映画のもうひとつの主役といえるトヨタの高級車レクサスは「ワイルド・スピード」シリーズへの登場はもちろん、近年はMCU映画に頻繁に登場し、「エターナルズ」(2021)ではNX、「ブラック・パンサー/ワカンダ・フォーエバー」(2022)ではLC500が“出演”してクールな外観とすぐれた走行性を世界にアピールした。
本作に登場するレクサスISは1998年に初代が発売された中型セダンで、画面上で見るかぎり年式はかなり古そう(なんせボコボコに壊されるので…)。そのぶんエクステリア、インテリア共にかなり金をかけて改造されている印象。本編は主人公のノアが、総革のオーダーメードシートを丁寧に掃除するシーンからスタートするが、そんなお気に入りの特注車が次から次に現れる“ヤバい奴ら”によって汚され、壊され、血まみれにされていく。それを悲しげに見つめるノアの視線がせつなくも笑える。車好きの観客には、きっとたまらないMの快感をもたらすブラックコメディなのだ。
監督は「CUB/カブ 戦慄のサマーキャンプ」(2014)で新感覚のキャンプ・ホラーを高く評価されたジョナス・ゴーファート。ミュージックビデオを多数手掛ける監督だけに、ディミトリが監修した音楽のインサートにも最高のセンスを感じる。ダンスミュージックとレクサスの暴走にあわせて体を揺らしながら観ると、ゴキゲンに 酔えること間違いなしの必見のエンタメ作だ。
文=藤木TDC 制作=キネマ旬報社
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「ワイルド・ハザード」
●5月17日(水) ゲオ先行レンタル
●2022年/ベルギー/本編88分
●監督・脚本:ジョナス・ゴーファート
●出演:ディミトリ・シバイオス、ジェロン・パーシヴァル、ジェニファー・ヘイレン
●発売・販売元:プルーク
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