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新たなクリスマス定番の誕生!『スピリテッド』豪華キャスト陣が明かす、「クリスマス・キャロル」に込められたテーマ

MOVIE WALKER PRESS

チャールズ・ディケンズの「クリスマス・キャロル」をもとに、幾度と映像化されてきたクリスマスの定番を、豪華キャストがミュージカルで演じるという意欲作『スピリテッド』(Apple TV+にて配信中)。配信開始に先駆け、ライアン・レイノルズ、ウィル・フェレル、オクタヴィア・スペンサーがインタビューに答えてくれた。


この物語におけるスクルージ(守銭奴)は、巧みに世論を操るマーケティングコンサルタント、クリント(ライアン・レイノルズ)。世の中の分断を促進する悪徳マーケターの彼を改心させるべく、“現在”のクリスマスの亡霊(ウィル・フェレル)が現れる。だが、クリントの同僚のキンバリー(オクタヴィア・スペンサー)には、亡霊たちの姿が見えるようで…。ミュージカル楽曲は、『ラ・ラ・ランド』(17)などを手がけたパセク&ポールこと、ベンジ・パセックとジャスティン・ポールが手がけている。

■「ウィル・フェレルと過ごした時間を、後になっても思い出すことでしょう」(ライアン・レイノルズ)

この作品に出演を決めた理由の第一にレイノルズは、フェレルとの共演を挙げた。「俳優になって以来、ウィルは憧れの存在でした。これは彼と共演するいい口実になる、と思いついたんです」と語る。「歌って踊るためでも、スクルージ役を演じるためでもなく、ウィルの隣に座って仲良くなるためでした。『憧れの人には実際に会わない方がいい』という忠告があるでしょう?だけど、彼は想像をはるかに超えてきました。ウィルは才能に恵まれたコメディアンであるだけでなく、人間として深く繋がれるような器の持ち主でした。だから、セットでは2人でいつもじゃれていて、みなさんの貴重な時間を奪う羽目になりました。でも、きっと、僕はウィル・フェレルと過ごしたステキな時間のことを、後になっても思い出すことでしょう」。

そう言いながらも、いままで映画で一緒にやってきたなかで最も意気投合したのは、『フリー・ガイ』(21)や『アダム&アダム』(22)で監督を務めたショーン・レヴィだと言い切る。「ナイト ミュージアム」シリーズや「ストレンジャー・シングス 未知の世界」では制作総指揮を務めるレヴィとは、「僕ら、同じDNAでできてる!」と言い合うほど気が合ったそうだ。

またレイノルズは、「ショーンと僕は最高のダンスパートナーのようで、『デッドプール3』でも同じような魔法が使えたらいいなと思っています。ウィルとの共演は、正直なことを言うと“恐怖”でもありました。自意識過剰だったのか、『ウィルの作品や演技に影響されると、自分らしさを失うのではないか』と心配していたからです。でも実際に一緒にやってみて、彼が人間として最高であることがわかったので、リラックスして演じることができました」と付け加えた。

■「ミュージカルの経験がない俳優を揃えた製作側の責任だと思う(笑)」(ウィル・フェレル)

撮影に入ると、脚本に書かれていた以上の分量がミュージカルシーンに割かれていたことに驚き、戸惑ったと全キャストが打ち明ける。レイノルズは、「僕は生まれつきのシンガーでもダンサーでもないし、一緒にシーンを作り上げるプロのダンサーたちのように、人生をかけて築き上げてきた技術もない。並はずれた才能とオーラを前にすると、ちょっと傍観者のような視点を持ってしまうものです」と話す。これを聞いてフェレルは、「ミュージカルの1曲を撮影するために、3〜5日かかります。一音節ごとに『ちょっと待って、そうじゃない!』と撮影が止められてしまう。僕らがやることなすこと全て、『全然違います!』って言われちゃう。そうなると、ミュージカルの経験がない俳優をこんなに揃えた製作側の責任だと思うけど(笑)」と肩をすくめた。そのやりとりを見ていたスペンサーは、「私は、現存するコメディアンのスーパースターの2人と同じスタジオにいられるだけで光栄だったけど(笑)。そのうえ2人と一緒に歌やダンスに苦労した経験は…。すごくおもしろかったうえに、できない者同士で仲間意識が一層強まりました」と語る。

ディケンズの「クリスマス・キャロル」は、いままでもたくさんの映像化が行われてきた。そのなかでレイノルズがお気に入りに挙げるのは、『マペットのクリスマス・キャロル』(92)。レイノルズは、「マイケル・ケインのスクルージも良かったけど、ビル・マーレイの『3人のゴースト』(88)も好きでした。この映画のためにたくさんのバージョンを見比べたけど、どれも違って、どれもすごいと思います。いまの世の中では、SNSによって操作された情報が蔓延しています。そのため、信頼できる客観的な情報を得ることが難しくなっています。僕が演じたキャラクターは、それを悪用していました。僕自身もマーケティング会社(『デッドプール』を機会に設立されたMaximum Effort社)を経営し、マーケティングにとても興味があるので、非常に考えさせられました」と、『スピリテッド』のテーマに共感した理由を説明する。

それを聞いたスペンサーが、「私はディケンズの原作から、どんな人でも救われるチャンスがあるのだというメッセージを受け取っていました。今作では、その“救済”がテーマの大きな部分を占めているところがとても気に入っています」と付け加えると、フェレルが「いま、『人は本当に変われるのか?』の問いを問うには、これ以上ない最適なタイミングでしょう。でも、『人に親切にしましょう』というメッセージは、クリスマスだけじゃなくて、1年中心がけるべきだと思うけどね(笑)」と、とぼける。3人の息の合った掛け合いは、映画1本と言わずシリーズにしてほしいほど。

『スピリテッド』は、SNSによる印象操作や分断といったとても今日的な事象を描きながら、年の瀬やホリデーシーズンに「クリスマス・キャロル」の物語が繰り返し観られている理由を印象付ける。この映画もまた、新しいクリスマスの定番として長く愛される作品になることだろう。


取材・文/平井伊都子
 
   

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