TVアニメ『鬼滅の刃』キービジュアル (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

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全ての元凶である「善良な医者」の正体は…?

『鬼滅の刃』は、原作完結後も未回収と思われる謎が残されており、ネット上ではこれに関する考察が様々に語られてきました。

※本記事には『鬼滅の刃』本編に関する重大なネタバレが含まれます。

 そのひとつが、全ての鬼を統べるラスボス「鬼舞辻無惨(きぶつじむざん)」の誕生に関するものです。無惨は元々、病弱な人間で、20歳まで生きられないと診断されていました。しかし、ある医者が「青い彼岸花」を使った薬を無惨に投与します。この薬の効果はすぐには現れず、怒った無惨は医者を殺してしまいました。

 しかしその後、薬効が出はじめ、無惨は鬼の体を得ることになります。鬼としての無惨を生み出した元凶である医者に対し、これまで「鬼になるとわかって薬を投薬したとしたら、真の黒幕の可能性がある」「医者も鬼だったのでは?」などの声が囁かれてきました。

 ただ、ナレーションにて「善良な医者」と明言されていることや、また治療の最中に殺されてしまったため、最終的にこの医者が目指した「完治」の状態が果たしてどういうものだったのかは不明であることから、物語の全ての元凶ではあるものの、黒幕とするには決め手に欠けるかもしれません。

 同様に、禰豆子(ねずこ)の「太陽の克服」についても、全てが語られたとはいえない点です。無惨をはじめとする鬼たちは太陽の光に弱く、その克服のために青い彼岸花を探し求めていました。同時に、太陽を克服できる鬼を作るべく、無惨は鬼を増やしてきたのです。そして鬼となった禰豆子は、その青い彼岸花に依ることなく太陽の光を克服しました。さらに禰豆子は人間を食べることを我慢できているなど、鬼の中でも特殊な存在であり、その理由は明確に描かれてはいません。

 そうしたなか、原作完結後に発売された『鬼滅の刃公式 ファンブック 鬼殺隊見聞録・弐』にて、実は炭治郎たちが住んでいた家の近くに青い彼岸花が生息しており、母の葵枝(きえ)だけが青い彼岸花の生息場所を知っていたことが明かされます。そのため禰豆子は、知らないうちに青い彼岸花を摂取していたのではないか、との考察が浮上しました。

 ただ、青い彼岸花は1年のうちの数日間、昼間のわずかな時間のみ開花する希少な花といいます。ゆえに無惨は千年にわたり探し出すこともかなわなかったわけですが、つまりそうなると、禰豆子がタイミングよく花弁や茎部分を摂取することもまた難しそうです。加えて、一般的な彼岸花には毒があり、たとえ花の色が違うとしても、そのように彼岸花に類するものを摂取するという発想に行き着くのは少々、無理があるかもしれません。

 一方で、一般的な彼岸花の球根部分は毒抜きをして食されることもあるため、青い彼岸花についてもそのように、毒抜きして球根部分を食していた、という可能性は捨てきれないでしょう。



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鬼舞辻無惨の「血」は現代にまで引き継がれてしまったのか?

 そのように克服、撲滅されたと見える無惨の「鬼の血」が、実は現代にまで受け継がれているのではないかという見方があります。それは炭治郎の子孫である炭彦が、異様に高い身体能力や朝に弱く睡眠時間がとても長いところが、鬼だった頃の禰豆子に似ているというところから浮かんだ説です。加えて、集中すると周りが見えなくなることや、周囲に迷惑をかけていても気にしないところは無惨に似ているのでは、という意見も見られました。

 その根拠として挙がっているのは、無惨との最終決戦の時に、炭治郎は無惨に血を注ぎこまれ鬼化している点です。禰豆子の血と人間に戻る薬で鬼化から逃れることはできたものの、その体内に無惨の血を取り込んでしまっているのは事実でしょう。無惨の遺伝子が残っていたとしてもおかしくない、というのです。

 一方で炭彦は、鬼殺隊で生き残るほどの超フィジカルエリートである炭治郎とカナヲの子孫であり、このふたりもまた、マイペースであったり頑固であったりといった面は見られました。睡眠時間が長いというのは、炭治郎のさらに祖先の「すやこ」が、「めちゃくちゃ寝る人だったらしい」との公式言及があります。

 炭治郎に注がれた「鬼の血」についても、残っているのであれば、鬼の力で復活した左手が老化し動かなくなっていたことに説明がつかないのではないでしょうか。つまり復活した左手は、鬼の力が消滅したことにより、機能しなくなったと考えたほうが自然ではないか、ということです。

 ともあれ、いずれも公式にて明確な言及がなされたものではありません。今後そのような機会があるまで、議論はまだまだ続きそうですね。

※禰豆子の「禰」は「ネ」+「爾」が正しい表記