映画や海外ドラマでは、あたりまえのように高校生が車で通学している光景を目にします。

実際にアメリカで車を運転できる最低年齢は、なんと14歳!その他の国でも、18歳未満で免許が取得できる国はあります。

このように、日本とはまったく異なる海外の運転免許取得事情。一体どうなっているのでしょうか。

日本はなぜ車を運転できる年齢が18歳から?

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日本の免許制度では、満18歳にならなければ仮免が取得できない決まりになっています。それに対して海外は17歳や16歳であったり、なかには14歳で車に乗れる国もあります。そもそも、なぜ日本の運転免許の取得年齢は18歳なのでしょうか。

日本の運転免許取得年齢が18歳と定められたのは、1903年に制定された日本初の自動車免許制度「乗合自動車営業取締規則」によるものです。その後、太平洋戦争の影響で取得年齢が15歳に引き下げられた時期があったものの、1947年に制定された「道路交通取締法」に則って18歳と定められています。

そして現在の道路交通法の基となっている道路交通取締法は、ジュネーブ交通条約で定められた規定に従っています。

ジュネーブ交通条約では、国際免許証を発行するうえで『自動車を運転することができるための最低年齢は18歳とする』と定められているため、日本を含むジュネーブ交通条約に加盟している多くの国では、運転免許取得可能年齢が18歳となっています。

ただしジュネーブ交通条約は、あくまで国際免許証の規定であって、各国の免許取得年齢はそれぞれの国ごとに定められています。

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あの国は何歳から? 世界の運転免許取得年齢

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車の運転には大きな責任がつきまといます。車体が大きいため他者を巻き込みやすく、同乗可能人数が多いぶん、二輪車よりも責任範囲が重くなります。有事の際に社会的・経済的責任をまっとうできる年齢でなければ車の運転は難しいといわざるをえません。

多くの国で私法上の成人年齢を18歳前後としており、運転免許取得年齢もおおよそ18歳に定めています。しかし、なかには18歳未満で運転免許を取得できる国もあります。

アジアの中国・韓国・タイ・インド・バングラデシュなどは18歳であるのに対し、同じアジア圏でもマレーシアは17歳です。

南米ブラジルは18歳。ヨーロッパのフランス・スペイン・オランダ・ブルガリアや、北欧のスウェーデン・フィンランドなど多くのEU諸国も18歳です。

ドイツとオーストリア、スイスは近年になって18歳から17歳に引き下げられました。ただし、いずれの国も17歳で自動車を運転するには、一定条件を満たした運転免許証保有者の同乗が必要であり、18歳になった時点で正式な運転免許証が取得できるようになります。

ドイツやスイスが運転免許年齢の引き下げた理由は、運転の練習期間を伸ばすことで若年者の交通事故を減らす効果が見込めるとしています。2011年から17歳の運転免許取得を認可しているドイツでは、実際に若年ドライバーの事故件数と違反件数が3割ほど減っているそうです。

アイルランドやイングランドを含むイギリス全土では、古くから特別な制限なしに17歳で免許が取れるようになっています。

16歳で仮免が取得できる国も!

ロシアでは16歳から教習を受けられ免許も取得できますが、実際に車を運転できるのは18歳からと定められています。

メキシコも同じく18歳にならなければ免許は取得できないものの、16歳になると仮免許に該当する「マイナー免許」が取得できるようになっています。

カナダもほとんどの州で16歳から仮免許が取得可能です。ただし、運転免許保有者の同乗が必要な仮免期間が長く、フルライセンスを取得するには3年ほどかかるため、ひとりで運転できるのは実質19歳からになります。

オーストラリアでの運転免許取得可能年齢は原則17歳ですが、仮免を取得し免許取得者の監視の下であれば16歳6ヵ月や15歳9ヶ月で運転できる州もあります。

このように、世界の運転免許取得年齢は国や地域によって大きくばらつきがあります。ただし、条件なしで運転できるようになるには、おおよそすべての国で18歳以上となっています。