飲み会後、お客さんに誘われ…(三森みささん提供)

【マンガ】バイト先の客に性被害を受けた女性 性被害者支援センターで相談した結果に「知らなかった」 本編を読む

性被害による深刻なPTSD 法律上でできることとは

 性被害者ワンストップ支援センターにて過去の出来事について相談する三森みささん( @mimorimisa )。沖縄にいた22歳頃の話をしています。当時、バイトをしていた飲食店はお客さんとの距離感が近い職場で、楽しく働いていました。しかし、ある日の出来事がきっかけで、心に傷を負ってしまい……。

 X(旧:Twitter)で公開された三森みささんによるマンガ『性被害を告白した話』をご紹介します。読者からは「つらい出来事ですが、相談するって大事ですね」「法律、被害者の状況など知らないことが多かったです」「同じような経験があるので、このマンガに救われた気がします」などの声があがり、2023年7月の投稿には1.4万いいねがつく反響がありました。

 作者の三森みささんは、依存症やトラウマの啓発活動を精力的に行っており、著書に『だらしない夫じゃなくて依存症でした』『母のお酒をやめさせたい』などがあります。今回のマンガについては、「性被害によるPTSDは発症率が高いにもかかわらず、社会からはいまだに偏見があり、啓発が必要だと思って描いた」とのこと。特に性被害そのものだけでなく、その後の周囲からの言動がさらに被害者を追い詰める「二次加害」をなくすことを強く訴えています。

 本作のエピソードのあと、三森さんは最新心理療法「トラウマ治療」を受けており、その実体験マンガを臨床心理士監修のもとで執筆中です。

 作者の三森みささんに、お話を聞きました。

ーー『性被害を告白した話』を投稿なさった当時~現在で、反響があったことで読者や周囲からはどんな声がありましたか?

「そんなことが……」という声や、「性被害者支援センターの存在を知らなかった」「自分もこのマンガを読んで行ってみた」「描いてくれてありがとう」といった声を、当事者の方から何人かお聞きしました。

ーー作者として、反響後の変化などはありましたか?

 特にありません。というのも、実は治療の効果が強烈で、性被害の記憶を思い出しても、当時の不快や苦しみといった感情が抜けて湧き上がってこないんですよね。確かに自分の体験を描いてるのだけれども、まるで創作のキャラクターを描いてるような気分です。

 マンガとしてどう伝わったんだろうという点で気になることはあるんですが、当事者としてはスッキリしたとかも特にないですね。



誰にも相談できず、周囲の言葉に追い詰められていく(三森みささん提供)

ーー性被害はなかなかなくならない状況ですが、性被害をなくすために、そして性被害を受けた人が救われるために、改めてどんなことが大事だと思われますか?

 とりあえず刑法をもっと厳しくしてもらいたいのですが、性被害をなくすのはそれだけでは難しいでしょう。しかし、性被害を受けた人が救われるために誰でもできる簡単なことがあります。それは二次加害をなくすことです。

 今も性被害の話は「被害者が逃げればよかった」と「被害者の行動に問題がある」といった類の話が出てきますが、そのような言動をSNSで安易に発言していいものではありません。性被害に遭うだけでも身体や尊厳の境界線を破壊する点でダメージが大きいのに、周りの無理解や助けを呼べない状況がさらに本人を苦しめ、強烈なトラウマを作ってしまい、挙句にずっとひとりで抱え込んでしまいます。被害者を責めず、被害者が助けを呼べる社会になってほしいものです。

ーー本作の続きとして、後遺症を最新心理療法「トラウマ治療」で治療した実体験をマンガに描いて出版するため、クラウドファンディングで出資を募集され、目標を達成されました。現在はマンガの執筆を進めていらっしゃるのでしょうか? 出版に向けてのご予定などについて教えて下さい。

 現在もマンガを執筆中で、第8話まで制作しています。2024年夏までにAmazonで自費出版をする予定です。性被害の本格的治療は後半でやります。

ーー現在の創作活動や、今後のご予定などについて教えて下さい。

 今はトラウマ治療のマンガの制作でいっぱいいっぱいになっています。とにかく、多くの人に性被害をはじめとした大きなトラウマの苦しみは終わらせることができるんだと、マンガを通して伝えたいと思っています。