「U.C.ガンダムBlu-rayライブラリーズ 機動戦士Vガンダム I」(バンダイナムコアーツ) (C)創通・サンライズ

【画像】色っぽい美女たちが次々と悲惨な目に! 『Vガンダム』を彩ったシュラク隊のお姉さま方(4枚)

視聴者のトラウマ? シュラク隊の悲惨な死亡シーン

『機動戦士Vガンダム』といえば、第36話「母よ大地にかえれ」のトラウマシーンが有名です。主人公のウッソ・エヴィンが轢死した母親の頭部が入っていると思われるヘルメットを「母さんです…」とマーベットに手渡した場面は、多くの視聴者に衝撃を与えました。

 しかし『Vガンダム』では、そのほかにもさまざまな悲惨な死が描かれています。とくに視聴者の心に大きな傷を与えたのが、ウッソとも深い関わりのあったシュラク隊のメンバーの死ではないでしょうか。

 シュラク隊は、指揮官のオリファー・イノエ以外は女性隊員で構成されています。ウッソのことを弟のように可愛がるお姉さん方がたくさんいましたが、残念なことに次々と戦場で散っていきました。

 しかも、その死に様はあまりにも無情なものばかりです。例えば、途中で補充戦力として加入したフランチェスカ・オハラとミリエラ・カタンは、物語終盤で立て続けに死亡しました。

 フランチェスカは、仲間から「フラニー」の愛称で呼ばれる明るい性格の女性で、ミリエラとコンビで行動していました。

 そんな彼女たちを葬り去ったのは、ウッソの憧れの存在であり、すれ違いの末に敵陣営に移ったカテジナ・ルースでした。

 最終決戦で、ニュータイプ的な素養を持つ少女シャクティ・カリンの祈りの歌が広がるなか、カテジナはその歌にイラついて錯乱状態に陥ります。そして歌の発生源である自軍の要塞「エンジェル・ハイロゥ」を攻撃したのです。

 その行動を見たフランチェスカは、カテジナが造反したものだと思い込み、彼女の機体に接近します。

 しかし、カテジナにとっての敵はフランチェスカたちであることに変わりはなく、不用意に近づいたフランチェスカの機体をメガビームキャノンの砲身で薙ぎ払います。この容赦ない一撃でフランチェスカの機体は爆散し、カテジナは「トチ狂って、お友達にでもなりにきたのかい」と嘲笑しました。

 相棒の死を目の当たりにしたミリエラは、仇をとろうと立ち向かいますが、すぐさまカテジナによって返り討ちにあいます。

 わずか数分の間に立て続けに起こった、勘違いから端を発する無情な死の連鎖に、ショックを受けた視聴者は多いはずです。



宇宙要塞カイラス・ギリーを背にしたジュンコとカテジナ DVD「機動戦士Vガンダム 07」(バンダイビジュアル)

(広告の後にも続きます)

命を懸けた行動の末、待っていたのは……!?

 シュラク隊のリーダー格で、姉御肌だったジュンコ・ジェンコの死も印象的なシーンです。

 第27話「宇宙を走る閃光」で、ジュンコは宇宙要塞「カイラス・ギリー」の主砲「ビッグキャノン」に設置された爆弾を解除しようと試みます。

 ジュンコはパイロットスーツ姿で爆弾に接近しますが、「どうやったら止められるの?」と漏らし、明らかに知識がない様子でした。

 ウッソが「あとは僕がやります」と彼女に退避を呼びかけますが、ジュンコは「これぐらいやらせてよ」と突っぱねます。そして強引に解除しようとして案の定失敗し、爆発に巻き込まれました。

 ちなみに、ジュンコが命がけで爆発を防ごうとしたビッグキャノンですが、結果的に手動発射に影響はなく、完全に無駄死にだったのも切なかったです。

 シュラク隊メンバーで、忘れられないのがケイト・ブッシュの死亡シーンです。

 第14話「ジブラルタル攻防」のなかで、敵のメッメドーザが放った攻撃は、人類にとって大切な打ち上げ施設「マスドライバー」の支柱に直撃してしまいます。

 ケイトは戦いを中断して、傷ついた「マスドライバー」に向かいました。そして彼女は「これは人類全部の宝だってことを、あんただって知ってるだろう」と敵パイロットに語りかけると、自機で支えることで崩壊を阻止します。

 ベスパのパイロットは、「マスドライバー」を支えて身動きが取れないケイトに敬意を表したものの、彼女のいるコクピットをピンポイントでサーベルで貫くという非道な攻撃を敢行しました。

 ケイトが死んだあとも彼女の機体はそのまま支え続け、人類にとって大切な「マスドライバー」は守られましたが、あまりにも後味の悪い結末でした……。

『Vガンダム』は、ガンダムシリーズのなかでも、とくにトラウマシーンが多い作品として知られています。指揮官以外は女性ばかりのシュラク隊のメンバーは、その作品を象徴するかのように無惨な末路を迎え、最終的には全滅しました。

 この作品において、戦争の非情さ、理不尽さといった部分に焦点を当てる役割を担ってしまったのが、奇しくも彼女たちシュラク隊だったのかもしれません。