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続編も決定!ルッソ兄弟が語る『グレイマン』の舞台裏「銃が与える精神的な影響についても、きちんと伝えようと思った」

MOVIE WALKER PRESS

世界的メガヒットとなった『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(16)と『アベンジャーズ/エンドゲーム』(19)を手掛けた“ルッソ兄弟”ことジョー&アンソニー・ルッソが、新たに放ったライアン・ゴズリング主演のNetflix映画『グレイマン』(独占配信中)。アドレナリン噴出のダイナミックなアクションや、豪華キャストの共演に心躍る本作は、約2億ドル(約269億円)とNetflix史上最大の制作費を投じたとされる野心作だ。配信するや続編とスピンオフの製作も同時に発表された。そんなNetflix肝いりな本作の舞台裏について、ルッソ兄弟にインタビュー。

ゴズリングが演じたのは、とある理由から命をねらわれる身となった元CIA工作員の“シエラ・シックス”ことコート・ジェントリー役。彼の命をねらう非情で冷酷な元同僚、ロイド・ハンセン役をクリス・エヴァンスが、コートを援護していく工作員、ダニ・ミランダ役を、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(20)のアナ・デ・アルマスが扮している。

――原作小説はマーク・グリーニーの「暗殺者グレイマン」ですが、どんな点に惹かれて映像化したいと思ったのですか?

ジョー「原作が大好きで、主人公がすごく魅力的だったことです。ジェームズ・ボンドとは相反する労働者階級のヒーローで、スパイとして生きることに対してひじょうに抵抗感を感じながらも、日々を必死に生きている。いまの時代に誰もが魅了されるアンチヒーローだと思いました。また、国家規模の汚職事件が絡んでいく点も、現代の世界情勢を非常に象徴していると感じたし、我々が好きなアクションスリラーという面もすばらしかったので、実写化したいと思いました」

――世界の映画ファンをうならせた『~インフィニティ・ウォー』と『~エンドゲーム』ですが、今回もその2作で組まれたクリストファー・マルクスとスティーヴン・マクフィーリーが脚本で参加しています。『グレイマン』ではどんな目標を掲げて制作に入られたのですか?

アンソニー「『~エンドゲーム』では、我々映画人にとっても、映画を観てくれた観客にとっても、またとない経験ができました。同作はMCU10年分の集大成的な作品でしたが、『グレイマン』はまったく新しいところから始めたので、真逆のアプローチと言えるような作品となりました。

ジョーも私も、マルクスやマクフィーリーと仕事をするのが本当に好きで、彼らとは何年もの間、マーベル作品でとてもいい仕事ができました。私たちは、大きな世界観のなかで、物語を伝えていくことが大好きです。今回の『グレイマン』が、観客の方々にどう捉えられるのかはまだわかりませんが、我々としては今作もそういう作品だと位置づけています。だから、今後も何本か作品を続けて撮っていけたらいいなと考えています」

■「ライアンはタフさ、おもしろさ、温かさに加え、カリスマ性もある俳優で、緊張感のあるシーンにおいても、すごく信憑性のある演技ができます」(ジョー)

――ジョーさんは以前からコート役のライアン・ゴズリングをお好きだったそうですが、マーベル映画を作っていた時から彼に目をつけられていたのですか?

ジョー「ライアンはきっと世界中から愛されていると思いますが、僕も何十年もの間、彼の演技に惹かれてきました。ライアンはタフさ、おもしろさ、温かさに加え、カリスマ性もあるという、すべてを兼ね備えた俳優です。さりげない役から、少し変わった役、実にユニークな役まで演じられますし、緊張感のあるシーンにおいて、すごく説得力のある演技ができます。

シエラ・シックスというキャラクターは、内面が表現できないと、ただの冷たい人だと捉えられがちな実に難しい役柄。でも、ライアンは彼の繊細さをとても上手く表現してくれたので、本当に適役だったと感じました」

――冷酷非道なヒール、ロイド役を演じたクリス・エヴァンスのぶっ飛んだ演技にしびれましたが、演出してみていかがでしたか?

ジョー「クリスもすばらしい役者で、エキセントリックな悪役ぶりもすごくおもしろかったです。実際、いまの時代は、世界のあちこちでああいう過激派の人物が存在していますよね。また、男性ならでは嫌な感じを醸しだす人、カオスを作りだす人、思いやりがまったく欠けている人、個人主義の人…といったところを、クリスは絶妙に表現してくれました。彼はずっと正義に生きるヒーローのキャプテン・アメリカ役を演じてきましたが、今回は主役じゃなく、ヒールとしてああいう振り切った演技ができたので、かなり楽しめたんじゃないかなと思います」

――ゴズリングさんとエヴァンスさんは初共演となりましたが、おふたりの相性をどう感じましたか?

アンソニー「2人とも傑出した俳優でとても知性的だし、経験も豊富で、なによりも共演者といかにして一番良いものを引き出しあえるかということに長けています。本作の核にあるのが、コートとロイドというまるで水と油のように真逆のキャラクターをどう描くかということで、彼らはそこをしっかり理解してくれました。2人の化学反応がすばらしかったです」

――世界各国で繰り広げられるド迫力のアクションに驚嘆しました。一番苦労したシーンや、思い入れのあるシーンについて教えてください。

アンソニー「どのアクションシーンも大変でしたが、僕たちはそのぶん、ワクワクし、興奮しました。一番時間と労力を掛けたのはプラハでのシーンです。ライアンがベンチに手錠でつながれ、動けない状態となったあと、トラムを使って追跡するシーンですが、何か月もかけて準備をしたあと、ロケハンもして熟考し、非常に込み入ったシーンになりました」

――息を呑むようなスリリングなシーンでしたが、具体的にどうやって撮影されたのですか?

