決勝。9回表にマウンドに向かった大谷に、私たち誰もが「頼んだぞ!」と思ったはずだ。そして最終打者を三振に取り、勝利の雄たけびを上げる大谷ーー。
駆け寄る選手やスタッフ、チーム全員が歓喜の輪に加わった。選手だけではない、チーム全員で勝ち取った世界一の座なのだ。そこにいたるまで、ともに闘った裏方だけが知ることのできる熱いドラマがあった。優勝の感動が冷めやらぬいま、それを本誌だけに語ってくれたーー。
「裏方として、いちばん印象に残っているシーンは、決勝戦で、大谷選手やダルビッシュ投手など、全部で7人の投手をブルペンから送り出すとき。
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『よしっ、頼んだぞ。頑張って!』
僕たちブルペン捕手だけじゃなく、残っていたピッチャーも一緒に声をかけたときの、彼ら一人一人の思いを凝縮したような表情が忘れられません。
誰もが無言でうなずくだけでしたが、当然です。僕らが想像できないほどのものを背負って一人、マウンドに向かうんですから」