自分のことを否定されてもケンカにはならない付き合い方を続けていた作者(五月女夕希さん提供)

【マンガ】マウントがひどい友人につい漏らしてしまった耳の痛い言葉 関係は悪化したけれど得たものは大きい! 本編を読む

失うと同時に得たものも大きかった体験

 五月女夕希さん(@saoyukitome39)の幼なじみのマヤさんは、他人にマウントを取るようなトゲのある言葉を使いがちな人でした。五月女夕希さんは、しばしばマンガの仕事も否定するマヤさんに対して自分の本音は言わず、衝突を避けるような接し方を続けていました。

 ある日の会話で、マヤさんはいつものように結婚を焦っている素振りを見せます。口では「彼氏が欲しい」と言いつつ、恋人ができないことに言い訳ばかりのマヤさん。五月女夕希さんは、つい厳しい本音を漏らしてしまいました。それは明らかにマヤさんが傷付くであろう言葉。以後、マヤさんからは連絡が一切なくなってしまったそうです。

 このときのエピソードを描いた作品『幸福な箱庭で』がTwitterで公開されました。読者からは「ストレスを乗り越えても付き合いたいか、見極めないとしんどい」「マヤちゃんの本心があまり見えてこないのも気になる」「めちゃくちゃリアルだ」と、さまざまな視点・立場からのコメントが寄せられ、2000件を超えるいいねがついています。

 当時を振り返って「マヤちゃんの長所も知っているだけに、悩ましい関係に陥ってしまっていた」と語る作者。本エピソードは、Kindleインディーズマンガ『幸福な箱庭でvol.1: 機能不全家庭の物語』のなかでも触れられています。五月女夕希さんにお話を聞きました。

ーー五月女夕希さんの漫画家としてのデビューのきっかけを教えて下さい。

 16年ほど前にデビューし、紆余曲折ありつつ少女マンガを描いていました。ですが、結婚後に不妊治療をしたくなくて7年間描かずにいました。マンガを描いてると不規則な睡眠などで肉体的に負担がありますから。その後マンガを再開したいと思ったので、違うペンネーム「五月女夕希」としてインターネットで個人活動を始めました。

ーー本エピソードの出来事が起きる以前は、幼なじみのマヤさんとはどのくらいの仲の良さの関係でしたか?

 10歳から31歳まで友人関係でした。いわゆる幼なじみです。仲良くなったきっかけは『幽☆遊☆白書』でした。やがてマヤちゃんの中学受験で別々になりますが、成人しても年に何回かは会っていたのでそこそこ仲は良かったと思います。

ーー本音が声に出てしまった「瞬間」は後悔の気持ちが大きかったのでしょうか?

 後悔というか……「しまった言っちゃった!」などと焦るくらいなら、普段から本音を話していれば良かったと思いました。他人に自己開示する習慣を持っていなかった自分に対してかなり反省しました。あと伝え方には気を付けようとも思いました。同じセリフでも傷付けないよう配慮しながら本音を言えたら、双方にとってもいいと思いますし。



つい本音を漏らしたことで関係が断ち切られる(五月女夕希さん提供)

ーー連絡がなくなり、その後にご自身の考え方や振る舞いに何か変化はありましたか?

 自己開示を心がけています。感情や考えていること、意見を話すことを億劫がらないようにしてます。誤解を生みそう……傷付けたかも……と思う場面では、時間が経っていても気付いた段階で伝えるようにはしています。

ーー作品に対する反応で、特に印象に残った読者の声について、教えて下さい。

「マヤちゃんは悪意ではなく、育ってきた環境ゆえの正しさを素直に意見してるだけ。マヤちゃんもある意味の被害者。苦しんでる悪者になってほしくない……」という声が印象的でした。

 本当はこういう愛のある目線でマヤちゃんのことを考えられるのが理想だと思います。でもそのうえで周囲は、マヤちゃんを傷付けず、自分も傷付けずに済む方法も模索しないといけないのです。やはり伝え方に配慮しながら「いま私、人を傷付けているかも?」と気付いてもらえるようにするしかないのかなと。高度なコミュニケーションが求められていたんだろうなと思います。

ーー今後、Twitterで発表される作品については、どのように活動していきたいとお考えでしょうか?

 Twitterに載せていく作品は2種類あります。「多くの人に読んでいただくことに意味がある作品」はKindleインディーズで無料での発表、「個人的に描きたいもの」についてはKindleやnoteなどで有料販売をしていきたいなと思っています。大好きな家族との時間を大事にしたいので、今のスタイルは合っています!