震災や戦災、バブルやコロナ禍といった様々な変化を乗り越え、いまも続いている酒場があります。長く続く店は、愛され続けてきた理由がある。それを探しに、タイムカプセルのような老舗酒場の暖簾をくぐってみませんか?

今回ご紹介する店は、酒場に興味がある方ならぜひ訪ねて欲しい名店中の名店です。

【コーディネーター:塩見なゆ】
年間2,000軒もの“はしご酒”を楽しむ酒場案内人。杉並区で生まれ、幼少期から作家の両親に連れられて都内の酒場を楽しんできた異色の背景を持つ。東京を中心に北から南まで酒場を訪ね歩き、お店の魅力を丁寧に紹介する。
▶︎Twitter「塩見なゆ/Syupo公式」

【東京・神田】 みますや

「みますや」は東京で最も古い居酒屋のひとつで、1905年の創業。銅張りの建物は、関東大震災後に建てられ、昭和初期の風情を感じさせます。店内は広々としており、拡張された部分は違った作りになっているため、座る場所によって異なる雰囲気が味わえます。座敷でゆったり宴会をするのもよし、相席のテーブル席で活気を感じて飲むのもよし。

日替わりのお通しとして出されたおからは、しっとりと甘みがあり、お酒が進みます。肉豆腐も看板メニューのひとつで、初代が考案したすき焼き風の牛煮込みはちょっと甘めで、固めのお豆腐との相性が抜群です。

また、ここの穴子も絶品で、プリッとした身が箸の通りがよく、口の中で広がる食感がたまらない美味しさです。江戸の味を大衆酒場価格で楽しめる「みますや」は、酒場好きなら一度は訪ねてほしい一軒です。

住所:東京都千代田区神田司町2-15-2
アクセス:JR「神田駅」徒歩8分

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【東京・町田】 柿島屋

柿島屋は、町田で最も古くから続く飲食店であり、創業は1884年。物流の主役は荷馬車で馬喰の業者が活躍していた時代です。柿島屋は浜街道・神奈川往還の馬喰でしたが、物流が鉄道に移り、馬肉料理店に転身しました。

現在でも、柿島屋の料理の8割以上が馬肉を使った料理であり、変わらないメニューの肉皿や肉そば、馬刺しが定番です。肉皿は馬肉の煮込みで、こんにゃく、ごぼう、ねぎが控えめに入り、主役の馬肉は大量に盛られます。馬肉は国産で、山梨で育った4歳以下のメスの馬を一頭買いしているそうです。

大箱で美味しい料理を独り占めする楽しさもありますが、気心の知れた間柄の飲み友達や家族とわいわい過ごす楽しさもあります。また、夏でも人気の肉なべも必食!

住所:東京都町田市原町田6-19-9 アーバン柿島2-1F
アクセス:JR・小田急電鉄「町田駅」徒歩約3分
公式HP:柿島屋