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久保史緒里が語る、映画初主演への想いとアイドルとしての現在地「個人活動を広げることが、乃木坂46への恩返し」

MOVIE WALKER PRESS

乃木坂46の3期生として活動し、舞台「夜は短し歩けよ乙女」のヒロイン役やラジオパーソナリティなど多方面で活躍をしている久保史緒里。映画初出演にして初主演を務める『左様なら今晩は』(公開中)では、ウブな幽霊の愛助役を好演している。MOVIE WALKER PRESSでは、公開初日を迎えた久保に単独インタビューを敢行。今作での自身の演技や、約1年前に行われた撮影時のエピソード、グループに所属しながら個人で活動をすることへの想いを語ってもらった。

■「萩原さん演じる陽平のおかげで、愛助として動くことができました」

本作は、不器用なサラリーマンとピュアな幽霊の奇妙な共同生活を描いた、山本中学による同名コミックの実写映画化作品。監督を務めた高橋名月が脚本も手掛けており、キャラクターの設定や、舞台が広島県の尾道市になるなど、原作から変更されている点も多い。役作りにあたって久保は、「映画オリジナルの脚本ではあるんですけど、もちろん原作を読ませていただいて『すてきだな』と思ったところを取り入れました」と語り、映画後半での萩原利久が演じる陽平とのデートシーンは、特に原作を意識したという。「原作での愛助がどこかさっぱりしているところがいいなと思ったので、陽平とのデートをただただ楽しむように意識しました」。

宮城県出身の久保は、本作で広島県の備後弁に初挑戦。撮影前から方言の音源を聞いて入念に練習を行ったという。「音源をいただいて練習をしていたのですが、実際に現場で演技をしてみると、一文字の発音の違いでニュアンスが変わってしまうのが難しかったです。何回も撮り直したりもすることもありました」。

そんな慣れない方言を話す“ウブでピュアな幽霊”の役を演じるのに苦労もあったとようだが、彼女を牽引したのは萩原だったという。「私はなかなか役として動くことができなかったんですが、萩原さんは撮影の段取りの段階から、動きですごく引っ張ってくださいました。『どう動いたらいいんだろう』と迷っていた時も、萩原さん演じる陽平のおかげで、愛助として動くことができるようになりました」。

俳優経験の長い萩原との会話で、役者業についても学べたのでは?と、撮影時のエピソードを聞くと、「役の話とかは全然してないんです(笑)」と久保は破顔する。「私が人見知りをしてしまっていたのですが、萩原さんとはスポーツ観戦が趣味という共通点があったんです。待ち時間にたまたま、2人でそれぞれの携帯で違うスポーツを見ていたんですよ。そこをきっかけに、会話ができるようになりました。中身のある会話は本当にしてないのですが(笑)。なにげない会話を通して、仲良くさせていただきました」と和やかな現場での様子を明かしてくれた。

■「一年前の自分を見返すと、『いまならどうしてたかな』という考えが浮かんできます」

幽霊役を演じた久保だが、実は幽霊は苦手だそう。本作への出演がきっかけで克服できたか尋ねると、「やっぱりホラーとか幽霊が苦手っていうのは変わらない」と苦笑。その一方で、愛助への理解は深めることができたという。「この作品で陽平と愛助が選んだ道は、人によっては『もっとほかの道があったんじゃないか』と思う方もいるかもしれないけど、私はお互いにとって良い選択だったなと思いました」。

本作の撮影から公開を迎えた1年の間に、舞台「桜文」で主演を務めるなど演技経験をさらに積んだ久保。完成した今作を観て思うところもあったという。「あんなに大きなスクリーンで自分のお芝居を見るというのは初めてのことだったので、一度目は冷静には見られませんでした。自分の演技を見て、『もっとこうできたな』というようなところを探してしまって。繰り返し見ることで、だんだん冷静になってきましたが、やっぱり一年も前の自分を見返すと、『いまならどうしてたかな』という考えが浮かんだりします」。

乃木坂46としてのアイドル活動でも、出演した音楽番組などを見返して、自身の出演シーンに課題を見つけることも多いという。「グループで歌番組に出演すると、自分が映る時間って3秒もなくて、本当に“1秒の勝負”なんです。リハーサルの映像を見て『どういう表現ができるかな』と考えて、本番は一発勝負。毎回、その“1秒の勝負”に懸けているので、見返す度に『髪が顔にかかっちゃったな』とか『もっとこういう表情できたな』とすごく考えています」。

自己研鑽を惜しまない日々を繰り返すことで、“反省”との向き合い方にも変化があったそうだ。「昔の自分は、たぶんその反省の時間が苦だったんです。自分の嫌な部分しか見えないから、それを見つけて『またダメだった』って。それこそドラマとかに出させていただいた時には、周りの方との差にすごく落ち込むところがあったんです。いまでも落ち込むことはありますが、あまり引きずらなくなりました。落ち込んでもその先に、なにかが生まれることってないと思うんです。だから反省はするけど、一週間も引きずるようなことはない。自分のなかで線を引くようになりました」。

■「“乃木坂46の子”があの作品に出てたよ』ってなることが大事」

「個人」として成長を続ける久保の所属する乃木坂46では、一期生の齋藤飛鳥が卒業を発表するなど、「グループ」にとっても変革の時を迎えつつあるように思える。心境を聞くと、「やっぱりグループのなかにいる人間として、変化は感じてはいますし、焦りみたいなものもあります」と話し、グループのためにやるべきだと思っていることを教えてくれた。「個人の知名度がすごく課題だと考えているんです。乃木坂46の名前をもっと外に広めていかなきゃいけないなと思うので、今回の作品のように、個人で活動できる場をもっと広げていくことが、グループへの恩返しになるのかなと思います」。

久保の言う個人の知名度とは、世間で“乃木坂46の子”として認知されるのではなく、“久保史緒里”として認知されるべきということなのかと問うと、「私は“乃木坂46の子”で全然いいと思うんです」と意外とも思える答えが返ってきた。「『“乃木坂46の子”があの作品に出てたよ』ってなることが大事。そういうふうに言ってもらえるような活動をしたいなと思います。“久保史緒里”としてもそうなるのが理想ではありますが、『この前、“乃木坂46の子”が出ていたドラマ観たよ、映画観たよ』という会話が世間に増えるように、少しでも外で頑張りたいなと思います」。個人の名前そのものよりも、乃木坂46のメンバーとして世間に顔を知られることが大切だと説明する久保は、「グループとしては、後輩メンバーがこれからの乃木坂46をどんどんと盛り上げてくれると思っているので、後輩たちにとって、居心地の良い、自分らしく活動できる場所にしていきたいなと思います」と、乃木坂46を支える後輩たちへ想いを語った。

映画では、恋愛をやり残したことで愛助は幽霊となった。久保にとってやり残したくないことはあるかと尋ねてみると、久保はまっすぐな目で答えてくれた。「もちろん考えればあるとは思うんですけど、それを考えちゃうと、辛くなることもあると思うんです。『生きている間にこれをしたい』と言うと、そこに囚われちゃうから、あまり考えないようにしています。私は、自分の人生で想像しなかったようなことができることが楽しいんです。だから、アイドルとしてのゴールも実は決めていません。ただ、自分が考えるよりも一つでも多く、夢が叶っていたらすてきだなって。そういう生き方をするようにしています」。

取材・文/山田健史
 
   

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