コーヒーのスペシャリストが教える「UCCコーヒーアカデミー」
「UCCコーヒーアカデミー」は、神戸に本社を置くUCCグループが2007年に開設したコーヒーの専門知識を学べる機関。神戸と東京の2カ所にある同アカデミーでは、初心者からコーヒーを仕事にしたい人まで、レベルや目的に合わせて選べるさまざまなコースが設けられています。
東京校の外観。UCCの赤いロゴマークが目印。正面入り口から右に進んだ場所がセミナールーム
今回は、東京校で開催されている初心者向け1時間30分の「体験コーヒーセミナー」に参加。東京メトロ地下鉄各線・青山一丁目駅、乃木坂駅からそれぞれ5分ほど歩くと、「UCCコーヒーアカデミー」のビルが見えてきます。
中に入ってすぐのエントランスでは、ジャマイカやハワイから移植されたコーヒーの木がお出迎え。モニターには同地にあるUCC直営農園の様子を映しています。
コーヒーの花。可憐な白い花が咲き終わると実をつけ、青、赤、紫紅色へと熟していく
取材時には、運よくコーヒーの白い花を見ることができました。顔を近づけてみると、ジャスミンのようなさわやかな香りが!
東京校のセミナールーム
講義を受けるセミナールームは、2023年2月に新設された設備の整った広々とした空間。今回の「体験コーヒーセミナー」参加費3300円は、平日の日中や仕事帰り(14時〜・19時〜、土・日曜、祝日は不定期開催)に気軽に参加できる1時間30分のプログラムで、ほとんどがひとりでの参加だとか。年齢層は20代から60代まで幅広く、毎回10~20名前後で開催されています。
「UCCコーヒーアカデミー」の講師のみなさんは、それぞれ専門資格をもつコーヒーのスペシャリスト!
今回のセミナーのメインは、ペーパードリップによるおいしいコーヒーの入れ方。講義はまず、そもそもおいしいコーヒーってどんなもの?という問いかけからスタートします。
香りがよい、味に広がりがある……など、参加者からはさまざまな声が。講師の清水先生いわく、「コーヒーの好みは100人いれば100通りの答えがある」とのこと。そのうえで、「UCCコーヒーアカデミー」では、①「コーヒーのポテンシャルを最大限に抜き出すこと」②「えぐみや渋みといった雑味を抑えること」の2つを、おいしいコーヒーの定義にしているそう。
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“3投式”のペーパードリップに挑戦!
各席にはテキスト、ペーパードリップで使用する器具、講義の内容やデモンストレーションの様子を映すタブレット(隣の席の参加者と2名で1台を共有)が用意されている
おいしいコーヒーの定義をおさえたところで、さっそくペーパードリップの実践へ!まずは講師による各工程のポイントの解説とデモンストレーション。各席に用意されたタブレットにポイントや動作の手元が映し出されるので、見えづらかったり聞き逃したりすることなく、内容が把握できて安心です。
一度でお湯を注いで抽出する1投式と、3回に分けて抽出する3投式で入れたコーヒーを飲み比べ。1投式はやや薄い印象。緑シールの3投式で入れたコーヒーの方が濃厚な味わい。同じ豆でも入れ方でこんなに味の感じ方が変わるとは!
コーヒーの抽出は、豆の種類や目的に合わせてさまざまな方法があるそう。今回のセミナーでは、一般的なコーヒー豆のおいしさをしっかりと引き出すことができる3投式(お湯を3回に分けて注ぐ方法)を実践します。
これまでは、見よう見まねでなんとなくお湯をクルクルと円を描くように注ぎ入れていましたが、講師の解説を聞くと、それではまったくコーヒーのおいしさを出せていないことが判明…。これを機にしっかりとおいしさを引き出すコツを身に付けるべく、工程ごとのポイントを丁寧にメモしていきます。
コツを学んだら、いよいよ各自でペーパードリップによる抽出に挑戦です!
サーバーにドリッパーをセットして、器具全体を湯せん
ペーパーフィルターは下と片側側面を互い違いに折り込む
コーヒーのハンドドリップには口の細いドリップポットがおすすめ
まずは、ドリッパーとサーバーを湯せんして器具を温めます。お湯を3周ほど回しかけて、お湯を捨てます。コーヒーの抽出に最適なお湯の温度は92~96度。沸騰したお湯をそのまま使うと雑味が出てしまうので、口の細いドリップポットに移し替えて適温にしてから使います。
3投式のペーパードリップは、「蒸らし」「1投目」「2投目」「3投目」の4段階で進めます。粉の中心に1円玉の円を描くようにお湯を注いでいきます。いざお湯を注ぎ始めると、細い線で一定量のお湯をブレずに注ぐのがなかなか難しい!
あたふたしているのを見かねた講師が、「低い位置から静かにゆっくり注ぎましょう」「ドリップポットを片手で持たず、もう一方の手で支えると安定しますよ」と教えてくれました。すると、2・3投目になるにつれて、だんだんと注ぐお湯の細さと量が安定してきました。
注ぎ入れるお湯は、蒸らしで20cc、1投目で80cc、2投目で40cc、3投目で20cc、計160ccになるようスケールで測りながら抽出
講師が抽出したあとのドリッパーは、見事に低い位置で粉がとどまり、中心にだけ泡が残った状態
しっかり抽出できているかどうかは、入れ終わったあとのドリッパーの中身で判断できるそう。粉がドリッパーの低い位置にとどまって、中心にだけ泡が残っていたら成功です。残った泡は雑味が流れ出ていない証拠。これは自宅で練習するときの目安として覚えておきたいポイントです。