TVアニメ『SPY×FAMILY』第2クールビジュアル (C)遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会

【画像】色々な表情の可愛いアーニャ(5枚)

アニメ『SPY×FAMILY』視聴者が唱えるトンデモ説とは…

 大人気アニメ『SPY×FAMILY(スパイファミリー)』(原作:遠藤達哉)ですが、視聴者からじわじわとこんな声が上がっています。それは……「フォージャー家、子供を育てる家庭環境として素晴らしいのではないか?」というものです。混乱を招くので改めてアーニャの父母であるロイドとヨルのプロフィールを確認しましょう。

父:ロイド・フォージャー。西国情報局対東課WISEに在籍している諜報員。コードネームは「黄昏」。精神科医に扮し、ヨルとは偽装結婚している。

母:ヨル・フォージャー。幼少期より暗殺術を叩き込まれた「殺し屋」。コードネームは「いばら姫」。周囲に怪しまれぬためロイドと偽装結婚。

 一見して「そんなわけない」と一蹴してしまいそうな説ですが、よくよく見てみると「なるほど」と納得しそうになります。ということでこの記事では発達心理学や脳科学の知見を援用しながら「フォージャー家、家庭環境として最高説」を閲していきましょう。

「家族」という心理的つながりがアーニャを一段と成長させる

 アーニャは確かに学校での成績がふるいませんが、それでも良い成績を収めようと躍起になって勉強しようとします。その時の動機は「スパイであるちちの任務を成功させるため」という利他的なもの。勉強の動機付けとしては一見不純ではありますが、発達心理学者の権威・柏木惠子氏の著書『子どもが育つ条件』(岩波新書)によれば、こうした行為は家庭のメンバーとしての自覚をうながし、自分が有用な人間であるという自負を構築するものなのです。

 さらに重要なのは父ロイドの在宅率。「父」でいることが任務であるロイドは当然、アーニャと過ごす時間も多いです。家事や勉強も教える時間が設けられています。また柏木氏は同書のなかで「共食」つまり、食卓を囲んで一緒に食事をすることの重要性も指摘しています。その点においても家族3人で食卓を囲む機会が多いフォージャー家は心理的つながりが形成されやすい家庭といえるでしょう。とっても健やかなのです。

アーニャの「前頭前野」はもはや自動で発達しまくり?

 家庭環境は教育環境でもありますが、その点に関してフォージャー家はいかがでしょう。まず前提としてアーニャは推定年齢4~5歳。脳科学者・澤口俊之氏の著書『「やる気脳」を育てる』(小学館)は思考や感情を司る前頭前野が最も発達する時期がアーニャの年齢であり、この頃からエリート校、そして家庭学習と、高度な教育を施されている彼女は他の子よりもリーチがあると言っても差し支えないでしょう。

 加えてこの「前頭前野」の発達に良いのが「褒められる」という経験。その点もフォージャー家はバッチリ。イーデン校に合格した時のロイドの褒めちぎりっぷりを見れば明らかです。アーニャの成功体験の記憶をより強化してくれるものでした。

 同書によれば前頭前野の機能で最も重要なものは「ワーキング・メモリ」。状況に応じて意味のある情報を外界や記憶から選択・判断する機能のこと。今さらですがアーニャは超能力者です。人の思考を読むことが可能。たとえ難しい内容であろうと自分に関係のある内容であれば、なんとか意味を抽出して、読解することができます。つまりアーニャが超能力を発揮する限り「前頭前野」は絶えず鍛え続けられることになりそうです。判断能力やコミュニケーション能力などが大きく成長することでしょう。まったくこれからの成長が楽しみです。

 もしアーニャが実在したら、の話です。(前述の参考文献は実在します)。