陽気がよくなると、なぜだかウキウキとした気分になって、どこかへ出かけたくなる。

そんな春~初夏は、マダイも恋の季節。

すなわち産卵で深場から浅場へマダイが集まってくる乗っ込みシーズンの到来だ。

 

そこで4月10日、コマセダイの一級ポイント〝剣崎沖〟を擁する三浦半島剣崎松輪港から出船する大松丸に出かけてきた。

 

目下のマダイの釣果はトップ5~6枚で、日並みがよければツ抜けする日もあるが、サイズは0.6~1kg前後の個体がメイン。

そこに時折大型のマダイが交じるといった感じなので、まだ本格的な乗っ込みが始まったとは言えない状態だった。

2隻出しの大盛況

当日の大松丸のマダイ船は乗合船と仕立船の2隻出しとなっており、私たち乗合組は鈴木裕喜船長が操舵する船に乗り込み準備を始める。

 

6時少し前、19名を乗せて出船。

ナギの海を滑るように進んでポイントの剣崎沖に到着すると、「水深は50m。タナは30m。海面からのタナ取りとなりますが、リールのカウンターではなく道糸のマーカーで計ってください」と鈴木船長から開始の合図が出された。

 

この場合、サミングしながら指示ダナプラス5mまで下ろし、ハリスが潮になじむまで5~10秒くらい待った後、コマセを振りながら指示ダナまで誘い上げてタナ取り完了。

 

あとはマダイからのラブコールを待てばよいのだが、必ず船長の指示ダナを守り、ビシ(コマセカゴ)をタナより下げてはならない。

マダイは産卵に備えて神経質になっているので、視界にビシが入ると警戒して散ってしまうのだ。

 

誘いを入れる場合は、ゆっくり3mほど誘い上げ、続いてジリジリとタナまで誘い落とすのが一般的だ。

 

この時期の皆さんの目的は、大ダイを釣って自己レコードを更新すること、そしてもう一つの楽しみが白子だろう。

 

クリーミーなマダイの白子の味はフグにも負けないと食通にも評判。

新鮮な白子を食せるのは釣り人の特権だ。

 

モーニングサービスを期待したものの、なかなかマダイからのアタリは訪れない。

開始から30分後、最初に竿を曲げたのは右トモ2番の小峰さつきさん。

 

竿を満月にしならせてのヤリトリは、なんとも気持ちよさそうだ。

上がってきたのは1.7kgのマダイ。

 

よし、次は俺の番だと皆さん気合が入ったものの、後が続かない。

魚探には反応が出るのだがマダイが口を使ってくれないのだ。

 

この日はまるで初夏を思わせるような晴天で、無風で鏡のような海面。

潮回りは小潮で流れも緩慢、俗にいう「ナギ倒れ」状態だ。

 

その後、8時過ぎに右トモ3番の福島さんが800g級のマダイを取り込み、終了間際に右ミヨシ3番の田村さんが700g級のマダイを釣ったところで沖揚がりとなった。

 

この日は谷間に当たって思わぬ不振に見舞われたが、久里浜沖に向かった船は多少の釣果が上がったらしく、いやはやマダイは実に気難しい魚だと痛感した。

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出足から絶好調!

4月15日、私は再び大松丸の船上にいた。

この日は打って変わっての曇天、台風1号の接近に伴う強い北風が吹いていた。

 

9名を乗せた本船が剣崎沖に到着し、「水深48m。タナは28mです」の合図で開始となった。

すると、「食ったよ!」

声のするほうを見ると左トモの松館さんがバトルの最中。

グイグイ巻き上げ1.5kgのマダイを釣り上げた。

「前でも食ってるよ」

 

船長がマイクで知らせてくれたので駆け付けると、すでに松尾さんが800g級のマダイを取り込んでいた。

 

松尾さんは次の投入でも同級を釣り上げ、「次は大型を釣りますよ」と意気揚々。

 

実は氏は前回の取材でも同船しており、イサキ1尾で終わった雪辱を果たすため今日も乗り込んだとのこと。

 

続けて右胴の間の高橋さんが1kg級のマダイを釣り上げると、再び松尾さんが3枚目となる1kg級を上げた。

 

そのマダイを撮り終えて右ミヨシを振り返ると畠山さんがヤリトリの真っ最中。

 

取り込みの写真を撮ろうと構えていると、海面に浮かび上がったシルエットは赤ではなく黒。

畠山さんが上げたのは1.2kgのクロダイだ。

 

開始50分で船中8枚のマダイが上がり滑り出しは絶好調。

 

しかし、それからはポツリポツリと1kg前後のマダイが顔を出すような展開に。

 

ここで私も竿を出す。

指示ダナでしばらく待ってもアタリがなく、3m巻き上げ、そこから静かに落とし込んでいくと、突然ズドーンと竿先が海面に突き刺さった。

 

合わせを入れるとギュギューンとドラグが滑る。

ここで無理は禁物。

竿を立て、慎重にヤリトリしてタモに無事収まったのは2.2kgのマダイ。

 

その後、私は置き竿で1.2kgを追加。

さらに、「タナを32mから34mに下げてください」とのアナウンスで糸を送っていくと、再びズドンときて2.4kgをゲット。

 

とどめに置き竿で600g級を追加したところで沖揚がりとなった。

 

トップは5枚を釣った松尾さん。

ほか3枚が3名で残念ながら0が1名出てしまった。

 

剣崎沖の乗っ込みは例年ゴールデンウイークのころから梅雨前がトップシーズン。

ぜひとも大型のマダイを狙いに出かけていただきたい。

このサイズも黒みを帯びた個体が交じる

釣りごろ食べごろサイズの1kg級

大型に備えてドラグ調節は万全に!

時合を逃さず連続ヒット

小ぶりでも身に厚みがある

クロダイも上がった

筆者が手にした当日最大2.4kg

剣崎ならではの大型船で快適に楽しめる