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【MLB】国際ドラフト導入ならず、ドミニカ選手争奪戦の恥部を剥ぐことはできるのか?

週刊ベースボールONLINE

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ドミニカ共和国の若い才能を、早くから囲い、現地トレーナーたちの間で行われている不正なお金流れと薬物問題は依然として解決していない。国際ドラフト導入で果たして解決できるのだろうか!?[写真はイメージ]

 MLB機構が20年に渡って導入を試みてきた国際ドラフトが、今回も選手会と合意できず実現しなかった。MLB機構の提案は2024年、30球団が20人ずつを指名するドラフトで600人の選手に保証される金額が1億9100万ドルというもの。

 これに対して選手会のカウンターオファーは2億6000万ドルで6900万ドルの差額を埋められなかった。MLB側からすれば1億9100万ドルは昨年度に国際選手に支払われた総額より3300万ドルも高く設定している。

 しかしながら選手会側からすると、24年のアメリカ、カナダ、プエルトリコのアマチュア選手を対象にした、いわゆるルール4ドラフトの600選手への見積り3億ドル以上に比べると3分の2以下と少ない。

 これは不公平だと2億6000万ドルを提案したが、歩み寄れなかった。昨オフの労使協定交渉では、ぜい沢税、調停前選手のボーナスなどでチキンレースを繰り広げたが、また同じことの繰り返し。労使協定については公式戦短縮の危機に瀕していたため歩み寄れたが、今回はそういった危惧もなく、あっさりデッドラインの7月25日を過ぎてしまった。

 問題は、メジャー・リーガーの10パーセントを占めるドミニカ共和国出身選手が、違法行為野放しの中、MLB球団と最初の契約を結ばねばならない現状だ。球団スカウトと子どもたちを世話する現地のトレーナー間で行われている不正なお金の流れと、薬物問題である。

 10年、当時のバド・セリグコミッショナーがサンディ・アルダーソンに調査を命じ、問題が明るみになったが、そのときよりも深刻になっている。ルール上、国際選手は16歳からプロ契約できるが、球団間の競争激化で、その前に口約束で合意する。早ければ12歳から13歳で、その件数が急激に増えている。トレーナーは10歳くらいの子どもを集め、野球を練習させ、寝泊まりさせ、食べさせてだから相当お金もかかる。

 ゆえに契約金の半分はトレーナーに行く。トレーナーは子どもたちを高く売りたいから、薬物を供与したりする。薬物検査は16歳でサインする6週間前まで受けなくてもいいからだ。加えてトレーナーが受け取ったお金の一部は、獲得球団のスカウトなどにキックバックされることもある。チームがぎりぎりになって口約束を破棄したり、フィジカルの結果が悪いと契約金が減額されたりということもあるからだ。

 17年、ブレーブスのジョン・コッポレラGMが国際選手の契約で数々の不正を行っていたとして球界を永久追放された。その後事態はさらに悪化しているのに、誰も処分されていない。MLB機構はドラフトを行うことになれば、口約束での合意の意味がなくなり、透明性を向上し、問題を解決できると主張する。

 一方で選手会は、MLB機構はドラフトに固執するのではなく、球団関係者の15歳以下の子供たちとの接触を禁じるなど、不正を厳しく取り締まるべきだと反論する。ドラフトを導入するため、故意に無法状態を野放しにしているという疑惑もある。いずれにせよ、MLBは早急にドミニカ選手争奪戦の恥部を剥ぐ必要がある。

文=奥田秀樹 写真=Getty Images

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