ドスケベだけど凄腕のスイーパー・冴羽リョウが表紙の『CITY HUNTER』ゼノンセレクション第1巻(コアミックス)

【画像】普段はテキトー、戦闘時は最強!なジャンプ主人公たち(5枚)

慶次の剣法はただのシャレ?

「週刊少年ジャンプ」のバトルマンガの主人公たちは、かっこいい名前の必殺技を決める場面が大きな見せ場になりますが、なかには必殺技や超常的な特殊能力なしで普通にめちゃくちゃ強いキャラもいます。今回は特にかっこいい主人公3人を振り返ります。

『シティーハンター』冴羽リョウ

『シティーハンター』の主人公で、新宿を拠点に裏社会で暗躍する超一流スイーパー・冴羽リョウ。弾丸に弾丸を当てるほど精妙な射撃の腕はもちろん、格闘、頭脳、教養、声帯模写、料理の腕など、どれもずば抜けている超ハイスペック男性ですが、ドスケベすぎて数々のトラブルも起こしています。彼のトレードマークでもある股間の「もっこり」の強靭さも異常で、100キロの重りを支えたことすらありました。苦手なのは「貯金」と「女装」と「飛行機」くらいでしょうか。

 特に必殺技などはなく、その場その場を最適解の行動で乗り越え、敵を倒しています。飄々(ひょうひょう)と自分の欲望に正直に生きているように見えて、依頼人や香や仲間を気遣う優しさも魅力です。幼いころからゲリラとして戦わされていたというハードな過去も作中で明らかになりましたが、そんな背景を持ちながら三枚目として振舞っているところも、「大人のかっこいい男」として多くの読者があこがれました。

『花の慶次-雲のかなたに-』前田慶次

 戦国時代に実在した武将であり傾奇者(かぶきもの)である前田慶次は、『花の慶次』では非の打ちどころがない完璧超人として描かれました。子供の頃からタイマンでクマを仕留めていたほどの戦いの天才で、武人としての強さはもちろん、甲賀の忍びの出でもあることから罠もすぐに見破り、ほとんどスキがありません。また、派手でいたずら好きとして振舞っていても、いざその気になれば礼儀作法も完璧、茶の湯や「伊勢物語」などを愛する教養人です。

 そんな慶次の戦い方は我流であり、持ち前の人間離れした膂力(りょりょく)で相手をぶった切るというシンプルゆえに強いスタイル。「虎や狼が日々鍛錬などするかね」という名言通り、慶次の生まれついての強さゆえの闘法です。一応本人のシャレとして「穀蔵院一刀流」という名前を付けていますが、従来の剣術の型の影響はありません。実際、大体の敵は相手にもならず瞬殺されているので、必殺技を編み出す必要などない最強主人公といえるでしょう。



万事屋と彼らに必殺技を授けようとした洞爺湖仙人親子が表紙の『銀魂』第36巻(集英社)

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白夜叉の必殺技は「モモパーンッ!」だけ?

『銀魂』坂田銀時

 SF時代劇ギャグマンガ『銀魂』の主人公・坂田銀時は、かつて天人との攘夷戦争で「白夜叉」と恐れられたほどの強者で、彼の剣法も我流で凄まじい威力を誇ります。普段はぐーたらで夜は飲み潰れていますが、身体は引き締まったまま、ケガをしてもあっという間に回復するフィジカルエリートでもあります。

 作中でメタ的に「必殺技がない」ことを自虐している面もあり、連載3周年を迎えた回では銀時が愛用する木刀「洞爺湖」のなかにいる「仙人」が万事屋の面々に必殺技を授けようとしたことも。しかし、いつも通りのグダグダを繰り返した挙句、仙人が伝授したのは腿を思いっきり蹴るだけの「モモパーンッ!」であり、銀時たちが「いるかぁぁ!」とブチギレて終了となりました。

 その後も「竜宮篇」で銀時が全力で「かめはめ波」を練習していたり、幽霊温泉旅館で「スタンド」を味方に着けたりする場面はありましたが、シリアスシーンで使える明確な必殺技は生まれていません。しかし、ゲーム『Jスターズビクトリーバーサス』では、「本域かめはめ波」を放ち、『銀魂 かぶき町大活劇』では木刀の連続攻撃「乱斬り」を繰り出すなど、一応必殺技の持ち主にはなりました。

 今回紹介した3人の特徴を比較してみると、普段はふざけていることが多い、過去には悲しい出来事もあり、酒好き、股間に関する描写が多い……などがあげられます。他の少年マンガの未成年主人公にはない、「大人の魅力」で人気を集めている面もあり、そもそも彼らに「必殺技」描写は必要ないのかもしれません。