「ふるいけや」で始まるお馴染みの復活の呪文。「ばしや」で終わるが「バシャ」の置き換えに気づくのはずっと先 画像は『ドラゴンクエスト』スマートフォン版(スクウェア・エニックス)

【画像】ほかにもあるぞ! 「限界突破」しがちな人気ゲームたち(4枚)

限界突破? 子供がみせる異常な器用さと集中力

 大人になった今では考えられないほど集中力と器用さを持っていた子供の頃。その能力を主に向けたのは、ファミコンなどのTVゲーム。大人になった今、思い出すと、「能力が限界突破していた?」「ゾーンに入っていた?」と思わざるを得ないプレイはたくさんありました。

 そこで今回は、子供の頃のTVゲームに向けられた「無意味な異常能力」を振り返ります。

壁に当たる音で行先を判断『ドラゴンクエスト』のダンジョン

 生まれて初めて出会ったRPG『ドラゴンクエスト』(FC版)。戦い方やフィールドの歩き方、ゴールドや呪文の使い方、当時としては豊富な装備のバリエーションなど何から何まで新鮮でした。

 特に早解きを目指していたわけではありませんが、敵に屈しようとも何度も再チャレンジしてストーリーを進めていました。そうすると、いつしか何度も通るダンジョンの道順は覚えてしまい、たいまつやレミーラを使わず往来できるようになりました。

 これは主人公が壁に当たった時の音で、次に曲がる道を判断するというもので、たとえばリムルダールへ行ける「沼地の洞窟」のような簡単なものから、「竜王の城」のような遠い道のりでも可能になりました。

 またこのゲームの特徴として20文字からなる「ふっかつのじゅもん」がありますが、頻繁に使うそれは暗記できていました。

 そんななか、ほぼファミコンに興味がない姉が、ラリホーを覚えたての低レベルでドムドーラの「あくまのきし」を撃破し、「ロトのよろい」を獲得。私は装備もある程度準備し、それなりのレベルで挑んだのに、あっさり敵を制圧してしまった姉に、感心と嫉妬心を抱いたものです。

保存できなきゃ書けばいいじゃない『ファミスタ』ペナントレース

 野球ゲーム『ファミリースタジアム』の選手には打率やホームラン数は設定されていたものの固定で、ヒットを打とうが打つまいが打率が変わることはありませんでした。現在の野球ゲームといえば、成績が残るのは当たり前だし、なんだったら百数十試合のペナントレースもできます。しかし当時は、成績の保存などというものはなく、1試合1試合をやり切りで楽しむものでした。

 しかし、それでは収まらないのが子供。保存できないのなら記録をつければいいと、自チームの打撃成績、投手成績をノートに書き、それを当時のペナントレース数130試合を完走させるという、今では考えられない遊び方をしていました。

 ただ、コンピューター相手では噛み応えがないので、自チームが飛び抜けて好成績を上げてしまい、リアル感がなく萎えたため1シーズンでこのプレイは断念してしまいました。



『スーパーマリオブラザーズ』のRTA世界記録は4分54秒9 『ニンテンドークラシックミニ』ダブルパック(任天堂)

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『ぷよぷよ』奇跡の14連鎖は二度とできなかった……

手が勝手に動くゾーンに入りクッパを撃破

『スーパーマリオブラザーズ』は、やりこんでいくうちに「勝手に縛りプレイ」を考えさせてくれるゲームでした。ノーミスクリアに始まり、チビマリオのまま全クリ、土管ワープを使わず全クリ、ゴールポールで必ず5000点ゲットでしがみつくプレイなど、自分や友人が考案した遊び方を楽しんでいました。

 なかでも一番難しかったのは「ノーミス×ファイアマリオ×土管使わず×全クッパをファイアボール撃破」という縛り。何度やっても敵に接触してしまいファイアマリオからチビに戻りリセット。これを繰り返していくうちに、もはや手が勝手に動くいわゆる「ゾーン」に入り込み、今まで難所だったところをスイスイと突破していく瞬間が訪れます。

 そして8-4のクッパもファイアボールで撃ち落としクリア。何時間かかったかは憶えていませんが、達成感はあったものの意外と嬉しくなかったことを憶えています。きっと、これで「『スーパーマリオ』をやり尽くした……」と噛みしめてしまったからだと思います。

偶然? 突如、きれいに組み上る『ぷよぷよ通』の連鎖

 それほどパズルゲームが得意ではなかった少年時代。友人が『ぷよぷよ通』を持っていたため、眺めていると連続でぷよを消す「連鎖」を何度となく見せてくれました。

 そこでふと疑問「これは何連鎖までできるのか?」と尋ねると「最大値は知らないけど俺は16連鎖したことがある」と豪語。聞けばゲームモードで「とことんぷよぷよ」という、ボッチで練習できるモードがあるとのこと。

 そこで友人に簡単な連鎖の組み方を教わり、私は「とことんぷよぷよ」をプレイ。6連鎖くらいまでは常時組めるようになりましたが、そのあとはぷよの色の次第。そうやって練習すること数時間。突然、あれよあれよと美しく組み上っていき、これ以上積んだらあふれる! となったところで連鎖開始。2連鎖、3連鎖、4連鎖……と続き、14連鎖まで伸びました。興奮して友人を見るとグー寝。14連鎖を伝えると、信じてないのかリアクションが薄口だったのを憶えています。

「これは得意なジャンルかも」と、以後もプレイしてみましたが、14連鎖はあれっきり組み上らず結局一度きり……。偶然だったのか、プレイし過ぎで幻だったのか? 今では確証を得られません。

 ガチのやりこみ勢にしたら上記のプレイはぬるいものかもしれませんが、子供時代にファミコンに熱中した世代ならば、「あるある」と共感してくれる方も多いのではないでしょうか。大人になってから振り返ると、あのときの集中力や器用さは限界突破していたなとしみじみ思い出してしまいます。