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ぶいすぽっ!の隠れた努力家・八雲べに&白波らむね 『RAGE VALORANT』に挑むメンバーたちを掘り下げる

Real Sound

 先日デビュー3周年を迎えた彼女だが、記念グッズ用のイラストには水着を着てナイトプールではしゃいでる姿が描かれ、ぶいすぽっ!史上初めて、抱き枕カバーが記念グッズとして販売されることになり、ぶいすぽっ!ファンが大いに盛り上がった。グッズに使用されたイラストもセクシーなもので、もはや“自称”どころか事実上のセクシー担当として、メンバーやファンから評価されているのだ。

 デビュー当初は先輩たちに対して遠慮がちに「先輩」「さん」付けをしていた八雲べにだが、後に他メンバーが語るところによれば「八雲は始めのころから図々しさがあった」「おまえは図太い」と言われるほどのフレンドリーさを発揮していたようだ。1年も経たないうちに、先輩らと下の名前で呼び合うほどの関係性を築くこととなった。

 じつはデビュー以前からメンバーの何人かと知り合いだったそうで、花芽すみれや英リサらとは交流があったという。そうした交友関係も、早くから環境に慣れることができたひとつの要因になったのだろう。

 八雲のフレンドリーさは、さまざまなストリーマーやVTuberらに対しても同じく発揮される。さまざまな話題を相手に振って会話の中心となることが多く、ほどよい距離感で対話していける高いコミュニケーション力を持ったタイプである。

 そういったコミュニケーションにおける取っ掛かりのひとつとして彼女がよく繰り出すのが、センシティブなネタ、セクシーなリアクションである。多人数が参加するコラボ配信ではそうした“下ネタ”でひと笑いを狙うこともまま見られる。しかも、その声色のおかげか下品さやクドさをあまり感じさせないため、ひとつの話芸として成り立っている。

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 ただし、エピソードトークを引っ張り出してきて話すようなタイプではなく、あくまで「セクシー担当」のリアクション芸としてのものが多いということは覚えておきたい。こういったセクシーな話題にも比較的寛容なタイプではあるが、雑談配信などで常に披露している……というわけではない。配信内でコメントする際には注意すべきだ。

 こうしてコラボ配信では盛り上げ役となる八雲だが、ソロの配信や雑談でみせる姿はまるで別。日々の生活でなんとなく思ったことやプライベートの時間で起こった出来事など、さまざま話題をフリートークしていくのだが、「リスナーと喋っている」というような気負いなどが感じられず、まるで友人へと話しかけるような温度感で話を進めていく。

 コラボ配信をしているときの彼女しか知らないリスナーからすればかなり淡々とした雰囲気に感じられるが、ソロ配信では一転、彼女の穏やかな表情を楽しむことができるのだ。

 そんな彼女はネットカルチャーのなかで活動をしていることもあって、アニメやマンガ好きなパーソナリティを持つ。なかでもお気に入りのキャラクターについて「ドラゴンボール」シリーズに登場するベジータがいちばん好きだと公言しており、ベジータの声真似が得意なストリーマー・ファン太に関して

「むかしニコ生で声まね配信のひとを見てて、ドラゴンボールの声真似で凸待ちをしている人がたくさんいたんだけど、ファン太さんも見てたんだよね。ニコ生のときとんでもなかったよ、下ネタのオンパレードだった」

 と、昔からニコ生(ニコニコ生放送)といったコンテンツに触れていたことを明かしており、彼女もひとりのネットカルチャー好きだったことがうかがい知れる。

 声まね配信を好んで見ていた経緯もあってか彼女自身も声まねが得意であり、『新世紀エヴァンゲリオン』の葛城ミサト、「ドラゴンボール」シリーズのチャオズ、「鬼滅の刃」堕姫などバリエーションも豊富。同僚である藍沢エマのモノマネなどを含め、その高いクオリティには笑いと納得の声が多数上がるほどだ。

■八雲べにと『VALORANT』 ぶいすぽっ!内でいちはやくウォッチパーティメンバーに選出

 もちろん、FPSジャンルのゲームに強みを置いたぶいすぽっ!からデビューしたこともあり、例に漏れず八雲べにもFPSゲームが得意である。

 得意としている『VALORANT』ではもともとソロで高ランク帯に入っていたことを話しており、その後も配信内外を通じて長くプレイした結果、2022年11月26日にイモータルランクへと到達した。現在でもアセンダント~イモータルランク帯でプレイしつづけており、その実力は非常に高い。

