今、議論になっている行為が「触らない痴漢」。電車内などで女性に接近し、匂いを嗅いだり、息を吹きかけたり、じろじろ見つめたりする行為で、被害が増えているという。明確な法規制がなく、警察が捜査や摘発に苦労をしているとの報道もされ、懸念が高まっている。
【映像】においを嗅ぐ、凝視する…“触らない痴漢”イメージ図
一方、X上では男性から「混雑の中、故意か偶然かどうやって見分ける?」「もし法規制になったら電車は男女別にするしかない」といった不安の声もあがる。
触らない痴漢を見極めるにはどうすればいいのか。『ABEMA Prime』で公共空間の適切な距離感を考えた。
■被害女性「横に座った人が頭の上に息をふ~~っと」
会社員のスズキさんも触らない痴漢の被害者だ。「満員電車で横に立った男性から肺いっぱい、すぅ~~という感じで息を吸い込まれた」「横に座った人に、頭の上に息をふ~~っと何秒間も吹きかけられた」「座っている時に前に立った男性が、何度よけても足の間に靴を入れてきた」という。
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息を吹きかけられた事例では、そばにいた男性が注意してくれたそうだ。「“その子に何してるの”と言ってくれた。降り際、男性が“触らない痴漢とか嫌がらせをする人がいるから気をつけてね”と教えてくれて初めてわかった。最初は、この人は何をやっているんだろう?という戸惑いのほうが大きかった」と振り返る。
防犯アドバイザー・犯罪予知アナリストの京師美佳氏は「私自身も、そんなに混んでいないのに真後ろに立たれたり、持っているバッグをわざと足の間に入れてくるという被害に遭った。持ち物を相手に向けたり、バッグや持ち物で触ってくるのも触らない痴漢に該当する」と指摘する。
「触らない痴漢」は罪に問えるのか。横浜合同法律事務所の清水俊弁護士は次のような見解を示している。
【息を吹きかける】迷惑防止条例違反の可能性。暴行罪の余地も。
【凝視する】ただちに犯罪とは言えない。凝視する箇所や方法・時間などによっては、迷惑防止条例違反になる可能性も。
【全身を撮影する】ただちに犯罪とは言えない。顔などが写っていれば肖像権侵害も。
【においを嗅ぐ】においを嗅いでいたことが立証され、「卑猥な言動」と評価されれば迷惑防止条例違反にあたる可能性。しかし、「においを嗅いでいる」ことを立証しにくく、多くの場合で行為は後ろからで、被害者が目視していない。
これを踏まえ京師氏は「現行犯といっても、手を押さえたりはできない。ただ、“こういうことをされた”と申告すると、警察から声をかけたり、“すごく不快に思われているので二度とやらないでください”ときつめに注意してくれたりもする。痴漢と同じように、駅に着いたら駅員さんに声をかけていただくといいと思う」と述べた。
■悪意どう判断? りんたろー。「慢性鼻炎の呼吸音を言われたら…」
一方で懸念されるのが「冤罪」。X上には「個人の感想で何とでも言えるのでは?」「そのうち『見たら痴漢』とか言われるようになる」「もう電車内で息を止めているしかない」などの声がみられる。