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Interview|西海岸のDIYコレクティブ・Peach Tree RascalsがTikTokドリームを掴むまで

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Issac Domと二人で活動していた頃から、自分たちの音楽のイメージを汲み取ってデザインやマーチャンダイズといったビジュアル面をディレクションしてくれる固定メンバーがいてほしいという話はよくしていました。そこにTarrekとJosephが加わり私たちの音楽性がより固まったことで、その想いがさらに強くなったので、Jorgeを誘ったんです。

Tarrek Jorgeは私たちより少し年下で学校も別だったのですが、彼がネットにアップしていた絵やグラフィックがどれも素晴らしかったので、SNS上でコンタクトを取りました。

Issac Jorgeのようなアーティストやデザイナーは、いろんなオファーを転々としながら活動するケースがほとんどだと思うのですが、彼は一つのプロジェクトにコミットして作品を作りたかったみたいで、私たちと意気投合しました。

Tarrek ビジュアル面と音楽の繋がりを密接にしたかった。そのなかで、作品ごとにビジュアル面を担当してくれるアーティストを変えていくことも一つのやり方だと思いますけど、私たちは信頼できる仲間一人に手掛けてもらうことで、それぞれの作品ごとの色はありつつも、全体として統一された世界観を作りたかったんです。

信じて活動し続けた先にあったTikTokでのビッグヒット

━━そして2019年8月にリリースした“Mariposa”が大ヒットしました。そのことについてはどう感じていますか?

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Tarrek 常にその時点でのベストだと思える曲をリリースし続けていれば、どこかのタイミングでヒットするだとうという可能性を信じて活動していました。そんななかでも“Mariposa”は私たちにとってスペシャルな曲でした。コード進行を考えたのはJosephです。彼はその断片が思い浮かんだ瞬間に何かを確信した様子で、そのあと仕事があるにも関わらず2時間も遅刻して作業を進めたんです。 そして私がギターでコードを弾いて彼が歌ったものをみんなに送ったところ、それぞれから今までにない大きなレスポンスがありました。そして“Mariposa”は実際にヒットした。いつかはヒットすると信じて活動していたとはいえかなりびっくりしましたが、同時にこれまでの努力が報われた気がしましたし、その後の制作に対するモチベーションもアップしました。

Peach Tree Rascals – Mariposa

━━Peach Tree Rascalsが曲を作るうえで大切にしていることは何ですか?

Dom 誠実であることです。

Issac そしていろんな音楽に耳を傾けながらコミュニケーションを大切にすること。Peach Tree Rascalsは、そんなオープンな姿勢によっていい曲ができるタイプだと思います。

Tarrek 聴いてきた音楽がメンバーそれぞれにばらばらなので、それらから受けた影響をいかに上手く反映しながら多様な曲を作っていくかがポイントですね。そこでオープンマインドなコミュニケーションは不可欠だと思います。

Issac タイムレスな曲を作りたいんです。私たちの音楽は、ジャンルではなくフィーリング。いろんな時代や背景の音楽やカルチャーから受けたインスピレーションが混ざりあってできたものを、Domが美しくプロデュースしてくれることによって完成するものだと思っています。

ジャンルでは割り切れないPeach Tree Rascalsらしさ

━━最新EP『Does A Fish Know It’s Wet?』は、まずタイトルがとてもユニークですね。

Tarrek タイトルはJorgeのアイデアです。

Jorge 私は曲作りには関わっていないので、第三者目線で作品を聴いて感じたことですね。人間は、自分は誰でどこから来て、今どんな状況に置かれていて、周りではどんなことが起こっていて、どこへ行こうとしているのか、わからなくなることがあると思うんです。そんな状況がポップに描かれているような印象を持ったので私なりにタイトルを提案したら、みんなが「それでいこう」と言ってくれました。

Tarrek 言い得て妙だと思いました。まず、私たちは「こんな曲を作ろう」と決めてから制作に臨むスタイルではないんです。コード進行など曲の卵になるようなものがあるのですが、完成形は見えないままあれこれ話し合いながら曲にしていく。それによって生まれるジャンルでは割り切れないPeach Tree Rascalsらしさみたいなものを汲み取ってくれたように思いました。

Peach Tree Rascals- Let U Go (Official Music Video)

━━なるほど。

Tarrek あともう一つ。私たちはずっと友達同士で楽しく活動してきましたが、“Mariposa”がヒットしたことでクレイジーな状態になったこととタイトルがリンクしているようにも思ったんです。レーベルに入って、マネージャーや自分たち以外のスタッフもついてくれた。私たちはヒットを望んでいたし、それが起こったことでモチベーションもアップした。チームが大きくなったこともとても喜ばしいことです。しかしその反面、あまりに突然のことだったので海の中に放り込まれたような感覚になって、自分たちがどこに行けばいいのか、方角すらわからないような状態になったので。

━━とは言え、作品そのものに迷いがあったわけではないですよね?

Issac 正直に言うと最初は戸惑いもありました。しかし、今まで友達同士だけでやってきた私たちからすれば“外の世界”とコミュニケーションを取ることで、音楽的にもビジネス的にもいろんなことを学んで視野が広がっていった。やがてストレスも減ってきて、とても良い作品が作れたと思っています。

Tarrek 幅広いバックグランドをどのように曲に落とし込むか。結局、私たちのやることや目指す音楽性は変わらない。その軸があったうえでいろんな人たちとのコミュニケーションを取ることは、ミュージシャンとしてのスキルや曲のクオリティーのアップに繋がると思います。

━━今後はどのように活動していきますか?

Tarrek 音楽、そしてビジュアルやマーチャンダイズなどすべての面でクオリティーを上げていくことが第一。そして、いつか映画音楽を作りたいですね。アジアツアーにも出たいと思っていて、この記事を読んでくれたみなさんと直接会える日を楽しみにしています。

Text:TAISHI IWAMI Translator:原口美穂

Peach Tree Rascals

プロデューサー/ミクサーのDom、ラッパー/シンガーのIssac、Tarrek、Joseph、そしてクリエイティブ・ディレクターのJorgeの5人から成るPeach Tree Rascalsは、高校生の時にサンフランシスコはベイエリアで出会い、Issacが音楽制作&リリースしているところにTarrek、Dom、Josephが参加し、Jorgeが、彼らの写真&ビデオ撮影やグッズ制作の手伝いするところから結成。影響を受けたアーティストは、ケンドリック・ラマーやフランク・オーシャン、ザ・ビートルズからジョン・メイヤーなど幅広く、ジャンルもオルタナティブ・ジャズ、ファンク、HIP HOPなどと多岐にわたっている。メンバーの殆どが移民二世(パレスチナ、フィリピン、メキシコからの移民の息子)で、自然と共感し合い、まるで家族の様な5人はレッド・ロブスターや、地元の印刷会社などで働きながら音楽活動をしている。2020年にシングル「Mariposa」がパンデミックで世界中が自粛隔離しながら、恋人に会えない若者の間で共感を呼び、TikTok発で大ヒット!

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INFORMATION

Does A Fish Know It’s Wet?

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2022年8月16日

提供元: Qetic

 
   

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