登山の服装は「レイヤリング」が基本|知っておきたい重ね着ルールとテクニック

登山の服装、登山ウェアの着こなしにはちょっとしたコツがあります。それは「レイヤリング」、つまり「重ね着をする」こと。特に登山を始めたばかりのビギナーの方や、これから始めたいという方はマストで押さえておきたい基礎知識です。快適な登山を楽しむために欠かせない登山服の着こなしルールを解説します。

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レイヤリングはどうして必要なの?



登山の服装、着こなしにおいて最も大事なのは「レイヤリング」という考え方です。レイヤリングとは、端的に言えば「重ね着」のこと。

登山中は運動量の増加による体温の変化や、急な風雨などの天候の変化がともないます。このとき、レイヤリングにしっかり対応していれば、その時々のコンディションに応じた「脱ぎ着」がしやすく、こまめな体温調節が可能になります。

このように、必要なウェアアイテムを組み合わせて体温調節を行う考え方を、レイヤリングと言うわけです。

登山ウェアは基本的にどれも高性能ですが、組み合わせを間違えると効果が半減してしまうことも。

詳しくは後述しますが、高性能なジャケットでいくら風をさえぎり、雨をはじいても、直接肌に触れるベースレイヤーに吸湿速乾性能がなければ、せっかくの高性能も十分に発揮されません。レイヤリングができているかどうかで、山行中の安全性や快適さが大きく変わるのです。

レイヤリングの基本は、一度覚えてしまえば年間を通じてあらゆるシーンの山行に応用できるものなので、登山初心者の方はもちろんですが、レイヤリングをあまり意識したことがないという人がいたら、これを機にぜひ覚えておくことをおすすめします。

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レイヤリング、基本の4アイテム



ベース、ミドル、サーマル、アウター。レイヤリングは、この4アイテムを基本に考えます。

● ベースレイヤー

直接肌に触れる、一番下に着用するウェア。汗を吸いとり、水分を発散させ、肌をサラサラの状態に保つ効果があります。意外に忘れがちなアンダーウェア(下着)もここに分類できます。

● ミドルレイヤー(中間着)

ベースレイヤーから移動してきた水分(汗)を素早く吸収して拡散(乾燥)する役割があります。

● サーマルレイヤー(保温着)

ダウンやフリースなどの保温を目的とするウェア。ミドルレイヤーとアウターレイヤーの間にサーマルレイヤーを挟むことで、温かい中間層が生まれ、体温が保たれます。

● アウターレイヤー

一番外側に着用するウェア。防水性・防風性のあるレインウェア(雨具)や雪山用ジャケットなどがここに分類されます。

※サーマルレイヤーをミドルレイヤーの一つとして位置付け、3アイテムで構成する考え方もありますが、ここでは上記4アイテムで話を進めていきます。