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繰り返される頭痛、実は「かみしめ」が原因だった? 歯科医師が解説

オトナンサー

領木さん「ある感情を抱いたときに、無意識のうちに思わず取ってしまう『情動行動』が関係していると考えられます。

例えば、人間が猛獣やヘビを見たときに瞬間的に体がすくむ行為や、犬がうれしいときに尻尾を振る行為などが情動行動に該当します。これは脳の深い位置にある『扁桃(へんとう)体』という部分が現況に関する価値判断を瞬時に下し、その後、間脳に位置する『視床下部』がそれに応じた行動プログラムを提示、実行されることによって成立します。

年齢とともに仕事上の地位が上がり、責任が増していくため、抱えるストレスも増大する傾向にあります。そのため、ノルマや課題などに直面した際に、情動行動としてついかみしめてしまう人が多いと考えられるのです。先述のように、かみしめることが多いと、咀嚼筋が慢性的に緊張するため、それが頭痛へとつながってゆく可能性があります。

いわゆる頭痛持ちの人は、10代から50代の生産年齢層が多く、その分、社会が被る経済的損失は膨大と言えるでしょう。ちなみに、高齢者で慢性頭痛に悩まされる人にはあまり出会ったことはありません。定年前に比べてストレスが少ないことや、歯の磨耗や欠損により、かみしめたときの衝撃が少ないのが要因だと考えられます」

Q.加齢などで頭痛が生じることが多くなった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。受診の目安も含めて、教えてください。

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領木さん「市販の鎮痛薬を飲んでちょっと横になっていれば痛みが次第に治まるというレベルであれば、しばらく様子を見ても構わないと思います。

ただ、『以前に比べ痛みが次第にひどくなってきた』『頭痛の頻度が高まってきた』という場合は、受診をお勧めします。くも膜下出血などの急性頭痛のケースも考え、脳神経外科などでMRI(磁気共鳴画像法)検査を受けた方がよいと思われます。

MRIで異常がなければ、『頭痛専門の神経内科を受診して効果的な鎮痛薬を処方してもらう』『かみしめを自分の意思でコントロールできるように努める』『頭痛治療用のマウスピースを作製できる歯科で治療を受ける』などの選択肢があるでしょう」

Q.頭痛を放置すると、どのようなリスクが想定されるのでしょうか。

領木さん「頭痛がひどくなると、『朝起床できない』『体を動かすだけで痛みが増す』などの状態となり、会社や学校を頻繁に休まなければならない状況となります。ただし、鎮痛薬の服用回数が増え続けると、かえって頭痛が増悪する『薬物乱用頭痛』という状態に進展する可能性があるので、注意が必要です。先述のように、痛みが気になるようであれば受診をお勧めします」

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