「これでは3戦全敗じゃないか」
3月下旬、首相官邸執務室の岸田文雄首相の下に〝政局の天王山〟となる4月28日投開票の衆院東京15区、島根1区、長崎3区の3つの補欠選挙のうち、東京15区の情勢調査結果が届けられた。
それを見た首相は、うなるような声で冒頭の言葉を発したとされる。
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長崎3区は不戦敗で、島根1区も野党に引き離される中、東京15区に地域政党「都民ファーストの会」を率いる小池百合子都知事が、作家の乙武洋匡氏の擁立を進めているとの情報が入ったのは3月中旬のことだった。
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独自候補擁立が難航し、小池氏との連携を検討していた首相が内閣情報調査室に秘かに調査を指示していたのだ。
だが、結果は首相の期待に反して、立憲民主党の女性候補にダブルスコア以上の差を付けられ、日本維新の会の女性候補にも負けていた。
乙武氏は立候補を表明する1週間も前から〝敗色濃厚〟となっていたのである。
ここから首相は一気に動いた。
首相に近い政府関係者によると、「政局の主導権を渡すまいと完全にスイッチが入った」という。
内閣支持率の低迷から抜け出せない首相が9月の自民党総裁選で再選を果たすには、その前に衆院解散・総選挙に打って出る必要がある。