車を運転していると、坂道を上る途中に信号で停車したり、もしくは横断歩道の手前で一時停車したりする機会が多いでしょう。坂道発進を苦手とするドライバーをサポートしてくれるシステムが「ヒルスタートアシスト」です。

しかし、ドライバーによって必要・不要がわかれるようです。ヒルスタートアシスの特徴や使い方、メリット・デメリット、搭載されている車種を解説します。

ヒルスタートアシストとは

NV100クリッパー ヒルスタートアシスト イメージ図

ヒルスタートアシストは、坂道で停車した状態で車を発進させる際、車体が動かないようにブレーキ機能を保ってくれるシステムです。主に、MT(マニュアルトランスミッション)車に採用されている機能となります。

ブレーキペダルからアクセルペダルへ踏みかえる動作で1秒から2秒程度の間、ブレーキ機能を保ち、車体が後ろに下がるのを防ぎます。

初心者ドライバーだけでなく、熟練のドライバーにも運転操作でのミスを予防できる心強いシステムです。

ヒルスタートアシストのしくみ

ヒルスタートアシストの構造は、坂道で停車している状態でしか作動しない仕組みとなっています。

なぜ、坂道で停車している状態でしか機能が使えないのでしょうか。車両の電子制御システムに含まれている「加速度センサー」と呼ばれるシステムが鍵となります。

加速度センサーは、物体にかかる重力や動き、振動、衝撃を読み取る器具です。車に使われている加速度センサーのケースでは、坂道で停車しているかどうかを読み取って、状況に合わせてヒルスタートアシストが作動するのに役立っています。

加速度センサーを含んだ電子制御システムにより、適切なタイミングでヒルホールドアシストが作動するように作られているのです。

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ヒルスタートアシストのメリット・デメリット

スバル 「オートビークルホールド」スイッチ イメージ画像

ヒルスタートアシストは、ドライバーが苦手としやすい坂道発進を手助けしてくれるのが魅力です。しかし、メリットとデメリットがそれぞれ存在するのも、車を運転する機会が多いなら注目です。

ヒルスタートアシストのメリットとデメリットを、注目したいポイントをピックアップして解説します。

ヒルスタートアシストのメリット

ヒルスタートアシストのメリットは以下の3点です。

  • 坂道発進のペダル操作で気持ちに余裕ができる
  • エンストを起こしにくくなる
  • 近年ではMT車に限らず、AT車にも使用されている

坂道発進のペダル操作で気持ちに余裕ができる

ブレーキからアクセルにペダルの踏みかえをする動作で、一時的に停車状態を保てるのが特徴です。

例えば、坂道の途中に信号があり、上っている途中で車を一時停止させたとしましょう。後続車が同じように信号待ちで一時停止すれば、坂道発進を失敗できないプレッシャーが生じます。

プレッシャーがある場面でヒルスタートアシストが作動すれば、少しの間一時停止の状態を保ち、落ち着いてペダル操作を行えるでしょう。

エンストを起こしにくくなる

MT車でヒルスタートアシストが搭載されているケースが当てはまるでしょう。

AT(オートマチック)車と異なり、MT車は「クラッチペダル」の操作で車が発進・走行ができるようになっています。しかし、クラッチペダルを上手に扱わないと、エンジンが止まってしまい、後続車に迷惑をかける可能性があります。

危険な状態を招きかねないシチュエーションで、ヒルスタートアシストがあれば、落ち着いてクラッチ操作を行うことができるでしょう。ただし、エンストが起こらないと確証できるシステムではないため、丁寧なペダル操作が求められると理解しましょう。

近年ではMT車に限らず、AT車にも使用されている

近年では、AT車の比率が高くなっていると同時に、ヒルホールドアシストを搭載している車種も増えつつあります。

AT車の坂道発進では、ブレーキとアクセル、それぞれのペダルを踏みかえる操作がメインです。MT車のようにクラッチペダルを踏む操作がなくなりますが、同じく坂道で車体が後ろに下がる可能性があります。

車体が後ろに下がるのを防ぐため、MT車と同様のヒルホールドアシストが搭載されています。ブレーキペダルから足を離しても1秒から2秒程度なら車が一時停止している状態を、AT車でも実現したのが特徴です。

上記3つのポイントは、初心者から熟練まで幅広いドライバーが得られるメリットとなるでしょう。

ヒルスタートアシストのデメリット

ヒルスタートアシストのデメリットは以下の3点です。

  • 長時間、車の一時停止状態を保っていられない
  • 路面状況によって機能が使えない
  • 坂道発進以外では使用できない

長時間は停止状態を保っていられない

ヒルスタートアシストは、1秒から2秒程度しか機能が作動しない仕組みとなっているため、長時間、車の一時停止状態を保っていられないのが特徴です。あくまで、ブレーキからアクセルにペダルを踏みかえる際の補助機能と考えなければなりません。

路面状況によっては使えないこともある

路面が凍結している、あるいはぬかるみなどの悪路では、ヒルスタートアシストが上手に使えずに車が後方へ下がってしまう可能性があります。機能を過信せず、路面状況に合わせた運転操作が重要です。

坂道発進以外では使用できない

ヒルスタートアシストは、車に搭載された電子制御に含まれている「加速度センサー」により、坂道で停車しているか判別しているのが特徴です。路面が傾斜していない交差点ではヒルスタートアシストが作動しない仕組みとなっています。

加えて、ヒルスタートアシストは同じ坂道でも駐停車で使用すると事故に繋がる可能性が高まることから、使用しないよう、メーカー側で注意をしているケースがあります。

上記の3点から、ヒルスタートアシストのデメリットを踏まえて、あくまで坂道発進を手助けするシステムであると理解するとよいでしょう。