさんは「北朝鮮人から見たら、北朝鮮にそんなところがあるんだと。平壌は北朝鮮の象徴みたいな街。そんな町に住む人って本当に限られているんですけど、彼女が行ったのはメディアにしか出てない風景。一般人はそこに行けない」「本当に演出されたスタジオみたいなところしか彼女は行けない」と分析する。「北朝鮮の日常」とされる動画は当局によって演出された場所での撮影だというのだ。

 「西側の人間が来て自分たちに代わって北朝鮮のいいところを宣伝してくれたら、互いにwin-winというか」(キム・ヨセフさん)

 ユーチューバーにとっては謎多き場所で撮影し、再生回数を伸ばすことができ、収益にもつながる。北朝鮮にとっては平和で明るいというイメージを労せず世界に配信してくれる。

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