ウクライナ兵器の「国内生産」「NATO化」着々? 国産戦車の変貌に見え隠れする独企業 反転攻勢後の筋書きとは

KF51「パンター」よりも生産しやすいかも

 前述したようにウクライナ軍には現在、「レオパルト2」などNATO規格の戦車が大量に供与されています。そしてそれらを用いて、近いうちに同軍がロシア軍に対して反転攻勢を実施することはほぼ確実です。

 激戦を繰り広げれば、当然生じるであろうこれらNATO規格戦車の損耗補充用として、自国内で生産・調達できる「オプロート」にその役割を担わせるのは、生産の開始さえ間に合えば、十分に考えられることです。そしてそのときに、やはり「ヤタハーン」の進化系といえる「ロシア規格とNATO規格のハイブリッド」とでもいうような戦車が生産されるのではないかとも推察できます。

 なお、そのような戦車であれば、現状ではウクライナ側に生産体制がまったく整っていないKF-51「パンター」よりも準備に手間取ることなく、比較的速やかに生産できます。つまり、将来的にはKF-51の生産を見据えていたとしても、戦時下の「ストップ・ギャップ」として、このような戦車を生産する可能性もあるとは考えられないでしょうか。

 もしかしたら、ウクライナ国防省はすでにNATO規格の兵装を盛り込んだ「オプロート」を発注しているものの、それを単に「オプロートの生産要求」とぼかして表現し、発表しているのかもしれません。

 現状では、あくまでも筆者の推測の域を出ないものの、冒頭に述べたとおり、ウクロボロンプロムでの「オプロート」の生産と、ウクライナ国内へのラインメタルの現地合弁会社設立といった動きを見ていると、これらがリンクしている可能性は捨てきれないのです。