連休時の名物ともいえる、高速道路の渋滞。「せっかく料金を支払っているのに」、「早く行くために使っているのに」といった不満が生まれ、ついイライラしがちです。

週末や連休では交通量が増えるとはいえ、そもそも信号がない高速道路で渋滞が起こるのはなぜでしょうか。

そこには、「サグ部」と呼ばれる場所が大きく関係していることが知られています。

高速道路で渋滞が起きるのはなぜ?

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主な原因は、車が特定の箇所に集中してしまう「交通集中」、交通事故によって車線が規制される「事故」、改修工事などによって規制される「工事」の3つに分けられます。

2020年のNEXCO東日本の調査によると、渋滞発生の理由は「交通集中」が76%、「事故」が16%、「工事」が2%となっており、渋滞の約8割が交通集中によって引き起こされています。

交通集中の発生場所は、「上り坂およびサグ部」が64%、「接続道路からの渋滞」が11%、「インターチェンジ」が14%、「トンネル部」が5%です。

渋滞の主な原因である交通集中は、6割以上が上り坂・サグ部で起きていることが分かります。

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「サグ部」での渋滞が多くなる理由とは?

サグ部のイメージ。登り坂になっていると、一瞬見ただけでは気づかない。

サグ部とは、たるみ・たわみを意味する「sag」からとった言葉で、下り坂から上り坂に切り替わるポイントのことをいいます。真横からみると「V字」のような構造になっているのが特徴です。

このサグ部では目の錯覚が起こりやすいことが、渋滞原因の1つといわれています。

サグ部では、下りから上りへ切り替わるポイントがありますが、その場所では意識せずとも減速してしまうケースが非常に多いです。

前もって上り坂であることを知っていれば、速度を維持するためにアクセルを踏み込むでしょう。しかし、サグ部では周りの風景が単調なことなどもあり、「平坦な道である」と錯覚してしまいます。上り坂であることが分からず、いつの間にか速度が落ちてしまうのです。

このような状況になると、後続車は「前方の車が減速した」と認識し、ブレーキを踏みブレーキランプが点灯します。すると、その後ろの車も同じくブレーキを踏みます。この流れが連鎖することによって車間距離が少しずつ小さくなり、渋滞につながっていくのです。