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先発マスクが減少も…FA取得予定の巨人・大城卓三に他球団「総合力でNo.1捕手」高評価が

週刊ベースボールONLINE

新監督の捕手起用法



今年はスタメンマスクをかぶる機会が減っている大城

 阿部慎之助監督が就任した今季は起用法に変化が表れている。外野陣はドラフト3位の佐々木俊輔、プロ2年目の萩尾匡也が台頭。現役ドラフトで移籍2年目のオコエ瑠偉も攻守で存在感を発揮している。そして、正捕手争いにも変化が。近年は大城卓三が不動の正捕手として試合に出続けていたが、今季は違う。

 先発マスクを見ると24試合終了時点で大城が半分の12試合にとどまり、小林誠司が7試合、岸田行倫が5試合出場している。小林は昨季の先発マスクはわずか2試合にとどまったことを考えると、今季は春先から出場機会が急増している。同学年の菅野智之が先発登板した4試合すべてでバッテリーを組んでいるほか、ソフトバンクからトレードで加入した高橋礼やエース・戸郷翔征の登板日もマスクをかぶるように。先発出場した7試合で4勝1敗2分けと好リードで投手陣の良さを引き出している。

 一方、大城はベンチから試合を見つめる時間が増えている。スタメン出場した4月2日の中日戦(バンテリン)では2度の犠打を失敗し、チームはサヨナラ負けを喫した。強打の捕手で定評がある一方で、昨年はリーグ最多タイの21犠打をマークと小技の能力が高いが、手痛いミスに厳しい表情を浮かべていた。4月13日の広島戦(東京ドーム)以降の12試合で先発マスクは2試合のみ。26日のDeNA戦(東京ドーム)は5試合ぶりのスタメン出場となったが1点リードの8回に一挙6点を奪われ、2対7で逆転負けを喫した。

期待値が高いからこそ


 能力を考えると、正捕手に最も近い存在であることは揺るがない。昨季は自己最多の134試合に出場し、打率.281、16本塁打、55打点。守備でもリーグ2位の盗塁阻止率.373を記録した。ただ、チームは2年連続Bクラスに低迷。大城のリード面に手厳しい声が上がる時もあった。今季は春先に先発マスクをかぶった際、投手が集中打を浴びて大量失点を喫する試合が続いた。名捕手として現役時代に活躍した阿部監督は「岸田とか小林の捕手としての振る舞いを勉強してほしい、というので(スタメンから)外させてもらっている。本人がどう感じてやるかだけ。まだまだいい捕手になれる」と語っている。期待値が高いからこそ、もう一皮むけてほしいのだ。

 ただ、阿部監督の起用法が奇をてらっているかというとそうではない。近年は捕手の併用がトレンドになっている。阪神は梅野隆太郎、坂本誠志郎を起用して昨年38年ぶりの日本一に。オリックスも森友哉、若月健矢と能力の高い2人の捕手を擁してリーグ3連覇を飾った。若月は山本由伸(現ドジャース)、山崎福也(現日本ハム)が先発登板時にマスクをかぶる機会が多かったことから、両投手が退団した今季は出場機会の減少が懸念されたが、24試合を終えて先発マスクは若月が13試合、森の11試合を上回る。森は打力を買われて右翼で6試合、指名打者で4試合先発出場している。若月の捕手としての能力が高く評価されている証しだろう。

壁を乗り越えた先に


 シーズンは長い。先発マスクが減っている大城だがさらなる成長を見せてくれなければ、V奪回は実現できない。本人も置かれた立場は理解している。4月13日の広島戦(東京ドーム)。同点の延長12回1死二塁の好機で代打起用されると、直球を右中間にはじき返すサヨナラ適時打を放った。試合後のヒーローインタビューでは「つないでくれたんで、なんとかしようと思って、打席に立っていました。本当に無我夢中だったので、いい結果になって良かったです」と言葉に力を込めていた。

 順調にいけば今季中に国内FA権を取得する。攻守で能力が高い捕手として希少価値があるだけに、他球団の評価は高い。セ・リーグの編成担当は「総合力で言えばセ・リーグNo.1の捕手だと思います。守備面を指摘されることが多いですが、盗塁阻止率が高くブロッキング技術も高い。配球も数年前に比べれば大きく成長している」と高い評価を口にする。

 31歳は捕手としてまだまだ若い。経験を積み、これから脂を乗り切る時期を迎える。この壁を乗り越え、巨人の「不動の正捕手」になれるか。野球人生のターニングポイントを迎えている。

写真=BBM
 
   

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