 八雲自身は夢野あかり、猫汰つな、胡桃のあのように積極的にキルやワンピックを狙いにいくタイプではなく、状況をみて柔軟にサポートをこなしていくタイプであり、今大会でもキルやダメージを稼ぐロールではなく、守備・防衛役として重要なロール・センチネルのエージェントを使用している。

 また自身の声の良さはFPSタイトルでの報告などにもしっかりと生かされており、とあるFPSプレイヤーが配信中に同じチームになった際に、その声と口調でリスナーがすぐに気づいて「八雲べにだ!」とコメントが盛り上がったこともある。

 他のFPSタイトルではぶいすぽっ!の同僚よりもランクは劣るものの、『Apex Legends』『PUBG: BATTLEGROUNDS』でみせるゲームスキルは、やはり他のVTuber~バーチャルタレントらよりも高いものがある。場数や経験の差がそこには確かにあると言えよう。

 彼女がデビューした時期は『Apex Legends』を用いた大会が多く、その真価が発揮されるタイミングはあまり見られなかったが、2021年11月26日にはぶいすぽっ!・にじさんじらが出場した『VALORANT GIRLS PARTY』ではIGL役としてチームをまとめあげてトップへと導き、その後も好成績を収めることが多い。

 コラボ配信では楽しげに周囲と会話して盛り上げてくれる八雲なのだが、こと『VALORANT』に関してはソロでのプレイがほとんど。そのプレイングも非常に冷静であり、対戦中には笑う素振りすらみせない。

 こうしたスタイルに至った理由はいくつか考えられるが、筆者はここに、「絶対に1人で強く・上手くなってみせる」という強烈・強固な意志を感じている。単にプレイするのではなく、覚悟を決めてプレイしていく、そうして積み重ねてきた数年の経験は非常に濃いものとなっている。

 2022年3月からは『VALORANT』の公式大会『VALORANT Champions Tour(VCT)』のミラー配信や公式ウォッチパーティのメンバーに、ぶいすぽっ!メンバーから初めて選ばれるようになっており、同作品ともっとも関わりが深いぶいすぽっ!メンバーといっても過言ではない存在になっていった。

 反面、FPS以外のゲームをプレイしている際の彼女というと、これまであまり多くのゲームをプレイしてこなかった影響からか、普段見せる冴えたプレイングは影を潜め、“普通の女の子”のような一面を多く見せてくれる。

 これはゲーム実況がメインのストリーマーやVTuberによくあるケースなのだが、得意とするゲーム/ジャンル以外をあまりプレイしたことがないということは多々ある。別ジャンルのゲームをプレイしてみると普段の姿とはまったく異なる、弱々しい姿を見せることが多々ある。

 八雲もそのタイプであり、『Minecraft』では先輩に教えられながらすこしずつ基礎を学んでいき、ホラーゲームでは怖がったり叫んだりと、その姿はとても『VALORANT』上級者で冷静に立ち回るプレイヤーとは思えないほど。

 昨年開催された『VCR GTA』では、初回開催ではギャングのボスをしてチームをまとめあげた。初プレイとなった『グランド・セフト・オートV』には大層ハマったようで、毎日のように10時間以上、ときには24時間以上にわたってプレイしつづけることもあったほどだ。

 終了直後にはストリーマーを集めたサーバー企画『ストグラ』にも参加。第2回『VCR GTA』が開催された際には警察官としてしっかりと後輩たちを育てる立場に。初プレイからさまざまなことを学んだ八雲が、今度は教える側にまわってイベントを楽しんでいたのは印象的であった。「イチからゲームを上達していく」チャレンジが比較的多い八雲べに、興味があればチェックしてみるとよいだろう。

 持ち前のユーモアセンスとフレンドリーさで周囲を笑わせたあと、1人でしゃべるときは穏やかな面持ちでリスナーと喋りあう。そういった振れ幅に彼女の人間味を感じられ、多くのファンを生み出した。2024年3月19日にはYouTubeチャンネル登録者数が50万人に達した八雲べに。さまざまな表情を使い分けて、今後も見どころを届けてくれるだろう。

