top_line

「エンタメウィーク」サービス終了のお知らせ

通称〝ジャパニーズ・ステフィン・カリー〟富永啓生は米大学でエースに成長。本格的なNBAへの挑戦が始まる

週プレNEWS

富永がエースとして成長するのに合わせて、ネブラスカ大の勝ち星が10勝→16勝→23勝とシーズンごとに伸びていったことも偶然なはずがない。何よりも、ファンを興奮させることができる童顔のスコアラーは、チームを勝利に導く術を学び実戦を積むにつれて「ネブラスカ大史上、最高級の選手」とも称される人気選手になっていった。

「3年間、いい経験をしたり、つらい経験もしたり、いろいろありました。その最後にチームの中心選手として、ネブラスカ大の歴史の中でも上位に入るような成績で終われたことは本当に良かったと思います」

NCAAトーナメントで学生生活最後のゲームを戦い抜き、ひとしきり泣いた後の富永の表情には、完全燃焼した充実感があふれていた。


昨年のバスケW杯では、渡邊(奥)と共に日本代表として奮闘。パリ五輪出場とNBA挑戦を同時進行できるかに注目が集まる

こうして実り豊かなカレッジキャリアを締めくくったが、もちろん富永のバスケットボール人生が終わったわけではない。むしろ、「まだ序章を終えたばかり」という見方もできる。

広告の後にも続きます

今夏に日本代表の一員として戦うことが期待されるパリ五輪もそうだが、「NBAへの挑戦」というさらに大きなチャレンジが始まるのだ。

「(日本代表の)コーチ陣とコミュニケーションを取りつつ、もちろん五輪には自分も出たいと思っています。五輪後に自分がどのチームに所属するのか、というのが大事。そこを考えながら、自分のベストになるように考えていきたいです」

昨年の8月から9月にかけて、フィリピン・インドネシア・日本で開催されたW杯では渡邊雄太(メンフィス・グリズリーズ)らと共にチームを引っ張り、五輪出場への意欲も高い。ただ、常に最大目標としてきたNBAへの挑戦とどう両立させるかが今後の課題となる。

スケジュール面でめどが立ったとしても、現実的にNBAへの道がはっきり見えているわけではない。カレッジレベルでは超越的なスコアラーだったが、身長188㎝というサイズ不足もあり、NBAドラフトの有力候補と目されているわけではないのだ。

ただ……ネブラスカ大でもまったくの無名から一気にスターダムを駆け上がった富永には、それでも何かを期待してしまう。

ドラフトにはかからなくても、Gリーグ(米マイナーリーグ)での下積みを余儀なくされたとしても、いつかビッグステージに上がってくれるのではないか。たとえ難しくても、さらなるミラクルを予感させるのが富永の魅力なのだろう。

「とりあえず一日一日。これからちょっと一回休んで、そこからまたバスケットに戻ります。自分が目標としているのはもちろんNBA。そこを目指し、自分にとって一番になることをやっていこうと思っています」

カレッジ界に旋風を巻き起こした日本バスケ界の新星の行く手には、さらに険しくも胸躍る未来が広がっている。全米を席巻するエキサイティングな日々は、まだ始まったばかりだ。

取材・文/杉浦大介 写真/アフロ

  • 1
  • 2
 
   

ランキング(スポーツ)

ジャンル