top_line

「エンタメウィーク」サービス終了のお知らせ

アジア杯で見えた課題を日本代表は改善できたのか? 福西崇史が振り返る北朝鮮戦「改善点はあるが新たな課題も」

週プレNEWS

一方ロングボールに対しては、北朝鮮があまり蹴ってこなかったとはいえ、後半はじめにロングボールから起点を作られ、ネットを揺らされました。結果的にオフサイドでしたが、たった一本でああいった場面を作られる危険性を感じました。

この試合の課題で見えた部分として、ビルドアップの改善が見られた一方でプレスに苦戦する場面もありました。

後半に入ってからビハインドの北朝鮮はかなりリスクを負って、積極的にプレスをかけてくるようになって、日本は苦戦を強いられました。それは日本がW杯でスペインやドイツという強豪相手にそうしたように、北朝鮮もリスクを冒して前から来る時間帯を作ってくるのは当然だと思います。

それに対して慌てるのではなく、ある程度余裕を持ってかわす場面はいくつかありましたが、もっと堂々としたプレーが必要です。

この試合は冨安健洋が招集外で、板倉滉と町田浩樹のコンビでしたが、やはりリズムやコンビネーションの部分でまだ難しい部分がありました。

広告の後にも続きます

板倉がラインコントロールをしていましたが、もっとラインを上げなければいけなかったし、その際の後ろの管理をどうするかはもっとやらなきゃいけなかったと思います。ただ、これは繰り返しやっていかなければいけない精度は上がらないものなので、一朝一夕でできることではありません。

解決策の一つとして3バックの採用も選択肢にあるといいと思います。この試合でも終盤に3バックにしたことで、ある程度守備を安定させ、ゲームを締めました。ただ、それだけでなく試合を通して安定した試合運びをするために、始めから3バックにすることも有効だと思います。

3バックにすることで、後ろに人数を割ける分、ビルドアップでより余裕が生まれるし、試合を通してもっと積極的に前へ潰しにいきながら後ろをカバーすることもできる。ロングボールに対してもより守備の安定感のある対応ができると思います。

それでもロングボールというのは一発があるので、3バックにしたところで完全に防げるものではありませんが、こういう試合で守備の選択肢が増えるのは良いことです。

もう一つの課題としてはビルドアップで、相手の中盤ラインを突破できた後の部分ですね。

サイドからの攻撃では、選手の距離感もよく、ボランチも追い越す動きを積極的にしていて、十分にトライしていると感じられました。ただ、そこから中に入っていくコンビネーションに物足りなさを感じました。

失敗してもいいので、ペナルティエリア角付近でもっと勝負する場面があっていいと思うし、ポケットを取る動きや流れてスペースを作る動きが必要だったと思います。

結果的に1-0で勝てたからいいものの、先ほど触れたようにワンチャンスをものにされる可能性もあったわけです。この試合でも2点、3点と追加するために、中盤ラインを越えた先のコンビネーションは今後の課題だと思います。

本来は26日にアウェイの試合があるはずでしたが、まさかの中止となり、3-0の不戦勝となりました。これによって日本は最終予選進出が決まりました。ピッチ外のところで不安な部分があったと考えると、結果的によかったのかもしれませんが、一方で代表活動という時間の限られるなかで1試合の機会損失は痛いですね。

ホームでは起用されず、アウェイで使うことを考えていた選手も多かったはず。まだまだアピールの足りない選手にとっては残念だったでしょう。6月のミャンマー戦、シリア戦はそうした選手たちの良いアピールの場として活用できればいいなと思います。

構成/篠 幸彦 撮影/鈴木大喜

  • 1
  • 2
 
   

ランキング(スポーツ)

ジャンル