■人並み外れた人懐っこさを持つ快活な“おひさま担当”・白波らむね

 そんな八雲べにから約1年4ヶ月ほど経ったころ、新人としてデビューしたのが、白波らむねである。

 2022年8月22日にSNSに初投稿、25日に初配信してデビューを飾った彼女。『VALORANT』のクリップ動画をSNSに投稿したことをキッカケにして、彼女の得意ゲームが『VALORANT』であることが知られ、ファンの期待が高まっていった。

 そうしてデビューした白波らむねだが、人並み外れた人懐っこさをもった人物であり、デビュー時から現在に至るまで変わらぬそのパーソナリティを活かして配信活動を継続してきた。

 水色と白色が混じった髪型と服装、黄色味がかった瞳は爽やかな印象を与える。すこしハイトーンな声とアッパーなテンションで、多くのVTuber・ストリーマーから「陽キャ」「ギャル」と言われるほどに明るい性格の白波らむね。爽やかそうなルックスと快活な性格をもちあわせた彼女は、チームやグループを明るくしてくれるモチベーターといえるだろう。

 実際彼女は活動をスタートした最初期から、持ち前の快活なコミュニケーションで先輩ストリーマーらと多く関わりを持つようになっていく。

 彼女が最初に仲良くなったストリーマーといえば、ぶいすぽっ!メンバーとも親交が深いギルだった。少々ナイーブかつ内気なギルに明るく接していく白波のコンビで毎日のように『VALORANT』をプレイし、「ぎるらむ」コンビとして人気を集めていくことになった。

 また先輩であり同じく「ギャルっぽい」メンバーとして神成きゅぴとともに初めて配信をした際には、互いの声があまりにも似すぎているがゆえに、ぶいすぽっ!メンバーと長く付き合いのあるバーチャルゴリラとCrazy Raccoon所属のMainyが「いまのどっちが喋ったの!?」と混乱するほど。

 実際2人が揃って話すと、ぶいすぽっ!メンバー同士でもわからなくなってしまうことがあるほどだという。

 その後も神成と白波は、とあるグループのなかで配信を共にすることが増えていく。2022年の年末ごろから神成に加え、ストリーマーとして活躍するゆふな、RIDDLE所属のありけんとajaと交流していくことになったのだ。

 ギャルっぽくアップテンポに会話する白波&神成の「きゅぴらむ」コンビに、小気味よく会話をコントロールしていくありけん、3人の会話にシレっとした面持ちでツッコんでいくaja&ゆふなコンビという5人の構図は、たちまちリスナーの人気を集めていった。その後も長時間にわたって『VALORANT』のランクマッチに臨む“いつメン”として、「部活」の愛称で親しまれる固定メンバーとなったのだ。

 この「部活」は、5人組のフルパーティを組んで『VALORANT』をプレイするというのが当初の目的だった。もしも3人しか集まらなかった場合は、代わりとなるメンバーを呼ぶことが常とされ、結果さまざまなメンバーが参加していくこととなった。こうして、白波らむねら「部活」メンバーたちの間で温かくもアッパーなノリが広がっていったのだ。

 2023年に入ってからは、そのノリがさらに加速、同年春に開催された『VCR RUST』では部活メンバーでチームを組んで楽しむなど、絆を深めていった。最終的には個人間でのチャットでは会話や予定の整理がつかなくなるレベルとなってしまい、Discordに専用サーバーを立てて連絡を取り合うようになったほど。最終的に関わったメンバーは20名近くとなるほどの大所帯に成長した。

 こうして、多くのストリーマー/VTuberと「一声かければ『VALORANT』をフルパで遊んでくれる友達」という関係を築くことになった白波らむねだが、このグループの“部長”となって活動の原動力になったのもまた、白波らむねである。

 デビューして1年も経過しないうちにこういった形で自身の友人を増やしつづけ、彼女らしい“陽の雰囲気”を広げていった姿を見ると、「配信活動にはパーソナリティがもっとも重要」というのがよく伝わってくる。

■明るい“だけじゃない” 何度もトライした末にぶいすぽっ!加入を果たした努力家の姿

 白波らむねは八雲べにのデビューから約1年半が経過した2023年夏ごろにぶいすぽっ!に加入したのだが、この時期は『VALORANT』のコミュニティ大会が開かれることが多くなっており、ぶいすぽっ!メンバーでも『VALORANT』を中心にプレイするメンバーが一気に増えていたタイミングでもある。

