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「1回戦負けにうんざりしていた」“壁”を突破したミッチェルがセルティックスとの次戦に闘志「さらに前へと進み続ける」<DUNKSHOOT>

THE DIGEST

「1回戦負けにうんざりしていた」“壁”を突破したミッチェルがセルティックスとの次戦に闘志「さらに前へと進み続ける」<DUNKSHOOT>(C)THE DIGEST
 今年のNBAプレーオフ・ファーストラウンドのうち、唯一最終第7戦までもつれたのが、イースタン・カンファレンス第4シードのクリーブランド・キャバリアーズと第5シードのオーランド・マジックによる戦いだった。

 このシリーズはキャブズが本拠地で2連勝を飾ると、ホームに戻ったマジックが2連勝で巻き返し、戦績をタイに。第5戦でキャブズが王手をかければ、マジックも負けじと第6戦を制して逆王手をかける大激戦へと発展する。

 現地時間5月5日(日本時間6日、日付は以下同)にクリーブランドのロケットモーゲージ・フィールドハウスで迎えた第7戦。キャブズはこの試合、マジックのパオロ・バンケロに38得点、16リバウンドの爆発を許し、前半残り4分17秒には31-49と18点を付けられる厳しい展開へ追い込まれた。

 だが、そこからアイザック・オコロのレイアップを皮切りに反撃を開始。ドノバン・ミッチェルやキャリス・ルバートも続き、10点ビハインドまで詰めて試合を折り返すと、第3クォーターは33-15と若きマジックを圧倒する。

 第3クォーター残り4分9秒、ミッチェルのフローターで同点に追いついたキャブズは、その後両チームが互いに加点する展開を挟み、マックス・ストゥルースの3ポイント2連発とオコロのフリースロー2本で抜け出す。

 8点リードで迎えた最終クォーター。キャブズはマジックに逆転を許さずにリードを守り切り、最終スコアは106-94。見事に勝利を収め、4勝3敗でファーストラウンド突破を決めた。
  シリーズ第7戦での18点ビハインドからの大逆転劇は、1997-98シーズンにプレー・バイ・プレーが導入されて以降では最大の逆転勝利。マジックが後半で計41得点と失速した一方、「だから僕はここにいる。それが自分の仕事」と明かしたミッチェルは、経験の差を勝因のひとつに挙げていた。

「そのことを軽視しているわけじゃない。けど、僕らはファーストラウンドを勝ち上がるためだけにやっていなかった。ひとつのゴールを達成し、今は再びシリーズを突破しなきゃいけない。それが自分たちのマインドセットなんだ」

 シリーズ第6戦で50得点を奪ったミッチェルは、第7戦でもゲームハイの39得点に9リバウンド、5アシストと大爆発。プレーオフのシリーズ第6、7戦であげた計89得点は、2001年のカンファレンス・ファイナルで当時フィラデルフィア・セブンティシクサーズのアレン・アイバーソンが残した計90得点に次いで、NBA歴代2位にランクする驚異的なスコアリングショーとなった。
  キャブズは第5戦から守護神ジャレット・アレンが肋骨負傷のため3試合連続で欠場するなか、エバン・モーブリーがペイントエリアで奮闘。エースのミッチェルも見事にギアを上げ、相手チームを打ち負かすこととなった。

 第7戦ではミッチェルのほか、ルバートが15得点、5リバウンド、4アシスト、ストゥルースが13得点、ダリアス・ガーランドが12得点、4アシスト、3スティール、モーブリーが11得点、16リバウンド、5ブロックをマーク。

 あと少しで昨季に続く2年連続のファーストラウンド敗退の窮地に陥っていたキャブズ。NBA入り後プレーオフへ毎年出場してきたミッチェルだが、これまで1回戦突破は2度のみで、3年連続の初戦敗退はプライドが許さなかったという。

「僕はファーストラウンドで敗れることにうんざりしていた。僕はものすごく一生懸命やっている。このチームもそう。僕としてはアタックモードに入ること…それがマインドセットだったんだ」
  この日の勝利はキャブズにとっても大きな意味を持つものとなった。このチームがプレーオフ1回戦を突破したのは2018年以来初。2016年にキャブズへ初優勝をもたらしたレブロン・ジェームズ(現ロサンゼルス・レイカーズ)の在籍時を除くと、なんと1993年以来初めてのことだった。

 7日からスタートするカンファレンス・セミファイナルの相手は、優勝候補のボストン・セルティックス。不利な様相は否定できないものの、チームを引っ張るリーダーはこう意気込んでいた。

「僕らはプレーオフへ出場して、ファーストラウンドを勝ち上がるためだけに作り上げてきたグループではない。このチームが僕をトレードで獲得したのは、ファーストラウンドのシリーズを制するためだけじゃなかった。そこから前へと進み続けることにあった」

 ミッチェル率いるキャブズが、カンファレンス・セミファイナルの舞台でセルティックス相手に互角に渡り合うことができるのか。両チームの攻防に注目していきたい。

文●秋山裕之(フリーライター)

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