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ネット中傷、発信者特定の壁…10月施行の改正法でどう変わる? 弁護士に聞く

オトナンサー

改正法では、従来の2段階の裁判手続きを行う方法とは別に、1つの手続きで発信者情報の開示まで完了できる新しい制度が創設されました(コンテンツプロバイダーへの申し立てと経由プロバイダーへの申し立てが併合され、同一の手続きで審理される。審理中に発信者情報が消去されることを防ぐための申し立ても併せて行える)。これにより、よりスムーズな発信者情報の開示が行われ、被害者が権利侵害情報を発信した者に対して、法的責任を追及しやすくなることが期待されています。

(2)また、従来は、開示対象とされている発信者情報に、ログイン時のIPアドレス等が含まれるか明らかではなかったことから、裁判所の判断によって、開示請求が認められないことがありました。改正法により、ログイン時のIPアドレス等についても、一定の要件を満たした場合、開示の対象とされることになります。

そのため、近年問題となっているSNSを利用した権利侵害投稿について、投稿時におけるIPアドレス等が記録されておらず分からない場合でも、ログイン時のIPアドレス等が開示されることにより、発信者を特定できるようになり、被害者の救済に役立つのではないかと期待されています」

Q.改正法が施行されても、被害救済への課題は残るのでしょうか。

佐藤さん「改正法の新たな裁判手続きは、プロバイダー側の協力に委ねられている部分も大きく、プロバイダー側の協力が得られそうなケースや、開示要件を満たしているかどうか判断しやすいケースなどで活用されることが期待されています。

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一方、プロバイダー側が強く争う姿勢を見せているようなケースでは、既存の2段階の裁判手続きを行う方法を選択することになると考えられ、被害者の負担はあまり変わらない可能性もあります。

プロバイダー側も発信者情報を特定することが困難なケースもあり、どこまで特定に協力してくれるのかなど、制度が実効的に機能するかどうか、今後の運用を見守る必要があるように思います。なお、改正法付則において、施行から5年後に施行状況について検討を加え、必要な措置を講ずることになっています」

Q.改正法施行による副作用的な事態は想定されるのでしょうか。

佐藤さん「プロバイダー責任制限法の改正は、インターネット上の誹謗中傷などによる被害者救済のため、発信者情報の開示を円滑に進める方向でなされました。一方、本来、発信者情報は通信の秘密として保護されるものですし、匿名表現の自由もあります。

誹謗中傷ではない、匿名での『正当な批判』に対して、むやみに発信者情報の開示が求められることになると、通信の秘密や発信者のプライバシー、匿名表現の自由などが不当に制限される危険があります。

発信者情報の開示を求める新たな裁判手続きは、裁判所の裁量が広いことから、裁判所が、個々の事案に応じて、被害者を迅速に救済すべきか、発信者の通信の秘密や匿名表現の自由を尊重すべきか判断し、適正に法を運用することが期待されています」

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