 そんななかでデビューした白波は、先輩らと比較しても図抜けたプレイング・エイム力を見せ、八雲べにと同じく『VALORANT』上級者という期待の目がデビュー当初から寄せられることになっていた。

 実際デビューした直後に参加した第4回『Crazy Raccoon Cup』で準優勝し、2023年2月には「部活」メンバーとともにプレイを続けた結果、イモータルランクへと初到達。2023年7月中旬に開催された第5回大会では遺憾なくその実力を発揮して優勝を果たすなど、その腕前を存分に見せつけることに成功した。

 本人のパーソナリティをみれば、前線を駆け回って敵を倒すアグレッシブなプレイングをしそうだが、実際には正反対。リスクを極力避けたセーフティーな動きのなかで敵を倒そうとする傾向があり、チームに指示出しするIGL(イン・ゲーム・リーダー)となることが多い。

 そのため、前線キャラよりも後方からサポートするキャラを好んで選ぶことが多く、ソーヴァやフェイドといったイニシエーターをプレイすることが多い。ちなみに、好きな男性のキャラとしてブリムストーンをあげているが、実際の大会で彼女がブリムストーンをピックしたケースはほとんどない。

 白波といえば、これまでさまざまな大会に出場しているなかで、コーチ役となるプレイヤーらとの作戦会議中にはさまざまな質問をしていく姿が印象的だ。

「Aのエリアを取るためにBのエリアをどのように牽制すべきだったか」
「自分のスキルをどのタイミングでどこにいれるべきか」
「チームメイトの立ち位置がココにいた場合、自分の最良の動きはなんだったか?」

 このゲームにおけるマクロ・ミクロ面のさまざまな疑問を率先してぶつけていく彼女の姿に、ぶいすぽっ!が掲げる「ゲームに本気で取り組むメンバーが集まってesportsの良さを広げていく」というモットーを読み解くことができる。

 ある種、ぶいすぽっ!の体現者のようにもみえる白波らむねだが、実はデビューするまでの間に面接を何度も受けて、落選を繰り返しているのだ。

 初めて面接に応募したのが八雲べにがデビューする前後と語っており、1年半以上にわたって面接を受けていたということになる。

 諦めずに何度となく面接をうける白波らむね。その経過を知っていた運営からは、「ゲームやぶいすぽに対する熱量を長い期間かけて、形として見せてくれたことがきっかけでデビューすることになりました」と彼女のデビュー時にコメントが出されている。

 そんな彼女のことは、先輩メンバーもデビュー前から知っていたという。

「うちらにもオーディションを受けてくれた子の話を運営さんがしてくれることがあるんだけど、何度もオーディションを受けている子がいるっていう話はうちらも知ってた」

「はじめはゲームはそんなにうまくなかったけども、ぶいすぽっ!に受かるために一つのことを頑張って極めて、何度も面接を受けるのはシンプルにすごい」

このように彼女についてコメントしていたのは、先輩である橘ひなのだ。心が挫けそうになったときは藍沢エマの配信をみて奮起していたという白波は、ぶいすぽっ!に合格するために、貯金をしたうえで仕事を辞め、車を売り、自分をトコトンまで追い込んだ結果、合格を勝ち取ったのだ。

「ゲームがうまくなるっていう目標がまずあったんだけど、生活できるお金をある程度ためて、仕事をやめてゲームをずっとしてた。マジで正直怖かった、仕事辞めるのは。元々売ろうと思っていた車も、すでに受かったという体にして売っちゃって、『マジでもっと頑張んなきゃ!』みたいな感じにした」

「背水の陣。正直どうすればいいかわからなかったけど、それくらい勢いが大事ってことよ!」

 配信のなかで彼女は軽やかな口調で語っているが、この覚悟・思い切りの良さは多くの人ができるわけではない。

 八雲べにが公式ウォッチパーティの一員となった2022年、ぶいすぽっ!が公式大会の応援アンバサダーに就任した2023年と、徐々にぶいすぽっ!と『VALORANT』の距離が近づくなかで、明るく挫けないメンタルをもって奮励努力する彼女の存在は、ある意味でプレイヤーとしてのロールモデルを提示してくれる重要な存在となったのだ。

 ここまで3回にわたって『RAGE VALORANT 2024 feat.VSPO!』に出演するぶいすぽっ!メンバーにフォーカスしてきたが、彼女ら6人がどのような戦いを見せてくれるか。本戦を今から楽しみにしたい。

(文=草野虹)

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