キックダウンの仕組み

AT車が走行しているとき、シフトレバーは「D(ドライブ)」になっていると思います。

このとき、アクセルペダルを床いっぱい踏み込むと、自動的にギアが低速用のギアに切り替わって加速力が上昇します。この機能を「キックダウン」と言います。

なぜ、低速用のギアに切り替わると急加速できるのかというと、ギアは低速用になればなるほど、ギアが発生する力が強くなり、前進する力、つまり瞬発力が大きくなるのです。

例:3速AT車の場合

3速AT車を例に、キックダウンがどのような仕組みなのか簡潔に解説します。

通常運転中のギアと速さの関係(3速の場合)

  • 1速:瞬発力→強い 走行中の速度→遅い
  • 2速:瞬発力→普通 走行中の速度→普通
  • 3速:瞬発力→弱い 走行中の速度→速い

例えば、いま2速で走行しているとしましょう。

アクセルを軽く踏むとギアは3速に上がり、走行中の速度は速くなります。反対に、ブレーキを踏むとギアは1速に下がり速度は遅くなります。これが通常の動きです。

一方のキックダウンは、2速で走行中に、アクセルを床いっぱいまで踏み込むと、1速に下がります。瞬発力は強くなり、さらにアクセルを踏んでいるので走行中の速度はより速くなります。

つまり、瞬発力は強くなり、走行中の速度も速くなるという仕組みになっているのです。自動的にギアを下げて、瞬発力を上げて急加速できる。これが「キックダウン」の特徴です。

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どんなときにキックダウンを使うのか?

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では、どのような時にキックダウンを使うのでしょうか。キックダウンが必要なシーンを解説します。

急な坂を登るとき

急な坂道を登っていくときは、瞬発力が必要です。平坦な道と同じようにアクセルを踏んでいると速度低下の原因になります。止まってしまうこともあります。

道路のアップダウンに関わらず、速度を一定に保ち走行するのが安全運転の基本となります。

高速道路の本線に流入するとき

高速道路の本線に流入するときは、本線の手前にある加速車線を使って速度を上げなければいけません。本線を時速100キロで走行している車の速度に合わせるためです。

しかし、加速車線の長さが短いこともあり、短い距離で素早く加速しなければ、本線に流入できなくなります。

そこでキックダウンを使います。アクセルを踏み込んで、短い距離で時速100キロくらいまで加速するのです。

前の車を追い越したいとき

走行車線が2つ以上ある幹線道路などで、前方の車を追い越したいときはキックダウンが必要となります。

追い越すときは、前を走行している車よりも速度を上げる必要があります。

追い越しは短時間ですませないと、速度違反や交通事故の危険が高まる可能性もあります。

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