昭和の街並みが残る連棟長屋でいただく韓国ごはんと韓菓

堀川通と千本通を繋ぐ「三条会商店街」。人気のカフェやパン屋さんなどグルメなお店が集まる名物商店街から一筋入るちょっぴり穴場的な場所にあるのが韓国ごはんと韓菓のお店「Rico cafe」。

昭和の雰囲気が残る昔ながらの連棟長屋の一軒です。

先に娘さんが2階で子ども向けの英語と韓国語の教室を始め、空いている1階で「カフェをしたら?」と金さんに持ちかけたのが店を始めるきっかけ。というのも金さんは、かつて先斗町にあった人気韓国居酒屋のオーナーシェフを務めた経験の持ち主。

あまり忙しすぎるのはもう嫌だけれど「席数が10席で夕方までなら」と韓国ごはんと韓菓のお店「Rico cafe」を2023年の春にスタートさせました。

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一度食べたらまた食べたくなる韓定食「五楳飯床(オチョプパンサン)」

人気の韓定食 「五楳飯床」2200円

「Rico cafe」の大人気メニューのひとつが「五楳飯床(オチョプパンサン)」。「楳」は器を意味し、「飯床」はお膳仕立ての提供方法をいいます。つまり、5つの小鉢がついたお膳仕立ての定食。韓国では、3チョプ、5チョプ、7チョプと小鉢の数は奇数にするのが一般的。

平皿にのっているのは「トッカルビ」「海鮮のパジョン」「「じゃがいもの煎(ジョン)」。「トッカルビ」はもともと韓国の宮中料理。カルビ肉を粗く刻み、骨の代わりのエリンギに巻いて焼き上げます。金さんはエリンギの代わりに京都府丹波町の名産、丹波しめじを芯にします。粗ミンチのカルビ肉の柔らかさと肉のうま味を味わいつつ、がぶりと噛むと大ぶりの丹波しめじのしゃきっとした食感に新鮮な驚きを感じます。「パジョン」は見た目はチヂミと似ていますが、卵たっぷりで焼き上げるので、ふわっと軽い口あたり。

この日の「五楳」は「白キムチ」「茎わかめの塩炒め」「おでんポックム」「茄子と胡瓜のナムル」「大根のキムチ」。

「白キムチ」も宮中料理。金さんは、塩漬けした白菜から出た水分で野菜を漬けて発酵させます。冬場になると発酵に2日間かけることもあるそう。乳酸菌発酵エキスの溶け込んだスープは残さず飲み干すのが◎です。唐辛子やコチュジャンは入っておらず、やさしい味わい。

「おでんポックム」のおでんとは、韓国ではさつま揚げなどの練り物のことを指します。ポックムは炒める調理法のことで、少し甘辛くて、冷えてもおいしい韓国の常備菜。「日本の人は、韓国料理は唐辛子で辛く味つけたものばかりと思っているけれども、あれは観光用のパフォーマンス。家庭料理では辛いものはほとんどなく、体に良いものを食べるのが主流」と金さん。

主食のごはんにもこだわり、滋賀県「近江の里 木下農園」が減農薬で育てるミルキークイーンに韓国の黒米を混ぜたものを使用。韓国の家庭では雑穀米が基本なのだとか。韓国料理へのイメージが変わりますね。

そして、特筆すべきは韓国の無添加田舎味噌を使ったテンジャンチゲ。味噌に独特のコクがあり、味に深みがあります。「韓国のお味噌っておいしいんですね!」と声をかけるとこの味噌が特別おいしいのだとか。普段使いのランチには少し高めですが、ちょっと疲れているときやデトックスしたいときに食べたら、元気をもらえそうです。