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“アニメ監督”ヨン・サンホだからこその『寄生獣』 『豚の王』『フェイク』など過去作も必見

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『寄生獣 -ザ・グレイ-』撮影現場でのヨン・サンホ監督 ©Netflix

 『寄生獣 -ザ・グレイ-』が世界的にヒットしている。グローバルに視聴されるNetflix作品だが、アジアだけでなく欧米まで人気が広がる韓国ドラマは実は珍しい。 

参考:韓国ドラマのVFXはなぜすごい? 『寄生獣』『ムービング』のリアリティを支えた映像技術

 本作は、あくまでも、原作となる岩明均の漫画『寄生獣』(講談社)のスピンオフだ。副題に“ザ・グレイ”とついているように、パラサイト対策組織“グレイチーム”と人間に宿りながら人間という種を食い殺そうする寄生生物の苦闘がメインに描かれていく。 

 筆者もその1人だが、熱烈的な原作ファンは、ドラマの内容に違和感を覚える部分もあったかもしれない。主人公との会話によって「人間とは?」と考えさせてくれるミギー(主人公の右手に宿る寄生生物)の登場はなく、利他行動や利己的遺伝子といったキーワードは言及されず、人間社会にパラサイトが存在することになった理由も深くは描かれなかったからだ。 

 だが、それでも多くの視聴者を惹きつけたのは、監督の力量によるものも大きいだろう。

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 本作の脚本・演出を担当したヨン・サンホは、韓国映画界の著名な監督の1人である。日本でも『新感染 ファイナル・エクスプレス』が2017年に公開されヒットしたが、今回の『寄生獣 -ザ・グレイ-』も、Kゾンビを思わせるグロテクスな寄生生物、しっかりお金をかけられた強烈なアクションが目を釘付けにした。こうした視覚的な快感をもたらすアクションシーンは、昨今のヨン・サンホ監督作品の特徴でもある。 

 ヨン・サンホ監督は、もともとアニメ映画の監督であったことはよく知られている。短編アニメ映画で監督デビューし、2011年の初の長編アニメ映画『豚の王』では数々の賞を受賞。韓国の長編アニメ映画で初めてカンヌ国際映画祭にも出品した。『新感染 ファイナル・エクスプレス』からは実写映画に舵を切り、昨今はNetflix作品『地獄が呼んでいる』などドラマにも進出している。 

 理解できない壮絶な出来事が起こったとき、社会はどう混乱し、人はどう変貌するのか――。監督のこれまでの作品を観ていくと、刺激的なアクションシーンを生み出すこととともに、作品の中でこうした事象を描き出すことにより人間の本質に迫りたいという欲望を感じる。 

 『寄生獣 -ザ・グレイ-』も、まさに不可解な寄生生物によって起きた社会の混乱が描かれていくわけだが、その原点ともいえる精神は初期のアニメ映画にあるような気がする。 

 監督自身もインタビューで「自分はもともと大衆的ではない」と認めているが、監督のアニメ映画作品は、社会批判的なメッセージが色濃く、時に厭世的だ。(※)

 例えば、2013年のアニメ映画『フェイク~我は神なり』。本作では、怪しいカルト教団が寒村に忍び込むことによって起きる混乱が描かれる。『寄生獣 -ザ・グレイ-』『地獄が呼んでいる』でも教会や宗教が扱われたが、監督の関心事の一つなのだろう。韓国のカルト宗教事情を知るにもうってつけの作品だ。 

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