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銭湯に雑誌図書館…原宿「ハラカド」オープンまでの舞台裏:ガイアの夜明け

テレ東プラス


4月19日(金)に放送された「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは、「原宿が変わる!~古くて新しい街づくり~」。
「100年に一度」の再開発が話題となっている渋谷。その隣の町・原宿でも、新たな街づくりが進められている。
4月17日(水)に開業した大型商業施設「ハラカド」には、若者の街・原宿には似つかわしくない、銭湯や雑誌の専門店などが並ぶ。時代に逆行するかのような計画を主導するのは「東急不動産」だ。
新たな歴史を生み出そうと始まったプロジェクトを通して、令和時代の街づくりを見ていく。

【動画】原宿「ハラカド」オープンまでの舞台裏に密着

原宿のど真ん中にできる商業施設。その目玉は銭湯! 老舗銭湯の3代目が挑む


渋谷駅周辺は、世界的な企業が次々と進出し、ここ数年でガラリと姿を変えた。その再開発を担う「東急不動産」は、原宿の再開発にも力を入れている。
明治神宮へと続く表参道と明治通りが交わる神宮前交差点。その角に、去年12月、ガラス張りの建物「ハラカド」が姿を現した。


「ハラカド」は、地上7階、地下1階の商業施設。飲食店はもとより、ラジオ局やデザインの専門学校が、地下1階には銭湯も。交差点に面した見晴らしのいい場所は、雑誌専門の図書館になる。


「ハラカド」の立ち上げから関わってきた「東急不動産」プロジェクト推進部・池田祐一さんは、「わざわざ都心に来て買い物をするという消費の流れは、確実に戻ってこないと思っている。このエリアに本当に必要な施設を作る。原宿は、商業地域と住宅街が隣接している日本でも特殊な場所だと思っている」と話す。
「ハラカド」は、原宿に来る買い物客や観光客だけでなく、この街で働く人や住民もターゲットにしているのだ。


1980年代は歩行者天国(ホコ天)によって「タケノコ族」が誕生し、竹下通りにはタレントショップが次々とオープン。修学旅行生など、日本中から若者が押し寄せる人気の街になっていった。2000年代以降は、「KAWAII」をキーワードにした文化が、海外の注目を集めることに。2009年には「フォーエバー21」がオープンし、多くのファストファッションブランドがこの街に進出した。
いつの時代も注目を集めてきた原宿だが、池田さんは「街のパワーが弱くなってきている」とみていた。
渋谷は100年に一度の再開発で、高層ビルの街に。新宿は「東急歌舞伎町タワー」が話題になるなど、エンタメの街へと変貌。その強力な2つの街に挟まれた、原宿…。
池田さんは、「原宿・神宮前の街のパワーをもう一度取り戻せるような施設を、街と一緒につくっていきたい」と意気込む。


東急から「ハラカド」内の銭湯を任されたのは、住宅街の路地裏にある老舗銭湯「小杉湯」。昭和8年創業で、東京・高円寺の人々に長年愛されてきた公衆浴場だ。
3代目の平松佑介さん(43)は、大学卒業後、不動産会社やベンチャー企業で働いたが、8年前、父・茂さんに代わって「小杉湯」の跡を継いだ。


燃料代の高騰など、銭湯を取り巻く環境が厳しさを増す中、平松さんはさまざまなアイデアで「小杉湯」にお客を集めている。甘い香りとトロッとした肌触りが特長の「ミルク風呂」は、「小杉湯」の名物に。
湯上がりの飲み物やアイスクリームの品ぞろえにもこだわり、クリスマスの定休日には、地元の人たちによる演奏会を開催。ダンスやお笑いライブなどの会場としても貸し出し、売り上げを約2倍に伸ばすことに成功した。
しかし、今度の舞台は原宿。住宅街の中にある高円寺と都心の原宿では客層が全く異なるため、新たな戦略が求められていた。


考えたのは、サウナの後の“サ飯”ならぬ、湯上がりの“銭湯飯”。近所の名店のメニューを「ハラカド」の「小杉湯」で紹介し、ビルの中はもちろん、街を広く探索してもらうのが狙い。平松さんは、「街と銭湯の体験がつながることが大事。そういうことができると、原宿の街に銭湯ができたと実感してもらえる」と話す。


