のちに長嶋はこの行き違いを鶴岡に詫びた。杉浦は南海に入団を決め、本屋敷は一早く阪急(現オリックス)入りを公表していた。
入団会見ではサプライズがあった。猛牛・千葉茂から背番号「3」を譲られたのだ。千葉の長嶋への門出のはなむけである。
長嶋は「今日正式に巨人軍に入団して、こんなうれしいことはありません。自分自身の意思を貫き通して巨人入りしただけに、感激もひとしおです」と話し、こう続けた。
「名誉ある3を付ける以上、絶対に頑張らなければなりません。単純な考えですが、前から内野だから若い番号が欲しかったんです」
猪狩雷太(いかり・らいた/スポーツライター)スポーツ紙のプロ野球担当記者、デスクなどを通して約40年、取材と執筆に携わる。野球界の裏側を描いた著書あり。
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*週刊アサヒ芸能12月8日号掲載