2月20日の東京都議会定例会で「カスハラ防止条例」を制定する方針を示した小池百合子都知事
客による不当なクレームや迷惑行為などを指す「カスタマーハラスメント」(略してカスハラ)が各地で後を絶たない中、ついに東京都がその防止を目指す条例制定の方針を示した! 悪質化・巧妙化するカスハラの最新事例は? 条例の具体的な中身はどうすべき? カスハラと日々戦う現場の実情に詳しい方々をガッツリ取材した!
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■「これはひどい」最新カスハラ事例集今年2月20日、小池百合子東京都知事は施政方針演説で、「カスタマーハラスメント(カスハラ)が、都内企業においても深刻化している」「現場において拠りどころを持って対応できるよう、独自に条例化の検討を進める」と、カスハラ防止、根絶に取り組む強い意欲を示した。
カスハラとは客(カスタマー)による、暴行・暴言・脅迫・不当な要求といった、迷惑行為全般のことを指す。
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日本労働組合総連合会(連合)が2022年に行なった調査によると「直近3年間で自身がカスハラを受けた」という人は67.5%、さらに「直近5年間でカスハラの発生件数が増えた」と答えた人は36.9%にも上っている。
そしてカスハラを受けたという人の職種も、販売や営業、お客さま相談窓口だけでなく、医療や福祉、教員、生産現場でも、軒並み50%を超える結果となっているのだ(出典:「カスタマー・ハラスメントに関する調査2022」)。
では今、顧客対応の現場で何が起きているのだろうか。カスハラという行為の定義がやや曖昧なため、ここでは広く「トラブル事例」として取り上げたい。
客の〝ストーカー化〟に頭を悩ませているのが、ドラッグストアの薬剤師として働くAさんだ。
「2020年からのコロナ禍の初期は、マスクや消毒薬に殺到する来店客から『在庫を隠してるんだろ』『入荷したらすぐに電話で知らせろ』など、さまざまな暴言や迷惑行為を受けました。