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『ぼくらの七日間戦争』宗田理さんは子供たちに“挑む心”を伝え続けた 週刊誌記者として育んだ批判精神とその功績

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 「一般の人たちも、こういうアイデアにどんどんと挑戦してもらいたい」と加えて、新しいものに柔軟に挑む大切さを話した宗田さん。AIがそれこそ小説すら書いてしまう時代に、宗田さんだったらどのようなAIにまつわる作品を書いたのだろうか。そんな思いが浮かんで仕方がない。 

■あらゆる世代が知恵を出し合い力を合わせることが大切

 23年3月発売の『ぼくらのオンライン戦争』ではオンラインゲームにまつわる問題を指摘し、最新作となる23年10月発売の『ぼくらの東京革命』では巨大地震への対応を呼びかけつつ、恐怖心を誘って金儲けをしようとする人々を懲らしめるストーリーを描いて現代の問題と切り結んだ。『ぼくらの東京革命』のあとがきで宗田さんは、「自然がもたらす脅威からは逃れられないが、人間自身が作り出す戦争や争いは自分たちの力でなくすことができる」と書いて、各地で紛争の絶えない昨今の情勢に警鐘を鳴らした。

 「英治たちが防災活動をくりかえす中で気づいたように、あらゆる世代が、みんなで知恵を出し合い、力を合わせることが大切だと、ぼくは思う」。そう後書きに書いて不正を働く大人たちに勇気を出して戦いを挑み、変えていくことが「きみたちの未来につながるのだから」と呼びかけた宗田さんの言葉を受け止めて、今の読者となっている子供たちがまっすぐに生きて作り上げる世界に期待したくなる。そうした世界を作る手助けをしていくことが、かつて読者だった大人たちにとって、宗田さんの思いに応えることになる。

 それぞれができることを思いながら、宗田さんを見送ろう。

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(タニグチリウイチ)

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