フィールドで使う道具は己の分身。だから自ら作りだす。それが長野修平さんの道具作り。
今回、紹介してもらうのはわずか数分で作れる蚊取り線香ホルダー。
ナイフがあれば、蚊が出はじめてからでも十分に間に合うぞ。

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長野修平さん
ネイチャークラフト作家、野外料理人。北海道の山菜料理店生まれ。
スウェーデンのモーラナイフ公認日本・台湾アンバサダー。
著書「里山ライフのごちそう帳」(実業之日本社)ほか。

野外の虫を侮るなかれ。

あれは20年ほど前の初夏。翌日のクラフト講座の準備と合わせてキャンプ場で2時間強を費やした晩のこと。
体中がなんか痒い。そのまま半睡の眠りから覚めた朝、なんと顔がボコボコに腫れ、まるで水疱瘡だ。

実はこの腫れの正体はブヨだ。
日中30℃で、つい半袖短パンで設営していたため、30カ所も刺されていた。
蚊やアブのように刺された時の感覚がないだけに厄介なのがこのブヨ。
人によっては発熱や呼吸困難になり、救急車を呼ぶ羽目になることもあるそう。

ブヨの幼虫は渓流で育ち、気温が高い春夏の朝夕に出没。
対策は肌を出さず、ブヨ対応の防虫スプレーでガードするのが効果的とされる。
結局その日は腫れた顔のまま「みなさん十分に気をつけましょう」と講座をはじめた。

それはそれとして、今回は2タイプの蚊取り線香ホルダーを製作。
いつもその辺にある素材で作っているが、今回は竹を利用。線香の火による延焼などには十分に注意しよう。

今回の素材 竹

日本で見つけやすい竹の仲間は孟宗竹、真竹、アズマネザサ、篠竹、根曲竹、熊笹など。
今回はそのなかでも枝分かれがあるものを使う。
竹類は繊維が丈夫で、薄い線香の刺し口を削るのにも適する。

今回のマイツール

スタンド型の作り方

①竹を20㎝ほどに切る

ここでは真竹の先の細い部分の枝分かれを使用。
竹は通常、一節から2本枝が出る。それと幹の3本で3脚立ちするので、線香とのバランスを考えながらその場所を見極め、まずは長めにノコギリで切る。

②バランスを確認する

実際に立ててみながら、まずは3脚の足の長さを調整。
決して短く切りすぎないようにするのが成功の秘訣。
あとからいくらでも短くすることは可能だ。

③頂上を細く整える

線香を刺す部分を削る。線香の一文字の穴を当てながら少しずつ慎重に。
仕上がりの際に残る頂上部分は、繊維が一番丈夫な竹の外皮部分になる。

④完成

吊り下げ型の作り方

①上下ともに節を残す位置で切る

節からの枝分かれ2カ所と、てっぺんの節止めの3節分が吊り下げ型のパーツ。
上下ともに節を残す位置で切る。下側のツール下げ枝はひとつ目の節上で切る。

上の線香を刺す枝は長めに切り、枝の開きや向きが合わない場合などは、ろうそくの火で炙り曲げる。

枝を一定の力でしならせ、曲げたい部分を遠火でしばらく炙っていると徐々に曲がり、そのまま水で冷やすとその形に固まる。

②上部に切れ込みをいれる

ロープへ吊るすための引っ掛けを削るのは、ナイフの細い先端。少しずつ削り取るように。

まずは上に向けつつ鈍角に溝を削り、徐々に鋭角に上方向へカーブするように削ると、よりロープから外れにくい。

③差し込み口を整える

線香を刺す頂上の差し込み口は、線香の一文字の溝をあてつつ少しずつ仕上げていく。
2本削ったあとは本体の天地切り口と、ツールフックとなる枝先を面取り。

指で触れて痛くないように仕上げて完成だ。

④完成

TEXT/長野修平
PHOTO/猪俣慎吾
出典/ガルヴィ2020年6月号

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