東京にある個性的な地ビールブルワリーを訪問。醸造所を見学しながら、ビール造りにかける思いをインタビュー。併設されたレストランや売店にも立ち寄り、そのブルワリーならではの地ビールの魅力を探る。

今回は、都心の住宅街になじむ代々木の「Y.Y.G. Brewery & Beer Kitchen」を訪れた。

ガラス張りの醸造所で、醸造家が造って出す


代々木の住宅街とボーダーレスにつながるブルワリーバー

Y.Y.G. Brewery & Beer Kitchenは、新宿駅からも代々木駅からも徒歩10分ほどの場所にある。繁華街から住宅街に差し掛かった静かなエリアだが、1階のテラスのあるブルワリーバーは意外にも周囲となじみ、ゆったりした時間を届けている。

2016年のオープン当初から、「地域のコミュニティになれるブルワリー」を目指してスタート。定番ビールには、代々木、新宿、渋谷、原宿と近くの地名がついているのも、親しみやすさにつながっているのだろう。近隣に住む人や働く人の日常のなかの1つの居場所になっている。


バーのガラス越しすぐそこが醸造の現場

Y.Y.G. Brewery & Beer Kitchenの醸造責任者はこれまで2人入れ替わり、現在の上野雄也さんで3代目。初代が今も残る定番ビールを造り上げてブルワリーの礎を築き、研究熱心な2代目がイギリスを中心とした海外の伝統スタイルもラインアップに加え、品質をさらに磨き上げてきた。3代目の上野さんは誰もが親しめる軽快でキャッチーなビールを増やしていきたいと話す。一見、異なる趣向を持った3人だが、歴代の醸造責任者には共通していることがあると言う。

「ビールの品質を保ちながら、どれだけプラスアルファの美味しさを届けられるかを大切にしています。基本のレシピはありますが、日々の気温や湿度も考えて、ホップを入れるタイミングなどを調整して最高のおいしさに仕上げています。Y.Y.G. Brewery & Beer Kitchenでは醸造家が造ったビールを本人が提供しているのでお客様からの反応がダイレクト。緊張感がありますし、フィードバックももらいやすい。品質を落とさず、ビールをコミュニケーションツールに、どれだけお客様を楽しませられるかに挑戦しています」


醸造責任者がビールを注いでくれるのも醍醐味

3年前の2019年からは、千葉で「Y.Y.G. Factory」も始動。代々木での自家醸造だけでは足りなかったビールの供給も始まり、オリジナルのラインアップもバラエティ豊かに届けられるようになった。こうして品質の高さと醸造家のクリエイティビティを味わえるのがY.Y.G. Brewery & Beer Kitchenが支持を集めている理由。ビールがつなぐおいしさと楽しさをめいっぱい感じてみよう。

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最大14種類のラインアップがもたらす楽しさ


定番ビールは持ち帰りボトルも用意されている

Y.Y.G. Brewery & Beer Kitchenでは、最大14種類のオリジナルビールが1Fのブルーバーのタップにつながっている。そのうち、定番は地名のついた4種類となっている。

●新宿ペールエール
Y.Y.G.の人気No.1ビール。柑橘系のホップとトロピカルな香りのホップが織りなす華やかなアロマが第一印象。苦みはしっかりありながらも優しく、鼻から抜けるフレーバーはどことなくスパイシーな印象。麦芽は北米産ペールモルトを使用し、心地よい穀物の余韻が感じられる。
<インターナショナル・ビア・カップ2021銀賞受賞>

●代々木アンバーエール
Y.Y.G.の定番ビール。じんわりと感じるトロピカルな深い香り、後から来る力強い麦芽の香りと甘みを楽しめる琥珀色のビール。熟成が進んだとき、温度が高いときは、麦芽の余韻が増す。目を閉じて深く香りを楽しむと、今コンクリートジャングルにいることを忘れてしまうほど。
<インターナショナル・ビア・カップ2021銀賞受賞>

●渋谷IPA
6種類のホップを絶妙なバランスでブレンド。松脂やグレープフルーツのような香りが複雑に混じり、ジューシーでダンクなアロマが爽やか。強い苦みとモルト由来の重厚なボディが絶妙にバランス。最高の苦みと立地な香り、コクのある余韻が楽しめる。

●原宿スタウト
柔らかなボディにコーヒー、チョコレートの香り。黒の重厚な印象とは裏腹に、程よい甘みと苦み、かすかな酸味がある、飲み飽きないビール。麦の甘さと香ばしい香りの余韻が心地よく、トップからアフターノートまでをなめらかにまとめ上げる。まるで大人の麦茶。至福の余韻と時間が訪れる。


Y.Y.G. Brewery & Beer Kitchenは国内ビアコンテストの受賞歴も豊富

このほか、カルフォルニアコモンをイメージしたシーズナルビールの「南新宿コモン」、ニューイングランドのヘイジーIPAをイメージした準定番の「ニュートーキョーHazy IPA」などがある。さらには、季節ごとに飲みたくなる風味のもの、乳糖に天然果汁を加えた甘さと酸味のあるスタウトなどオリジナリティの高い限定ビールが登場することも。

年間では、代々木で20種類、千葉ファクトリーで50種類くらいのビールが仕込まれ、いつ訪れても定番ビールと新鮮な味わいが楽しめるようになっている。