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「拷問を受けない国にいるのに…」習近平政権に風穴? ゼロコロナ“抗議デモ”日本でも

ABEMA TIMES

 日本での抗議集会について、安田氏は「正直ちょっと感動した。この人たちはどれだけ勇気があるんだと思った」といい、その上で「リスクは極めて大きい」と明かす。

「実際に日本で行われたデモに参加した人に話を聞いてみたが『北京や上海では下手したらマスクなしでやっている。その勇気に感動した。少なくとも安全で、集会に参加しただけでいきなりしょっぴかれて拷問を受けない日本にいる自分が動かないのはダメだ』と言っていた。『(中国)国内で戦っている人の勇気まではないけれども、せめてこれぐらいはやるべきだと思った』と彼らは言っていた」

 プロデューサー・慶應義塾大学特任准教授の若新雄純氏は「独裁は正しいことをやるかどうかが重要ではない」と指摘する。

「やったことをいかに正しかったことにするか。それが権力構造だと思う。独裁は、やった後に正解にする。今どきインターネットがある時代に、それが可能なのか。今なお中国がそれを可能にしていることに驚いていた。今回の件で、何か少し風穴は開きそうなのか。それとも、まだ独裁政権にとって都合のいいように全てが書き換えられていくのか」

 若新氏の質問に阿古氏は「中国の人たち次第だ」と回答。

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「私も大学で自分の教え子たちが『グループを立ち上げた』と言っていてびっくりした。今までなかったことだ。やはり『人間らしく表現したい』という思いがあって、独裁国家で異論を排除していく政治システムに対して疑問を持ち始めた。新型コロナで自分たちの身近な生活がここまで混乱してしまう、命を落とす人もいるんだと知った。新型コロナがきっかけだったかもしれないが、そこから言論の自由、政治体制の問題に触れていった」

 一方で、阿古氏も「かなりリスクが大きい。抗議活動がいつまで続くかはわからないが、家族にもリスクがある」と指摘。中国当局は、デモについてどのように思っているのだろうか。

 阿古氏は「もちろん警戒していると思う」とした上で「暴力的に、あるいは監視システム技術などを使って封じ込めてきて、お金も人もたくさん投入してきた。でも、それは際限なく続くわけではない。今の中国は景気も悪化している。財政破綻する地方もある。どこまで今の政権のやり方が続くのか分からない」

 今後、ゼロコロナ政策に変更などはあるのだろうか。安田氏は「なかなか難しいだろう」と見解を述べる。

「現実的に考えれば、ゼロコロナ政策を取り下げるだけで解決はできる。最も穏健なデモの封じ込め方法だ。現実的なところで考えると、ゼロコロナという言葉自体は変えないで、不合理なPCR検査やロックダウンを少し減らし、末端の官僚の首をとりあえず切るだろう。あとPCR検査で私腹を肥やした悪い商人を何人か捕まえてさらし者にする。そうすることで、国民の不満を解消させて『やっぱりこれをやってくれる習近平主席はえらい』とプロパガンダをみんなでやって、一件落着みたいな方向に持っていきたいのではないか」

 今回の抗議デモが中国共産党を危うくするきっかけになるのだろうか。安田氏は「識者によって解釈が違う。絶対の正解はない」とした上で「少なくとも現時点までの状況から、共産党体制が崩壊したり、習近平主席が辞任に追い込まれたりすることは、限りなくないと思う」とコメント。

「今回の件が大きなパンチであるのはたしかだ。すごいパンチが、いきなり不意打ちでパンと出てきて当たったが、それだけで人は倒れない。その後、連続してコンボが出てくるのか、それとも一発殴って終わるのか。長期的な何かのきっかけになるかで言うと、もしかしたら政権が動揺するかもしれない」

 阿古氏は「中国共産党という組織はすごく盤石だ。縦横に共産党の既得権益層がガッチリと押さえている。ただ、経済次第だ。経済がもっと悪化していくと、今まで甘い汁を吸っていた人たちもいい思いができなくなってくる。だからと言って民主化が進むわけでもない。新しいリーダーもすぐには生まれないので、いろいろなところで混乱した状況が続いていくと思う」と述べた。

 今まではあまり見られなかった中国政府への抗議デモ。今後の体制に影響が出てくるのか、世界が注目している。(「ABEMA Prime」より)

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