ブレーキフルード(ブレーキオイル)とは?
自動車のフットブレーキには、一般的に油圧式ブレーキが採用されています。ブレーキフルード(ブレーキオイル)とは、この油圧式ブレーキで使用される作動油のことです。
油圧式ブレーキにおいて、密閉された管に充填された作動油はブレーキペダルを踏み込むことでブレーキシリンダーに圧力を伝え、ブレーキキャリパーを作動させます。
ドライバーがブレーキペダルを踏み込んだ力は、油圧の働きによって増幅され、強い力を必要とせずに車の動きを止めることができるのです。
エンジンオイルとは全く違うもの
「作動油」であるブレーキフルード(ブレーキオイル)は、エンジンオイルなどの「潤滑油」とは区別されます。これらは目的が異なるため、主成分も異なるためです。
Honda(ホンダ) ブレーキフルード ウルトラ BF DOT4 0.5L 08203-99938 [HTRC3]
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エンジンオイルはいわゆる鉱物油や合成油ですが、市販車のブレーキフルードの主成分はエチレングリコール。油というよりアルコールに近い化学物質です。
ブレーキフルードの規格と成分一覧表
基準 | 主成分 | ドライ 沸点 | ウェット 沸点 | 粘度 (100℃) | 粘度 (-40℃) | ph値 |
---|---|---|---|---|---|---|
DOT 3 | グリコール | 205℃以上 | 140℃以上 | 1.5cst以上 | 1500cst以下 | 7.0-11.5 |
DOT 4 | グリコール | 230℃以上 | 155℃以上 | 1.5cst以上 | 1800cst以下 | 7.0-11.5 |
DOT 5.1 | グリコール | 260℃以上 | 180℃以上 | 1.5cst以上 | 900cst以下 | 7.0-11.5 |
DOT 5 | シリコン | 260℃以上 | 180℃以上 | 1.5cst以上 | 900cst以下 | 7.0-11.5 |
ブレーキフルードには、アメリカの交通省が定めた「DOT規格」があり、日本国内でもこの規格等級に準じてブレーキフルードが販売されています。
上記の表の各項の説明は以下の通り。
- ドライ沸点:吸湿率 0%時の沸点(新品時)
- ウェット沸点:吸湿率 3.7%時の沸点(1~2年間使用後の沸点)
- 粘度:ブレーキフルードの流動性を示す数値(数値が大きいと固くなり流動性が悪くなる)低温時では、この数値が高いとABSの作動性に悪影響を及ぼす。
- ph値:酸性/アルカリ性を表す数値(7.0以下では酸性度が強くなり、周辺部品の腐食が早くなる)
沸点が高いブレーキフルードの方が、よりハードなブレーキングにも耐えうるスポーツ走行仕様となっています。
よって、一般的な国産乗用車はDOT3を使っていることが多く、DOT4やDOT5はスポーツ走行向けということになります。