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絶賛の嵐の『THE FIRST SLAM DUNK』  映画界は「少年ジャンプ&東映」時代に突入?

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『THE FIRST SLAM DUNK』©I.T.PLANNING,INC. ©2022 THE FIRST SLAM DUNK Film Partners

 先週末の動員ランキングは、原作者の井上雄彦自身が監督・脚本を手がけたアニメーション作品『THE FIRST SLAM DUNK』が土日2日間に動員84万7000人、興収12億9600万円をあげて初登場1位に。公開日を土曜日に設定していたこともあって、2位『すずめの戸締まり』の同期間の興収7億4800円に対して興収比で1.7倍と大きな差をつけた。ウィークデイに入ってからも好調な興行が続いていて、作品の評判も極めて高いことから、『週刊少年ジャンプ』連載当時(1990~1996年)の原作ファンを中心に幅広い年齢層に広がっていく可能性も秘めている。年末から正月にかけてもう一段階の盛り上がりさえ作れれば、興収100億円の大台も狙えるかもしれない。

参考:『THE FIRST SLAM DUNK』公開2日間で興収12.9億の大ヒットスタート 100億超えも視野に

 それにしても、恐るべきは『週刊少年ジャンプ』の神通力だ。コロナ禍に入ってからの映画興行の「独り勝ち時代」の先鞭をつけたのは、言うまでもなく2020年公開の『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』だった。その後、2021年公開の『劇場版 呪術廻戦 0』、今年公開の『ONE PIECE FILM RED』が「独り勝ち時代」を引き継ぎ、気がつけば2020年以降の興収100億円を超えた5作品のうち、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(2021年)と『トップガン マーヴェリック』(2022年)を除く3作品が『週刊少年ジャンプ』で過去に連載されていた/現在連載中のコミックを原作とするアニメーション作品となっている。

 さらに、これまで100億円超えのヒット作といえば東宝の配給作品かディズニーの配給作品にほぼ独占されていたが、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』を東宝、カラーと共同配給したのを一つのきっかけとして東映が躍進。『ONE PIECE FILM RED』では自社単独配給作品の歴代興行収入1位を更新、9月末の時点で早くも会社全体の年間興行収入歴代記録を更新するという快挙も成し遂げた。そこに加えて、今回の『THE FIRST SLAM DUNK』の大ヒットだ。

 作品の仕上がりを観ればわかるように、『THE FIRST SLAM DUNK』がいくら大ヒットしたからといって、そのまま『SLAM DUNK』がシリーズ化されるとは限らないが、『ONE PIECE』に関しては数年後に新作が公開されれば、今回の『ONE PIECE FILM RED』の数字が一つの基準となっていくだろう。また、来年3月には庵野秀明監督の肝入りの企画『シン・仮面ライダー』(東映の単独配給)の公開も控えている。ディズニーがディズニープラスへと配信へシフトしたことで、長らく続いてきた東宝・ディズニーの二強体制が崩れたと思ったら、にわかに日本が誇る老舗メジャーの東映がその存在感を高めつつあるのだ。

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 つい先日の12月4日、渋谷のランドマーク的存在だった渋谷TOEIが69年の歴史を終えて閉館したことに象徴されるように、国内最大手の東宝と比べて、東映は系列の劇場チェーンにおいては一歩も二歩も引けをとってきた。しかし、映画興行の軸がすっかり国内アニメーション作品となった状況も追い風にして、今後の東映は映画界にさらなる旋風を巻き起こしていくかもしれない。(宇野維正)

 
   

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