改造人間の哀しみを背負っていた初代仮面ライダー。画像は「仮面ライダーDVD VOL.1」(東映)

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仮面ライダーシリーズは平成から設定が変わっていた!

 仮面ライダーといえば、1971年の放送開始以来、50年以上も愛されてきた大人気ヒーローです。昭和世代も平成も令和も、仮面ライダーで育ってきた子どもなら、年は違えど心はひとつ……と思っていたのですが、つい最近、衝撃の事実を知りました。なんと、仮面ライダーは改造人間ではなくなっていた、というのです!

 仮面ライダーに夢中になった子ども時代は遙か彼方、社会に出て仕事に追われ、視聴から離れていた昭和キッズにとっては、呆然というか愕然というか……。「仮面ライダー本郷猛は改造人間である」のナレーションで刻み込まれた、あの設定がもはや存在しないとは!

 いったいいつからそんなことになっていたのか。調べてみると、それはまさに時代の変わり目、平成仮面ライダーシリーズ第1作、オダギリジョーさん主演の『仮面ライダークウガ』からでした。このあたりから、佐藤健さんや菅田将暉さんなどを輩出する若手俳優の登竜門的番組となったことには、薄々気づいていましたが、まさか改造人間ではなくなっていたとは。でも、なぜ?

 石森プロの早瀬マサト氏によると、それは「医療技術が発展して人工臓器移植などが当たり前の時代になったから」なのだそうです。仮面ライダーは改造手術を受けてスーパーパワーを得ましたが、現実の患者さんには偏見などに苦しんでいる人もいる。初代ライダー誕生当時にはあくまで空想の世界だったことに、現実が追いついてしまったために封印せざるをえなかった、ということなのでしょう。

 ネビュラガスによる人体実験が行われる『仮面ライダービルド』、ゲーマドライバー(変身ベルト)を扱うための適合手術を受けた『仮面ライダーエグゼイド』などの例外はありますが、平成以降のライダーたちは、普通の青年が変身ベルトなどの力で仮面ライダーとなるのです。同時に敵も改造によって誕生した怪人ではなくなり、「超古代の先住人類」や「不死の生命体」や「宇宙生命体」などと戦うこととなりました。平成ライダー、令和ライダーで育った子どもたちには「何を今さら……」でしょうが、昭和キッズにとっては、この事実は世界が反転するほどの驚きなのです。

 昭和キッズの現在の関心事は、2023年3月に公開予定の『シン・仮面ライダー』(脚本・監督:庵野秀明)。仮面ライダー1号・本郷猛と2号一文字隼人の活躍が描かれるようですが、そこでの改造人間設定はどうなっているのか。今から公開が待ちきれません。