その他、炭酸シャンプーなどの入浴グッズやシャワーヘッドなど、お風呂で使う商品を、「花王」や美容家電メーカーから提供してもらうことに。銭湯で客に試してもらい、使い心地が良ければ買ってもらおうというのだ。

「小杉湯」の工事は大詰めを迎えていたが、平松さんはある問題を抱えていた。
街の銭湯は公共の施設とされるため、自治体から補助金などの支援が受けられるが、そこにはさまざまな条件がある。外気や日光を取り入れるための“窓の設置義務”もその一つだ。
「ハラカド」の「小杉湯」は地下1階に銭湯を作ったため窓が作れず、支援の認可が下りなかった。補助金や助成金が出ないのであれば、520円という入浴料金を考え直す必要も出てくる。しかし、若者にも地域の人にも来てほしい…。平松さん、悩んだ末の結論は?

コンビニ雑誌から撤退決めた日販…街に「立ち読み」の光景を取り戻す!? 驚きの計画



一方、「ハラカド」の2階では、新たなテナントの工事が始まっていた。視察に訪れたのは、本の大手取次会社「日本出版販売」の武田建悟さん(35)だ。
日販は、出版社から本や雑誌を仕入れ、書店やコンビニなどに卸売・配送をする会社。近年力を入れているのが、書店と喫茶店の融合させた店舗など、本を使った新たなビジネスだ。


書店と喫茶店を融合させた店舗は、食事をしながら自由気ままに本が読める。好きなだけ本が読めるホテルもあり、その戦略は出版業界で大きな話題となっている。
こうした事業を手掛けてきた武田さんは、「ハラカド」で新たな計画を進めていた。交差点に面した2階で一番広いスペースに、雑誌専門の図書館を作るという。若者たちに“本の面白さ”を知ってもらう入り口にするのが目的だ。


去年12月下旬。日販のスタッフが集まり、連日会議が開かれていた。一体どうすれば、多くのお客さんに来てもらえるのか…。いくつものアイデアが生まれては消える中、「雑誌の創刊号を集める」という決定打が出る。

日販スタッフが向かったのは、東京・神保町。しかし、古本屋を何軒もはしごしたものの、肝心の創刊号はなかなか見つからない。そこでリーダーの武田さんは、SNSを使って、個人から雑誌の寄付を募ることに。
今回の企画に並々ならぬ思いで取り組む武田さん。そこには出版業界の厳しい現実があった。

国内の出版物の販売額はここ25年で半分に激減し、特に雑誌が大きく落ち込んでいる。
去年10月、ついに日販はコンビニへの雑誌の取り継ぎから撤退を発表した。武田さんは、「紙の媒体に触れる機会自体は、間違いなく減っている。今まで手に取ったことがなかったものでも、手にとってめくることによって、思いがけない出会いがある。あえて紙の雑誌を選ぶ選択肢が若い人たちにもできてくればいい」と話す。


今年1月、跡見学園女子大学(埼玉・新座市)から、願ってもない知らせが飛び込んできた。現代文化を教える富川淳子教授(当時)が、大学の退職を機に、研究資料として保管していた貴重な雑誌を譲ってくれるという。富川さんは、かつて出版社に勤めていた。
「POPEYE」や「an・an」などの創刊号を手に取った日販のスタッフは、「生で見られるなんて」と感動の声を上げる。

また「朝日新聞出版」からも連絡が。直々に手渡されたのは、週刊誌「AERA」の創刊号。


「AERA」の木村恵子編集長は、日販の取り組みに対し、「雑誌に日常的に触れられる場所ができる…それはすてきなことだから、それに『AERA』が乗らない手はない」と期待を寄せた。

多くの人の協力で約3000冊の貴重な雑誌が集まったが、この図書館、一体どうやってもうけを出すのか。武田さんは、この図書館が新しい原宿のショーウインドーになることを夢みているというが…。


そして迎えた4月15日。原宿の新たなランドマーク「ハラカド」のプレオープン日がやって来た。果たしてお客の反応は……。

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