アンソニー「とても複雑な撮影で、トラムのシーンだけでも、プラハにある本物のトラムで内側外側も含めて撮影し、それとは別に同じような作りのバスをトラムに見せかけ、より速いスピードで道路を走らせて撮影しました。また、いろいろなシーンを撮るのに、広大なスペースが必要だったので、プラハの広い空き地を使ってグリーンスクリーンにトラムを置き、それを揺らしての撮影も行いました。つまり3か所で撮影しましたが、俳優陣やスタントマンを含め、何百人もの人が関わった撮影だったので、かなりの時間を費やしました」

――バリエーション豊かなアクションシーンが積み重なっていくなかで、コートとロイドという敵対する2人の人間ドラマが盛り上がっていきましたし、クライマックスでの2人の対決シーンにも興奮しました。お2人はマーベル映画でも秀でたアクションシーンを手掛けられてきましたが、アクション映画を作るうえでのルールやこだわりがあれば教えてください。

アンソニー「ジョーと私がアクションを撮るうえで大切にしていることは、やはりキャラクターを探究していくなかで、物語を進めていくことです。『グレイマン』に関して言えば、コートとロイドの周りでいろいろなキャラクターが登場し、物語がより複雑化していきますが、すべてを取り払うと基本的には相反する2人が少しずつ近づいていって、最後に対決するという構図の物語です。最後に2人だけのシーンを設けたのもそういう理由からです」

■「銃が与える精神的な影響についても、きちんと伝えようと思いました」(アンソニー)

――ダニ・ミランダ役のアナ・デ・アルマスは、『ブレードランナー 2049』でもゴズリングと共演していますし、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』での立ち回りも話題になりました。今回はコートに引けを取らない痛快なアクションシーンの見せ場が多かったですね。

ジョー「アナはいまや世界的に注目されている女優です。カリスマ性があり、とてもタフだし、仕事に向き合う姿勢も真摯で、今回もしっかりとトレーニングを積んでくれました。ミランダを男性に一切頼らない強い女性として描きたかったので、劇中でもかつての男女の役割が逆転するようなシーンを入れました。男性が女性を救うのではなく、ミランダがコートの命を何度か救っていきます。そういう強さを演じ切れる女優を見つけることがとても困難でしたが、アナは見事に僕たちの期待に応えてくれました」

――コートが命懸けで守ろうとする少女クレア役のジュリア・バターズもみずみずしい存在感を発揮していました。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』ではレオナルド・ディカプリオと堂々渡りあっていましたが、今回のゴズリングとの掛け合いも最高でした。

ジョー「彼女も才能にあふれた将来有望な女優です。クレアというキャラクターは、この映画のいわゆる魂とも言える存在で、映画を観ている我々もコートに彼女を守り抜いてもらいたいと願うから、いわば作品のエンジンでもありました」

――特にコートが追っ手に銃を向ける時、クレアに銃声を聞かせないように耳栓をさせるシーンが印象深かったです。アメリカでは銃規制についていろんな議論が交わされてきましたし、日本でも痛ましい事件もあったばかりです。あのシーンに込めた想いとは?

アンソニー「日本で起きた事件は、本当に悲劇だと思いましたし、私たちもその一報を聞いて悲しみました。映画ではサウンドデザインでいろいろな効果音が出せますが、それは実際の銃声を聞いたり、本物の銃に触れたりする経験とは比較できません。もしも実際にそういう経験をしたら、感覚的にものすごい影響を与えると思います。銃が与える精神的な影響については、原作でも細かくリサーチをされていたので、我々も新鮮に感じたし、そこもきちんと伝えようと思いました」

ジョー「コートは人を平気で殺していくという非常にシニカルな世界で生きていますが、クレアは彼とは対照的で、純粋無垢なものを象徴している存在です。だからこそコートはなんとしてでも彼女の暴力から守りたいという気持ちが強くなります。つまりコートの繊細さを示すためにも、あのシーンはかっこうの見せ場だったと思います」

――最後に、お2人がマーベル作品から離れられて3年が経ちますが、その間の道のりと、日本のファンが気になっている「ガッチャマン」の映像化プロジェクトについても進捗状況を聞かせてください。

アンソニー「実に心躍る3年間でした。『~エンドゲーム』を終わらせたあと、小規模の作品でしたが誇り高い退役軍人の話『チェリー』を撮り、そのあとで『グレイマン』を作りましたが、こちらは規模感も含めて非常に野心的な作品となりました。そして秋からは、またクリストファー・マルクスとスティーヴン・マクフィーリーが脚本を手掛けた、グラフィックノベルが原作の映画『エレクトリック・ステイト』の撮影が始まります。

『ガッチャマン』は『Battle of the Planets』という英題ですが、その撮影は我々も楽しみにしています。子どものころから大好きな作品なので、今回は『ガッチャマン』の要素や物語を用いて、新しいライブアクションの映画を作れることを大変誇りに思っています。まだ開発段階ですが、実写映画を作る予定なので、良い作品を作れるように頑張ります」

取材・文/山崎伸子
 
   

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