誰もが学校で勉強したであろう「中央構造線」。みなさんは覚えているだろうか。九州東部から関東へと横断する世界第一級の大断層で、地図を開けば徳島県の北部で緑の自然が途切れている様子を目にできる。

四国地方といえば「八十八ケ所巡り」のお遍路が有名だが、徳島県三好市は国内だけではなく、実は海外からも注目を集めていることをご存知だろうか。外国人からパワースポットとして密かに人気を博しているのは、圧倒的な大地の力も関係しているのかもしれない……。

ふと湧いた疑問を解消するため、同地の魅力を探る旅へと向かった。

【前回の記事はこちら】

>>大地の力が眠る徳島県! 三好市のパワースポットを巡る旅 Part1|中央構造線が生み出した不思議な地形

日本最大の断層が走る徳島県三好市 水と大地の関係



はるか昔に誕生した大断層・中央構造線は、約300万年前に活動を再開し、讃岐山脈を作り上げた。それに伴い、吉野川の流れは大きく変わることとなった。

険しい山々が連なる三好市では大地の力を強く感じさせられるが、往時の人々が水運も行っていたことから、水との関係性にもフォーカスしたい。

豪快に削られた渓谷美が眼前に広がる「大歩危・小歩危」



三好市にはかずら橋や剣山などの言わずと知れた観光名所があるが、山と川の両方を知るのに打って付けの場所がある。それが大歩危峡(おおぼけきょう) だ。

ここは吉野川の激流によって削られた渓谷が8km近く続いており、自然が生み出した美しい眺望が楽しめる。

春から秋にかけてラフティングやカヤックを体験でき、観光客からも人気なのだが、今回は遊覧船に乗って川下りをすることにした。



自然が創り出した迫力の大峡谷を水面から間近に感じる大歩危峡観光遊覧船

吉野川の中流域、大歩危峡を行き来する大歩危峡遊覧船に乗船し、いざ出発。

船の後方では、船頭が舵を取りながら大歩危・小歩危(こぼけ)の歴史や特徴を説明してくれた。

「吉野川は“日本一水の流れる川”といわれており、ここ大歩危峡は国の天然記念物に指定されています。四季折々の景観が美しく、春にはヤマザクラやツツジの花が咲き誇り、夏の新緑や秋の紅葉も見応えがあります」



川に沿うように急峻な岩が続く大歩危峡。このエリアが大歩危・小歩危と呼ばれるようになったのは、「大股で歩いても小股で歩いても危険な場所」という意味が由来になっているのだそう。

このほか、険しい山を意味する「ほき」が転じたという説もあるが、実際に大歩危峡を目の当たりにすると、どちらの意味でも思わず納得するほど自然に圧倒される景観が広がっている。



しばらく周辺を眺めていると、両側にある岩が同じ方向に向かって続いているように感じた。これは、はるか昔に地下深くの岩が大きな圧力を受け、地表へと盛り上がったことに起因しているという。

圧力を受けた岩石はドームのように大きくたわみ、大歩危では南向きに傾き、小歩危では北向きに変わっていく様子を目にできる。

大歩危峡観光遊覧船は、四季折々の眺望が楽しめる。景観の中に潜む地質学的な魅力だけでなく、周辺の景色とともに三好の自然を堪能してもらいたい。

【詳細情報】

大歩危峡観光遊覧船(大歩危峡まんなか内)

https://miyoshi-city.jp/spot/大歩危遊覧船

住所:徳島県三好市山城町西宇1520

料金:大人1,500円、子ども750円ほか

電話:0883-84-1211

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もう少しこの地について知りたい。part3では、更に大歩危峡を調べてみよう。

>>大地の力が眠る徳島県! 三好市のパワースポットを巡る旅 Part3|三好ジオパーク構想情報発信室「とこじお」へ

編集:男の隠れ家デジタル 文:菅堅太 撮影:井野友樹