アニメ22話まで収録された「北斗の拳一挙見Blu-ray第一部『ユリア永遠に・・・・そしてシンよ! 』」(TOEI)

【画像】原作通りでもアニオリでも面白いアニメ『北斗の拳』!(5枚)

大事な鉄の棺桶のなかで……死ね

『北斗の拳』の主人公・ケンシロウは数多くの強敵と戦い抜きましたが、TVアニメの18話から20話にかけてのオリジナルストーリーでは、戦車をはじめとする、さまざまな「兵器」と戦っています。この間のストーリーはジーナの村と呼ばれる周囲をバリケードで囲まれた村が舞台となっており、ジェニファーという名の金髪の美女が登場するなど、映画『マッドマックス2』を彷彿とさせる展開が繰り広げられました。

ケンシロウVS戦車

 18話「生か死か!? 荒野の果ては地獄の一丁目!!」で、ケンシロウが撃破したのが戦車です。砲身の付け根の形状や機銃の取り付け位置などから、大日本帝国陸軍の主力戦車「九七式中戦車 チハ改」の可能性が高いと思われますが、作中に明確な言及はなく定かではありません。

 戦車を使用したのは、KINGことシンの配下である「サンダー軍団」の隊長、ゴラスです。ゴラスはリンとバットをさらい、ケンシロウをおびき出して武装バイクの集団で襲撃をかけますが、当然そんなものが通用するはずもなく、あっさりと全滅してしまいます。

 しかし、ゴラスが焦ることなく「これからが本当の戦いだ!」と言い放つと、背後から戦車が現れるのです。リンとバットを安全な所に退避させたケンシロウは、あろうことか戦車に対し単身で歩み寄っていきます。砲撃を受けても歩みを止めず、戦車の目の前にたどり着いたケンシロウは、「おあた!」と拳を叩きこみ、のぞき窓を叩き割ってなかのモヒカンを殴り倒しました。

 さらに立て続けに「あーたたたたたたたたたたたたたた!」と、蹴りと拳を連続で叩きこみ続けるうちに、あろうことか戦車の装甲がひしゃげていくのです。仮にこの戦車が「チハ改」だとすると正面装甲の厚さは25mm、戦車としてはかなり薄いのですが、人間の力で叩き壊せていいものではありません。

 しかしさすがはケンシロウ、そして北斗神拳。人体に秘められた能力を100%解き放てば、不可能などありえません。ケンシロウの拳はついに戦車の装甲を打ち破り、内部構造にダメージを与えて撃破に成功したのです。脱出しようとハッチから身を乗り出したゴラスは、ケンシロウに経絡秘孔を突かれ、絶命。かくしてケンシロウと戦車の戦いは、ケンシロウの勝利に終わったのです。



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まさかの「列車」攻撃!

ケンシロウVS南斗人間砲弾

 19話「悪党ども! 死への片道切符を用意しろ!!」に登場したのが、大砲で人間を打ち出す「南斗人間砲弾」です。シンの配下であるガレッキーが指揮する「ゴールドウルフ軍団」が使用する大技で、十数人の兵隊をバリケード越しにジーナの村に飛びこませ、村人全員を捕らえることに成功しています。

 砲撃の際にはおそらく大量の火薬を使っていると思われますが、発射の際の衝撃に人体が耐える原理については不明です。ケンシロウに対しても使用しましたが、ケンシロウは華麗な空中殺法で文字通り一蹴、最後に単独で飛び込んできたガレッキーも北斗虚空斬でしとめ、見事勝利しています。なお、同話にはオートジャイロ(ヘリ)を使用する「ブラックバード軍団」も登場しましたが、ケンシロウの手によりあっさり全滅の憂き目を見ました。

ケンシロウ VS 南斗列車砲

 20話「悪夢の総力戦! 俺の拳は100万ボルト!!」に登場したのが、「南斗列車砲」です。列車砲とは陸上では移動が困難な大型の砲を列車に搭載し、線路上を走行させることで移動を可能にしたものとなります。シンの配下であるトウダと部下によって運用されており、圧倒的な火力でケンシロウたちに襲い掛かりました。

 絶体絶命の窮地に陥ったケンシロウたちでしたが、一度発射したら再装填に時間がかかることを見抜いたジェニファーが囮となって砲撃を誘います。そして、命がけで作り出した隙にケンシロウが砲に取りついて乗員を倒し、地上に打ち上げられた戦艦を利用して作られたトウダの秘密要塞へと特攻させて、要塞もろとも破壊しました。

 ケンシロウと兵器が戦う奇想天外なストーリーが展開された「ジーナの村」編ですが、以降は原作サイドからの監修が入るようになり、原作に準じたストーリーが展開されるようになります。現代では原作に忠実なアニメが作られることが多いため、このような突飛な展開はなかなかお目にかかれないものになりました。今見直すと、味わい深いものがあるのではないでしょうか。