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悪魔の執事が英国裏社会を華麗に駆ける…6度のアニメ化がされた「黒執事」に惹かれる理由とは?

MOVIE WALKER PRESS

月刊「Gファンタジー」で2006年から連載がスタートし、アニメ化や実写映画化、舞台化といったメディアミックスも数多くなされている人気作「黒執事」。現在も連載は続いており、2024年4月からはアニメ第6作となる「黒執事 -寄宿学校編-」が放送されるなど、その人気は衰えることがない。華やかな貴族文化が栄華を極めた19世紀の英国。女王が治めるその国を舞台として、悪魔と一人の貴族の暗躍を描く本作の魅力についてご紹介したい。

■“女王の番犬”として英国裏社会の悪を制裁する悪魔とその主人

舞台となるのは、ヴィクトリア女王の統治のもとで人々が暮らす19世紀の英国。名門貴族の一つである“ファントムハイヴ家”に仕える執事セバスチャン・ミカエリス(声:小野大輔)は、眉目秀麗にして頭脳明晰、教養も高く武芸に秀で、さらに料理やお茶の腕前も絶品の完全無欠な執事ながら、その正体は人間と契約をして魂を食う“悪魔”である。

その主人であり契約者が、名門貴族ファントムハイヴ伯爵家の現当主であるシエル・ファントムハイヴ(声:坂本真綾)。13歳ながら父親の爵位や領地を受け継ぎ、また玩具メーカーの社長としても手腕を振るう、こちらも頭脳明晰な少年だ。両親を惨殺され、自身も誘拐されて悪魔崇拝団体に監禁された壮絶な過去を持つシエルは、地獄のような日々を送るなかでセバスチャンとの契約を果たした。復讐に手を貸してもらう代償として魂を渡すことになっている。

ファントムハイヴ家には貴族としての地位のほかに、英国女王ヴィクトリアの密命によって、裏社会にうごめく、警察が介入できない悪や不穏分子を排除する“女王の番犬”の異名を持ち、シエルはセバスチャンと共に身分を偽って潜入捜査に赴くことも多い。

作中には「切り裂きジャック」などの英国を震撼させた歴史的事件も登場し、独自のキャラクターも活躍させながらミステリーやサスペンスとして楽しめるストーリー構成となっている。特に、近代の英国や英国貴族モノが好きな人にはぜひおすすめしたい作品なのだ。


■個性豊かなキャラクターが次々と登場

また、キャラクターも実に多彩。ファントムハイヴ家のバックヤードを支える料理人のバルドロイにハウスメイドのメイリン、庭師のフィニアン、そして家令のタナカ。彼らもまた、“悪の貴族=シエル”を支える優れた戦闘員としての顔を持つ。

許嫁のエリザベスに、中国とのパイプ役も兼ねる劉、さらに自分たちが管理すべき“人間の魂”を勝手に食らう悪魔を敵視する死神たちなど個性的なキャラクターが、原作者である枢(とぼそ)やなの緻密な絵柄をしっかりと再現する形でアニメーションでも美しく描かれる。

■“あくま”で執事として戦うセバスチャンの流儀

アニメーションとして特に注目したいのは、アクションシーンの流麗さだ。「黒執事」は優雅な貴族社会を舞台にした作品でありながら、ミステリーやサスペンス(さらにはホラー)といった色合いも強く、マフィアや暗殺者、さらには非人道的な実験によって生みだされたクリーチャーなどとのバトルシーンも多い。

シエルはただの人間であり戦闘には不向きなため、こうしたバトルはセバスチャンの担当となる。セバスチャンは非常に強い力を持つ悪魔だが、空を飛んだり敵を消し去る魔法を使うわけではない。執事らしく磨き上げた銀食器と、驚異的な身体能力で敵を物理的に倒していくのが彼のやり方だ(過去にはシエルから「もう少し上品にやれ」と諫められたことも)。

黒い燕尾服を纏った執事が闇を駆け、敵を鮮やかに切り裂いていく―。その光景は何度見ても美しく、一種の爽快感さえ感じさせてくれる。セバスチャンは決して負けることがない。契約を遂行してシエルの魂を食うまでは。

■生徒の連続失踪事件にシエルたちが挑む「黒執事 -寄宿学校編-」


放送中の「黒執事 -寄宿学校編-」では、英国の名門寄宿学校で起こる生徒の連続失踪事件に、教師に扮したセバスチャンと生徒に扮したシエルが挑む。事件の真相への道を阻むのは寄宿学校の厳格なルールと、一筋縄ではいかない生徒たち。2人は事件を解決し、女王の憂いを晴らすことはできるのか。毎週の放送を楽しみに待ちたい!

文/藤堂真衣
 
   

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