“ダブル乗務”OKな777&787「操縦席の違い」結構ある!? JAL担当パイロットに聞く本当のところ

まさに「パワーアップ版777」! 787の先進性

 新鋭主力機のひとつである787、古川機長は777と比べると、「便利になった部分もある」とも話します。そのポイントを次のように話します。

●コックピットの座席

「787は席の後ろにスイッチがあって、そこで座席を動かせるのですが、777にはこれがなく、手を伸ばしてレバーを引かなくてはならないんです」

●自分の便名をコクピット内に表示する「リマインダー」

「777は手で押すタイプであるのに対し、787はデジタル表示に変えられているほか、その周辺に周波数や時計も表示されているなど便利になっています。777では今どの周波数で交信しているのか、都度下を見る必要があったのですが、787ではそこまで目線を動かすことなく確認できます」

●画面上での「空港の情報」の呼び出し

「777では、コクピット横に『電子フライトバッグ(EFB)』を置き、そこで空港の情報を呼び出していたのですが、787では、コックピットに備え付けられている大きなモニター(ナビゲーション・ディスプレイ)のなかに空港のレイアウト情報に表示できます。(外付けから内蔵・大画面に変わったことで)地上滑走のときには参考になります」

●巡航時の高度

「787は一気に高高度まで行くことができます。たとえばアメリカ西海岸まで行く場合、787なら少し重量が軽い状態であれば一気に3万9000ft(約1万1890m)まで行くことができるんですが、777の場合は3万1000ft(約9450m)から、徐々にステップアップするような感じで高度を上げていきます。高度が高いほど揺れづらいことが多いのです」

●スイッチ類

「787には、両タンクの燃料のバランスを、ボタンを押すだけで調整してくれる『フューエルバランススイッチ』を備えています。片方のエンジンが止まってしまうなど、万が一の際にパイロットの負担を軽減してくれます」

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パイロットから見た2機種の違い、ギャップはどれほど?

 このように、素人目から見ると777と787は、世代的に大きく違うのでは……と思うかもしれません。それでも古川機長は787を「777とほとんど同じながら、787は本当に細かな部分で、視認性の向上や、手・目などの動きが少なくなるように設計されている」と話します。

 古川機長も取材中、「どこか違うところあるかな……」と熟考し、自ら2つの訓練装置の各所を見てポイントを探しながら、先述したような違いをあげてくれたのが印象的でした。パソコンや自動車といった身近な道具に置き換えてみると、確かに、10年前の機種と最新機種とで基本の操作が大きく異なるわけではありません。入念な訓練を積んだプロのパイロットから見ると、それと同じくらいの“相違点”なのでしょう。

 1996年の就航以来、長年JALの主力として活躍を続けている777。2012年4月22日にJALで就航し、2022年にちょうど就航10周年を迎えた787。ルックスこそ異なれど、パイロットから見るとまさに「兄弟」のような飛行機なのかもしれません。