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『Destiny』“不要な罪”を背負い込んでいた真樹 亀梨和也の切なすぎる後ろ姿で第一部完

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『Destiny』©︎テレビ朝日

 『Destiny』(テレビ朝日系)第5話はあまりに怒涛の畳み掛けを見せた。奏(石原さとみ)の父親・辻英介(佐々木蔵之介)が、検事として最後に関わった「環境エネルギー汚職事件」の一部始終を記録したボイスレコーダーが見つかる。

参考:亀梨和也、石原さとみのかわいさに「練習してる?」 『Destiny』大学時代を自ら演じた意義

 “死をもって真実を封じ込めた”ボイスレコーダーの中では、彼がいかにして嵌められ、裏切られ、周囲から手の平を返されたのか、その様子が克明に語られていた。英介の無念を向かい合って聞く奏と真樹(亀梨和也)は、あまりに酷すぎる事実を前に呆然とする。どれだけ彼らは運命に翻弄され引き裂かれ続けるのだろうか。仮に本当に真樹の父親で弁護士の野木浩一郎(仲村トオル)が故意に英介を陥れたのだとしたら、最も憎むべき相手の肉親が目の前にいて、最も分かり合えない相手のはずなのに、そこには2人にしか分かり合えない痛みや傷、孤独が確かにあるのだ。この真実を抱えるのがどちらか片方ではなく奏と真樹の2人で良かったとどこかで思ってしまう、同じ匂いが2人の間には漂っている。そして自分だって知りたくない真実のはずなのに、常に自身のことよりも奏のことを優先し気に掛ける真樹の姿もまた一層切ない。

 奏は「どんなことがあっても生きていて欲しかった。(中略)どんな罪に問われようとお父さんはお父さんだから」と涙ながらに訴えるが、これは奏から真樹と浩一郎への想いにも聞こえる。

 たとえカオリ(田中みな実)の暴走を止められなかったとしても、勝手に自責の念に駆られ、自分一人でその罪を抱え込んで目の前からいなくなってしまうなんて責任の取り方をしてほしくなかった。父親同士に因縁があろうが、かなり重度の癌を抱えていようが真樹には生きていてほしいし、生きるのを諦めてほしくなんてない。それに奏は浩一郎についても、「あの人はあなたのお父さんなんだから、むやみに疑いたくない」と話していた。どれだけ残忍で卑怯な浩一郎のやり口を目の当たりにしても、きっと奏はこの信念を曲げはしないだろう。検事の仕事を「自分の正義を貫くこと」とし、その正義を誰からも汚されぬように最悪の方法を選んだ英介。そして何もかも一人で抱え込んでしまう真樹の姿や正義の守り方がどうもリンクしてしまうのも、また何かの因縁なのだろうか。

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 ずっと家庭内で居場所がなかった真樹。ようやく見つけた大学での“安息の地”がカオリの事故をもって呆気なく失くなってしまったように、またしても自分のせいで奏と婚約者・貴志(安藤政信)が言い合いになる現場に居合わせる。“自分はやっぱり邪魔者だ”と消えてなくなりたくなっていそうな真樹の後ろ姿。根なし草のように生きる真樹の背中に、何て言葉をかけたらいいのか考えあぐねてしまう。

 さて、そんな真樹の口から放たれる「俺がカオリを殺した」の次は「俺が燃やした」。真樹の実家が放火される衝撃の展開が待ち受ける。しかしこれまた真樹の仕業ではなく、浩一郎に接触したり、奏と英介の元部下・新里(杉本哲太)が対面する場で監視していたあの謎の男の犯行ではないだろうか。あるいは、英介が死をもって真実を封じ込めたように浩一郎も自らと真樹ごと真実を闇に葬ろうとしたのか。ただ、祐希(矢本悠馬)にまで接触し、彼の弱みに付け入って真樹の動向を探ろうとするようなしたたかな浩一郎に限って、それは考え難い気もするが……。それにあれだけ迷いなく裁判で英介を追求できていた浩一郎もまた、大きな力によって動かされた駒の一つだったのではないかとも思える。

 真樹がまた不要な罪を背負い込んでしまうことがありませんように。ただ、今にもいなくなってしまいそうな真樹が逮捕によって居場所が確定され、そして不本意な形だったとしても、奏と対峙する時間が長くなったことにどこか安堵してしまうのもまた本音だ。
(文=佳香(かこ))

 
   

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